北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

独自の機能性脂質の開発を基盤としたin vivo核酸送達システム

佐藤 悠介 助教 Yusuke Sato
博士(生命科学)

世界トップクラスの核酸導入能と安全性の両立

siRNAの安全かつ効率的なin vivo送達を実現する独自の機能性脂質群を開発した。本脂質を含む脂質ナノ粒子は優れたエンドソーム脱出能力に起因する肝細胞への世界トップクラスのsiRNA導入効率および生分解性に起因する高い安全性を示した。

研究の内容

siRNAの実用化には優れた送達技術の開発がカギであるが、その送達効率には大きな伸びしろが残されている。また、実用性の観点では広い安全治療域を確保することも重要となる。さらに、特定の用途に限定されず、目的に応じた適切な製剤を提供可能なプラットフォーム技術の開発が強く望まれる。それらの実現のため、独自のpH感受性カチオン性脂質群を開発した。脂質ナノ粒子の体内動態に重要な因子である酸乖離定数の調節を実現し、標的に応じた分子設計を可能とした。また、新規脂質CL4H6を含む脂質ナノ粒子は肝細胞において世界トップクラスの効率で遺伝子発現抑制を誘導した。また、50%抑制投与量の約3,000倍もの投与量においても顕著な肝毒性は認められず、高い安全性が確認された。CL4H6はsiRNA送達後に速やかに分解除去された。

社会実装への可能性

  • ・動物個体レベルでの遺伝子機能解析
  • ・核酸医薬開発

産業界や自治体等へのアピールポイント

本技術は核酸の効率的な送達、安全性、製剤物性の自由度の高さを示すことため、送達核酸はsiRNAに限定されず、標的も肝細胞に限定されません。従って、具体的な標的細胞、標的遺伝子あるいは核酸技術を有する企業様、研究機関との共同研究から連携できれば幸いです。

関連動画

本研究に関連する知的財産

特願2017-117708 「siRNA細胞内送達のための脂質膜構造体」
2021/2/22更新, 2018/4/3公開