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NEW 無機-バイオ界面に着目した新規材料作製
シリカ合成酵素、バイオミネラル、無機-有機複合材料、自己修復材料
我々は生物が創り出す鉱物(バイオミネラル)に着目し、それを人工的に模倣した無機材料作製技術を開発しています。また、無機物とバイオ分子の界面に形成される親和力を利用した新たな金属分離技術および吸着・接着技術についても取り組んでいます。
研究の内容
1.シリカ合成酵素を用いた新規ハイブリッド材料作製
シリカは酵素によって合成されており、シリカ合成酵素はシリカテインと呼ばれています。シリカテインを用いることで、常温・中性pHという温和な条件下でシリカの重合を行うことが可能なため、バイオハイブリッド材料の作製ツールとして利用できると思われます。我々は、タンパク質融合技術により、シリカテインを可溶化した状態で長期間安定に存在させることに成功し、様々な複合材料の作製のツールとして用いています。
2.バイオ界面に着目した新たな金属分離技術と固体吸着技術の開発
生物は様々な力(相互作用)を用いて、固体表面に接着しています。我々はその力をうまく利用することで、紙(セルロース)を用いた金属イオン捕集技術や、特定の金属だけに吸着・接着する技術の開発を行っています。中島 一紀 教授 Nakashima Kazunori -
クラウド版地中熱ヒートポンプ設計・性能予測プログラム
”Web Ground Club”と日本全国3次元グリッド地層データベース複層地盤や地下水流れ効果、冷却塔の付帯も計算できる
10 年程前に地中熱ヒートポンプシステム(GSHP)設計・性能予測ツールGround Club(GC)を開発し,約150 本頒布.現在,クラウド対応の進化版ツールGCCを試用公開.日本全国 3 次元地層物性データベースを構築,GCCに搭載.
長野 克則 教授 Katsunori Nagano博士(工学) -
バンディット手法を用いた推薦技術
知識を獲得しながら累積利得を最大化するオンライン学習技術
ユーザが好むであろうアイテムのお勧め(知識の利用)のみでなく、ユーザの好み情報が多く得られるであろうアイテムのお勧め(知識の獲得)もバランスよく行い、ユーザの累積満足度を最大化するお勧め手法を研究しています。
研究の内容
現在のインターネット社会において、リコメンデーション技術はうまく働けばサービスを提供する側・受ける側の双方に利益をもたらすものです。リコメンデーションサービスは1回きりのものではなく、毎回フィードバックを受けながら繰り返し行うものであり、しかもフィードバックはお勧めしたもののみに対して得られるものです。したがって、フィードバック履歴よりユーザが好むであろうアイテムをお勧め(知識の利用)するのみでなく、フィードバックからユーザの好み情報が多く得られるであろうアイテムもお勧め(知識の獲得)することがその後のお勧め精度を上げるためには重要です。この知識の利用と獲得のバランスをとってユーザ満足度の最大化を試みるのがバンディット手法です。 バンディット手法を用いたお勧め方式の開発を行っています。
中村 篤祥 教授 Atsuyoshi Nakamura博士(理学) -
腸内環境評価による食の新機能解明と応用
食と医薬の新たな腸内環境評価系開発
食素材・成分と、寄生体である腸内細菌、宿主のPaneth細胞αディフェンシンの三者が「腸内環境」を決定し、そのクロストークが健康維持と疾病に関与するという新しいパラダイムに基づく腸内環境評価系を構築して、食の機能性を解明し疾病予防に繋げる。
研究の内容
食素材・成分と、寄生体である腸内細菌、宿主のPaneth細胞αディフェンシンの三者が「腸内環境」を決定し、そのクロストークが健康維持と疾病に関与するという、われわれの提唱した独創的な「腸内環境」の定義は、食の機能性にパラダイムシフトを興している。本研究は、αディフェンシンの健康維持、疾病発症及び病態形成への関与を明らかにすると共に、食の新規機能性評価系を構築して腸内環境の国際的評価基準を確立することを目的とする。組織培養系とαディフェンシン定量系を組み合わせて腸内環境評価系を構築し、未だメカニズムが分かっていない多彩な腸機能と食品機能との関係を体系的に解析する基盤を築く。食素材・成分や医薬品による免疫賦活および老化物質制御等の機能性をはじめて解明し、新たな科学的指標を得て、食に高い付加価値を創生する。
中村 公則 准教授 Kiminori Nakamura歯学博士 -
免疫細胞へsiRNAを高効率で導入する試薬の開発と
がん免疫療法への応用次世代ドラッグデリバリーシステムの開発
免疫細胞にsiRNAを高効率で導入するための試薬(YSK12-MEND)を開発しました。この試薬を用いてsiRNAを免疫細胞に導入すれば免疫抑制遺伝子の発現を高効率で減らせるため免疫機能を利用したがん免疫療法への応用が期待できます。
研究の内容
マウスやヒトの免疫細胞に、遺伝子発現抑制剤であるsiRNAを高効率で導入(トランスフェクション)できる試薬「YSK12-MEND」を開発しました。独自開発した新規脂質分子を用いることで、マウス樹状細胞へのsiRNA導入効率が市販品(Lipofectamine RNAiMAX)と比較して10倍以上向上しました。人間は元々がん細胞に対抗する免疫機能を持っていますが、がん患者では免疫細胞の機能ががん細胞によって抑制されていることが知られています。YSK12-MENDを用いてsiRNAを導入し、免疫細胞内の免疫抑制遺伝子の発現を高効率で抑えることができれば、人間が自らの免疫機能でがん細胞と戦うための環境を整えることができます。YSK12-MENDはその切り札の一つとして期待されます。
中村 孝司 助教 Takashi Nakamura博士(生命科学) -
圧縮センシング法を用いた電波の状態推定
高精度な位置推定・チャネル予測をめざして
圧縮センシング法は、必要とする未知数の数よりも少ない観測データから、ある条件の下で解を求める手法である。この研究では、圧縮センシング法を用いて、電波の到来方向推定や、チャネル予測、散乱体検出を行っている。
研究の内容
必要とする未知数の数よりも少ない観測データからは、一般にその未知数を一意に求めることはできない。ところが、未知数の大多数が0であるという条件があるとき、その解を正確に得ることができる場合がある。圧縮センシング法は、この性質を利用して、観測をできる限り少なくしつつ正確な解を得る方法である。当研究室では、図1に示すような電波の高精度な到来方向推定への応用や、それを利用して到来波を素波に分割してチャネル予測する方法(図2)、およびレーダシステムにおいて圧縮センシング法を利用した散乱体検出(図3)について検討を行っている。
西村 寿彦 教授 Toshihiko Nishimura博士(工学) -
魚類の細胞を生殖細胞化させる研究
養殖魚の借腹生産や品種改良の効率化を目指して
動物の初期胚の細胞の多くは身体を構成する体細胞へ分化し、一部の細胞のみが精子と卵の起源となる生殖細胞へ分化します。当研究室では、魚類初期胚のほぼ全ての細胞を「生殖細胞化」できる技術を開発し、水産業への応用研究を進めています。
研究の内容
近年、マグロのように産業的な価値は高いが、飼育が難しい魚の配偶子(精子と卵)を、飼育が容易な魚に作らせる「借腹生産」技術の開発が進められています。効率的な借腹生産を実現する為には、ドナー魚種の生殖細胞を標識・選別・濃縮して、ホストとなる魚に移植する必要があります。しかし、生殖細胞は個体発生の初期にごく一部の細胞集団として出現するため、生殖細胞の選別には高度な技術が必要でした。
当研究室では、魚類初期胚の全ての細胞、もしくは、特定の細胞を「生殖細胞化」できる技術を開発しました。生殖細胞化した細胞は、選別なしにホストに移植できるため、効率的な借腹生産技術につながります。また、ゲノム編集や染色体操作技術を組み合わせることで、生殖細胞のみの遺伝的改変が可能となり、効率的に目的とする実験魚や品種の作出が可能となります。西村 俊哉 助教 Toshiya Nishimura理学博士 -
マルチ・フィジックス・シミュレーション
電磁気・熱・流体・構造すべての連成現象を明らかに
電磁気、熱、流体、構造などのマルチフィジックス現象をシミュレーションする。メッシュの生成から、シミュレーションの実施、結果を可視化するところまでを総合的に研究しています。見えない現象を観察することで、ものづくりへの貢献を目指しています。
研究の内容
商用シミュレーションソフトでは解析できない、電磁気を中心とした熱、流体、構造などのマルチフィジックス現象を解析するための、シミュレーション・ツールを独自に開発している。それぞれの現象に適した解析手法を厳選し、そのためのメッシュ生成、高速化、大規模化、解析結果の可視化(描画)までをトータルに研究している。機器の性能評価から設計までの適用を目指している。さらに、最適化アルゴリズムやゲーム理論などを併用し、高度な設計技術も可能となっている。
野口 聡 准教授 So Noguchi博士(工学) -
自発的に骨組織と強く結合する高強度ゲル
~生物の骨治癒を利用した、これまで困難であったウェットな材料と骨との安全な高強度接着法の開発~
次世代人工軟骨や軟骨組織再生足場材料として期待される高強度ハイドロゲルを応用する上で課題であった生体内の固定について、骨組織を構成する無機物「ハイドロキシアパタイト」を用いた簡便・無毒・高強度な接着手法を開発した。
研究の内容
私たちのグループが以前開発した高強度・高靱性ダブルネットワークゲル(DN ゲル)は、生体関節内で軟骨に対する低摩耗性や軟骨組織の再生誘導性など優れた性能を有し、人工軟骨材料や軟骨再生誘導材料としての応用研究が進められている。一方で、生体関節内で固定・維持することが困難であり、本材料の実用化において大きな課題となっていた。今回DN ゲルの表面層に骨組織の無機主成分であるハイドロキシアパタイト(HAp)を複合化させることで、骨組織再生がゲルの内部へ自発的に進展し強固に接着する固定法を開発した。優れた力学物性・軟骨再生能に加えて、無毒で生体内の骨と接着の実現は、DN ゲルによる関節治療への実用化に向けて大きな前進となる。
野々山 貴行 准教授 Takayuki Nonoyama博士(工学) -
高温潜熱蓄熱マイクロカプセル
500˚C超の高温域で高密度蓄熱が可能な、コア(合金潜熱 蓄熱材)–シェル(Al2O3)型の潜熱蓄熱マイクロカプセル
固液相変化時の潜熱を利用する潜熱蓄熱法は高密度蓄熱可能な点で魅力的です。潜熱蓄熱材のマイクロカプセル化により蓄熱のみならず、熱輸送、熱制御用途への展開が可能となります。500 ºC超の高温域で利用可能な潜熱蓄熱マイクロカプセルを開発しました
研究の内容
500 ˚C超に融点を持つAl基合金を新たに潜熱蓄熱材として見出し、この合金のマイクロ粒子(約20μm~)へ化成/酸化処理を巧みに施すことで、コア(Al基合金)–シェル(Al2O3)型潜熱蓄熱マイクロカプセルの開発に成功しました(図1)。このマイクロカプセルは固体顕熱蓄熱材と比べて約5倍以上の高蓄熱容量を持ち、機械的特性に優れます。また、シェルがAl2O3であるため「セラミックス粒子」として扱えます。即ち、現行セラミックス顕熱蓄熱技術の利用形態を継承したまま性能をグレードアップできる画期的な蓄熱材料です。
能村 貴宏 准教授 Takahiro Nomura博士(工学)