- 1. 貧困をなくそう
- 2. 飢餓をゼロに
- 3. すべての人に健康と福祉を
- 4. 質の高い教育をみんなに
- 5. ジェンダー平等を実現しよう
- 6. 安全な水とトイレを世界中に
- 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 8. 働きがいも経済成長も
- 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 10. 人や国の不平等をなくそう
- 11. 住み続けられるまちづくりを
- 12. つくる責任、つかう責任
- 13. 気候変動に具体的な対策を
- 14. 海の豊かさを守ろう
- 15. 陸の豊かさも守ろう
- 16. 平和と公正をすべての人に
- 17. パートナーシップで目標を達成しよう
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう:126件
- 1. 貧困をなくそう
- 2. 飢餓をゼロに
- 3. すべての人に健康と福祉を
- 4. 質の高い教育をみんなに
- 5. ジェンダー平等を実現しよう
- 6. 安全な水とトイレを世界中に
- 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 8. 働きがいも経済成長も
- 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 10. 人や国の不平等をなくそう
- 11. 住み続けられるまちづくりを
- 12. つくる責任、つかう責任
- 13. 気候変動に具体的な対策を
- 14. 海の豊かさを守ろう
- 15. 陸の豊かさも守ろう
- 16. 平和と公正をすべての人に
- 17. パートナーシップで目標を達成しよう
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大規模電磁界解析による乗り物内
無線接続サービスの電波伝搬特性評価手法ワイヤレス環境の最適設計を目指して
航空機や旅客鉄道車輛内などの複雑で特殊な伝搬環境評価,電波の人体侵入,さらに体内埋込み型医療機器の電磁干渉評価とメカニズム推定,電気自動車無線給電装置の漏洩電磁界評価など,様々な電波利用分野での研究実績を上げてきている。
研究の内容
乗り物内の無線伝搬環境は,周囲が金属であることによる多重反射,加えて内部に什器や乗客の存在により,従来の伝搬モデルとは異なる特殊な環境になる。そのため,実運用状況の無線接続品質を見積もるには,乗客人体等による電波の吸収・散乱の効果を含めた電波伝搬特性の評価が必要となるが,実測や簡便な数値解析(レイトレース等)にてこれらを評価することは困難である。本研究は,従来困難であった乗り物内の伝搬環境モデリングに取り組み,超大規模解析空間におけるシミュレーション手法をスーパーコンピュータの利用により実現するものである。
日景 隆 准教授 Takashi Hikage博士(工学) -
バイオメディカル光イメージングのための数理アルゴリズム開発
生体における光伝搬数理モデルの構築
バイオメディカル光イメージングの発展には、高精度かつ計算効率に優れた光伝播モデルが必要です。本研究では、光伝播を高精度に記述する輻射輸送方程式の高速解法を構築することに成功しました。提案手法による光診断・治療の高度化に取り組んでいます。
研究の内容
本研究では、輻射輸送方程式に基づいたバイオメディカル光イメージングの数理アルゴリズム構築を行っています。従来の数理モデルに基づいたイメージングでは適用できなかった生体組織や生体部位にも適用でき、また画像解像度の優れたイメージング技術を目指しています。これまで、輻射輸送方程式の数値計算負荷は膨大であることから、小さいサイズの生体に適用が制限されていました。本研究では、輻射輸送方程式と光拡散方程式を連結することによって、高精度かつ計算効率に優れた光伝播モデルを開発することに成功しました。開発した光伝播モデルに基づいた光イメージングは、様々な生体組織・部位に適用可能です。現在は、ヒト頸部における甲状腺腫瘍の光診断や、生体組織における光学特性値のin-vivo評価への適用に向けて取り組んでいます。
藤井 宏之 助教 Hiroyuki Hujii博士(工学) -
時間分解二次元表面音響波イメージング
固定周期の光パルス列による任意周波数応答の励起・検出
GHz周波数領域までの表面音響波の伝播の様子を時間分解二次元イメージとして可視化する技術です。従来の方法では周波数分解能が低いという問題がありましたが、本方法では任意周波数の音響波を励起・検出することができます。
研究の内容
音響波を用いた物性評価や機能性デバイスの設計・製作・評価において、音響波伝播の可視化は極めて有益です。このために、サブピコ秒時間幅の超短光パルス(ポンプ光)を試料に照射して表面音響波を励起し、その伝播の様子を遅延された光パルス(プローブ光)で観測します。遅延時間およびプローブ光の照射位置を走査することで音響波の時間分解二次元イメージを得ます。時間分解能はピコ秒、空間分解能は1μm、周波数帯域はGHz程度です。この方法では周期的な光パルス列を用いるために、従来はその繰り返しの整数倍周波数の音響波のみ励起・検出可能でしたが、開発した技術により、任意周波数の音響波の励起・検出が可能になりました。さらにこれを発展させて光パルスの繰り返し周波数とは全く非同期な振動のイメージングも可能となり、応用範囲が一層広くなりました。
松田 理 教授 Osamu Matsuda理学博士 -
アカデミックインタークラウド
学術クラウド連携による研究開発を推進
全国規模でクラウドシステムを連携させたアカデミックインタークラウドの実現に向けた研究を推進し、インタークラウド環境での資源割当最適化やスパコンとインタークラウドの連携等、クラウド関連技術の共同研究を実施。
研究の内容
北海道大学情報基盤センターでは、国内最大規模の学術クラウド「北海道大学アカデミッククラウド」を構築し、全国の研究者に対して仮想・物理マシンおよびそれらのクラスタシステムとしての提供、高速大容量クラウドストレージ、機械学習・ビッグデータ処理システム等の研究開発向けクラウドサービスを提供している。さらに、全国規模でのクラウドシステム連携を実現するための基盤技術や、研究者を支援するためのシステム構築について研究を推進している。その具体例として、認証連携などのクラウド連携基盤技術の開発および試験システムの構築(図1)インタークラウド環境下での資源割当最適化、スパコンとインタークラウド基盤を連携させた全国規模での大規模な設計最適化フレームワークの実現(図2)等があげられ、全国の大学、研究所、企業との共同研究を行っている。
棟朝 雅晴 教授 Masaharu Munetomo博士(工学) -
ユーザの意図を読み取るインタフェースの開発
ロボットやマウスを自由にコントロールする
ユーザと機械が相互に学習することで、ユーザの意図通りに機械を操作することを可能とするインタフェースの開発を行っています。ロボットなどの操縦や、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイスの入力も容易にします。
研究の内容
ユーザがヒューマノイドロボットなど多自由度のロボットを動作させるためには、コマンドがどの操作に対応しているかを覚える必要があり、コマンドの数が多くなるとユーザは負担が大きくなります。一般には、どんな人にも覚えやすく、使いやすいコマンド群を用意することは難しいため、作り上げたものが必ずしもユーザにとって使いやすいインタフェースとなる保証はありません。本研究では、ユーザと機械の相互作用の中からユーザの意図を読み取り、ユーザが直感的に操作可能なインタフェースの構築を行っています。その結果、各ユーザの特性にあった使いやすいインタフェースが開発できます。この技術を、マウスやトラックボールなどを操作する手の動きなどをセンシングすることでデバイスがなくても操作ができる、エアマウス、エアトラックの開発にも応用しています。
山本 雅人 教授 Masahito Yamamoto博士(工学) -
均一系パラジウムナノ粒子触媒による水素化反応
シスアルケンとアミン類の選択的合成
医薬、農薬、化成品の原料等として有用なシスアルケンやアミン類をアルキン、有機ニトロ化合物やアジド類の水素化により効率的に合成できる。独自に開発した均一系パラジウムナノ粒子は、溶液として1年以上保存可能で、大気中で容易に取り扱うことができる。
研究の内容
酢酸パラジウムをアルキン存在下でカリウムtert-ブトキシドまたは水素化ホウ素ナトリウムで処理することで、均一系のパラジウムナノ粒子が得られることを見いだした(図1)。このナノ粒子は、溶液で1年以上保存可能で、大気中で容易に取り扱うことができる。水素化触媒として優れた性能を示し、アルキン(1)、有機アジド化合物(3)、芳香族ニトロ化合物(5)からシスアルケン(2)、アミン類(4、6)をそれぞれ効率的に合成できる。シスアルケン選択性や官能基許容性(ケトン、アルデヒド、ベンジル位ヒドロキシ基等を損わない)に優れている。触媒活性も極めて高く、基質(原料)の1,000分の1から50,000分の1当量のパラジウムを用いるだけで反応はすみやかに進行する。経済性や利便性に優れており、企業と共同で事業化検討も行っている。
大熊 毅 教授 Takeshi Ohkuma理学博士 -
金属材料の組織予測シミュレーション技術の開発
凝固から固相変態まで
構造材料や機能材料の製造プロセスでは、凝固、熱処理、塑性加工において様々な材料組織が形成し、その材料組織の特徴が材料の特性を決めています。凝固から固相変態までの一連の材料組織変化を予測するシミュレーション法の開発を行っています。
研究の内容
金属材料の凝固、結晶粒成長、拡散固相変態など、製造プロセスで生じる一連の相変態における材料組織の時間変化を予測する手法の開発と応用を行っています。特に、組織形成シミュレーション手法であるフェーズフィールド・モデルの開発に従事し、拡散相変態を世界最高精度で計算するモデルの開発に成功しています。また、実験的アプローチ、分子動力学法による原子論的アプローチ、さらにはデータ同化、機械学習といった情報科学のアプローチを組み合わせて、種々の合金系における材料組織制御に取り組んでいます。超大規模計算によって組織形成の新しい学理を開拓し、実プロセスの最適化につながる成果を得ています。
大野 宗一 教授 Munekazu Ohno博士(工学) -
電子スピン制御の物性定数を解明
次世代電子デバイスの研究・開発を加速
さまざまな半導体物性の中でこれまで未解明であった「スピン軌道相互作用」を、InGaAs半導体をベースにしたn型量子井戸構造に対して、ゲート電圧依存性を含めて定量的に明らかにしました。この成果は、次世代スピンデバイス開発のシーズとなります。
研究の内容
既存の半導体デバイスは、電子の「電荷」により動作します。一方で、電子は、「電荷」と共に「スピン」という小さな磁石としての性質を有しています。固体中電子のスピンは状況に応じて、ある向きに揃ったり(図1a)、特定の軸に対して回転したりします(図1bc)。次世代電子デバイスを実現するには、このような電子の「スピン」を半導体デバイス中で如何に制御するかが鍵となります。今回の研究では、インジウム、ガリウム、砒素をベースとした電界効果トランジスタ(図2)を利用し、希釈冷凍機(図3)を用いて実現する極低温(絶対温度20mK)環境で、電気的な測定を行うことにより、電子スピンの制御に必要な「スピン軌道相互作用係数」をはじめて厳密に決定しました(図4)。
古賀 貴亮 准教授 Takaaki KogaPh.D.(工学) -
新規なスピントロニクス・デバイスの探索および低次元電子ガスのエネルギースペクトラムの理論研究
省電力デバイスを目指して
トポロジカル絶縁体やスカーミオンと呼ばれるトポロジーが現象を支配している物質や構造を物性理論を使って研究している。同時に、その過程でこれらのトポロジカル絶縁体やスカーミオンを利用した新規なスピンデバイスの提案と実現を目指して研究しています。
研究の内容
現在主流のCMOS素子を性能面と電力面で超えるスピンデバイスを提案し、その性能を物性理論で解析する研究をしています。この研究によって、CMOSデバイスを超える性能を持ちながら、省電力なデバイスを創生することが主な研究目的です。普段は、新規なスピンデバイスの性能を計算するために、場の量子論や相対論を用いてスピン伝導率などを計算しています。現在、研究している対象はトポロジカル絶縁体とスカーミオンですが、トポロジカル絶縁体はバルクでは絶縁体であるが、表面のみ自発的にスピン流が流れる物質であるので、上手くデバイスに応用できれば、トポロジカル絶縁体自体は無散逸なので超省電力のデバイスの作製が可能になります。またスカーミオンは磁性体に発生する特異な渦であり、これも電流駆動することでスイッチの役割を果たすことが期待されます。
近藤 憲治 准教授 Kenji Kondo博士(工学) -
ソノプラズマ発生装置
音響キャビテーションを定位置に高効率で発生させる方法
超音波によって水中に駆動される音響キャビテーションが崩壊するとき、気泡の内部は高温・高圧状態となり、プラズマ化する(ソノプラズマ)。音響キャビテーションを定位置に高効率で発生させる方法を見出し、プラズマ応用技術としての展開を図る。
研究の内容
液体中で生成されるプラズマは、ナノテクノロジー、環境工学、および医療工学の観点から高い関心を集めているが、プラズマの発生に高電圧を必要とすることが障害となる場合がある。一方、超音波工学の分野では、音響キャビテーションが崩壊する瞬間に気泡の内部がプラズマ化することが知られていた。我々は、超音波が印加された液中にパンチングメタル板を挿入するという極めて簡単な方法により、位置の固定が困難な音響キャビテーションを定在化させ、高効率に発生させることに成功した。高電圧を用いない液中プラズマ生成法としてユニークであるとの評価を受けている。現在は、本方式のメカニズムを解明し、大型装置を設計するための指針を得ることに注力しているが、今後は、新しいプラズマ応用技術としての様々な展開を図りたいと考えている。
佐々木 浩一 教授 Koichi Sasaki工学博士 -
ポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子による
高活性触媒の創製高分子担体を反応場とする金属錯体触媒の設計と効率的合成プロセスの開発
高分子担持金属触媒の創製に有効なポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子を開発しました。高分子トポロジーの効果により、金属錯体の不均化や金属凝集による触媒の不活性化を抑制することができます。第一遷移系列金属触媒の配位子として特に有効です。
研究の内容
不均一系(不溶性)金属触媒は、反応混合物からの分離が容易で再利用性に優れた環境負荷の少ない有機合成手法ですが、対応する均一系(可溶性)触媒と比較して、触媒活性が低下することが問題です。私たちは、高分子鎖のトポロジー制御に基づき、高活性なモノキレート型単核遷移金属錯体の発生に有効なポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子PS-DPPBzを開発しました。塩化アリールのアミノ化カップリングやエステル-アゾールカップリング等のNi触媒反応などの効率を著しく向上させ、既存触媒では適用困難であった基質に対しても有効です。本触媒は、ろ過による分離や再利用も可能なことから、産業利用が期待されます。
澤村 正也 教授 Masaya Sawamura工学博士 -
耐高温材料の微細加工による赤外メタマテリアル
中~遠赤外線を操る材料・デバイスの開発
中~遠赤外線の波長以下のパターンを持つヒーターや回折格子を作るとこれら電磁波を制御するデバイスを作れることが期待されます。我々は金属炭化物や酸化物の薄膜・積層・微細構造の作製法の開発と素子特性を研究しています。
研究の内容
電磁波の波長以下のスケールで微細加工された物質は電磁波の反射・透過を制御する働きがあります(メタマテリアルと呼ばれる)。3μm~1000μmの波長をもつ中~遠赤外線は熱の輻射にかかわる電磁波であるとともに、分子振動を励起させることができるため、分子の検出に使うことができます。熱にかかわる材料なので、耐熱性を持たせることにより他では実現できない応用が可能になります。我々は金属炭化物や酸化物などの様々な物性を持つ耐熱性材料に対するプロセス技術を研究するとともに、これら材料の赤外域での基礎物性を測定し、メタマテリアル設計につなげます。中~遠赤外線に対するメタマテリアルの作製により、分子検出用の狭線幅の中赤外発光素子や、輻射熱を制御する材料の作製を目指しています。
島田 敏宏 教授 Toshihiro Shimada博士(理学) -
電気化学応答性有機色素
エレクトロクロミズムから多重応答へ(蛍光、旋光性)
色調の制御が容易なカチオン性有機色素を基本として、蛍光、旋光性(円二色性)などの多重応答が可能な物質群を提供します。本技術では還元種の分解過程が抑制される工夫が施され、また酸化種と還元種を混合しても交換が起こらないという双安定性を持ちます。
研究の内容
エレクトロクロミズム系は、外部からの電位の変化に対応して色調が変化する化合物の総称です。発色・消色の可逆的な表示が可能な材料として、スマートウインドウなどの調光材料や電子ペーパーなどでの表示機能という観点からも注目されています。色調以外に、蛍光、旋光性(円二色性)なども変化する物質では、用途に応じたテーラーメードな応答が可能となります。
本技術では、色調の制御が容易なカチオン性有機色素を基本とした、多重応答が可能な物質群を提供します。カチオン性色素の還元種は一般に反応活性で、応答の繰返性は低くなりますが、本技術ではカチオン部位を2つ組み込むことで、還元種の分解過程が抑制されています。また、酸化種と還元種を混合しても交換が起こらないという双安定性は、高密度記録材料への応用を可能とするものです。鈴木 孝紀 教授 Takanori Suzuki理学博士 -
含フッ素芳香族カルボン酸類の合成
二酸化炭素から電気を用いて有用カルボン酸を作る
有機電解法により、数個のフッ素原子を有する容易に入手可能な芳香族化合物と二酸化炭素から、新規含フッ素ビルディングブロックとして有望な種々の含フッ素芳香族カルボン酸を位置選択的に収率よく合成することに成功した。
研究の内容
有機化合物へのフッ素原子の導入は医農薬や機能性材料等の分野において非常に重要である。含フッ素有機化合物の合成法として、含フッ素ビルディングブロックを用いる方法があるが、ビルディングブロックとして用いることが可能な含フッ素有機化合物はまだまだ高価でかつ限られており、その開発研究のニーズは高い。今回本研究では、容易に入手可能な含フッ素芳香族化合物と二酸化炭素から有機電解法を用いて種々の官能基を有する含フッ素芳香族カルボン酸を収率よく合成することに成功した。今回合成した含フッ素芳香族カルボン酸類には従来法では合成が困難な新規化合物も種々含まれており、有望な新規含フッ素ビルディングブロックとして医農薬や高機能性物質合成に利用されることが期待できる。
仙北 久典 准教授 Hisanori Senboku博士(工学) -
ナノフィブリル化バクテリアセルロースの大量生産
バクテリアを用いることにより低分子バイオマスから
ボトムアップでナノフィブリル化セルロースを生産する我々は、新奇なセルロース合成酢酸菌を取得し、糖蜜を原料としたナノフィブリル化バクテリアセルロース(NFBC: Fibnano®)の大量生産に成功しました。NFBCは流動性、混和性、成型性に優れており、幅広い分野での利用が可能です。
研究の内容
バクテリアによって合成されるセルロースはバクテリアセルロース(BC)と呼ばれており、高い保水性、高強度、生分解性、生体適合性などのユニークな性質を有しています。また近年、ナノサイズのセルロース素材(ナノフィブリル化セルロース(NFC))が注目を浴びています。一般に、NFCはパルプを原料として、物理的・化学的処理によってトップダウン的に調製され、得られたNFCは水中に高分散しています。対照的に、セルロース合成菌の培養条件を最適化することにより、低分子バイオマスからボトムアップ的にナノフィブリル化BC(NFBC: Fibnano®)を調製することが可能です。我々は、道内企業との共同研究により、砂糖製造時の副生成物である糖蜜を原料としたNFBC(Fibnano®)の大量生産に成功しました。
田島 健次 准教授 Kenji Tajima博士(工学) -
超撥水・超撥油アルミニウム
ウェットプロセスによる簡便な防汚表面の作製
アルミニウム板やメッシュを化学エッチング/陽極酸化することによりマイクロ/ナノ階層ポーラス構造を構築し,さらにフルオロアルキル単分子膜で表面をコーティングすることにより,油を始めとするほぼあらゆる液体に対して濡れない表面を得ることに成功した
研究の内容
水や油に濡れない超撥水・超撥油表面は,防汚性,セルフクリーニング性を示す表面として期待されている。本研究は,実用金属材料であるアルミニウムに対して,簡便なウェットプロセスの組み合わせにより,水のみならずオクタンなどの表面張力が20 mN m-1と低い液体をもはじく超撥油表面を実現した。アルミニウム箔への適用も可能であり,様々な場所に防汚表面として利用することもできる。
さらに,アルミニウムメッシュを用いてその濡れ性を制御することで,油と水を分離するフィルターとしても利用可能である。幅崎 浩樹 教授 Hiroki Habazaki理学博士 -
太陽光をレーザー光へ変換する新しい結晶材料
高効率太陽光励起レーザーの実現を目指した
新規Cr,Nd共ドープ結晶開発したCr,Nd:CaYAlO4結晶は、可視域で幅広い吸収帯域を示すとともに、大きい吸収断面積を有する。クロムにより吸収されたエネルギーはネオジムに移動することから、太陽光エネルギーを高効率でレーザー光に変換できるものと期待される。
研究の内容
クロム(Cr)とネオジム(Nd)を添加したCaYAlO4単結晶を、浮遊帯溶融法と呼ばれる手法を用いて作製した。作製条件を適切に制御することにより、良質な赤色透明の結晶が得られた(図1)。この結晶は、紫外領域から可視領域にわたる非常に幅広い吸収域をもち、太陽光のエネルギーが最大となる波長でも十分な吸収を示す(図2)。また、従来材料であるCr、Nd:YAGと比較すると70倍以上の大きい値を示すことが明らかとなった。このような特性は既存の材料にはない、今回開発した結晶に特有のものである。さらに、クロムの吸収帯での励起によりネオジムが発光することが、その蛍光特性から実証された(図3)ことから、太陽光エネルギーを高効率でレーザー光に変換できるものと期待される。
樋口 幹雄 特任准教授 Mikio Higuchi博士(工学) -
顕微インデンテーション
微少領域の硬さ/変形の「見える」化
押し込み硬さ試験中の圧痕形状変化および周辺の表面変化を「その場(In-situ)」観察できます。動画撮影による高い時間分解能の情報と硬さ試験を組み合わせた高度データの“ハイスループット”収集によって、材料開発や事故原因解明に貢献できます。
研究の内容
硬さ試験は局所的な負荷によって生じた変形から物質・材料の強度を明らかにする手法であり、高い簡便性・再現性から広く用いられています。この手法の簡便性を生かしつつ高度な応力応答情報の取得を目指して、硬さ試験のIn-situ試験化(顕微インデンテーション)を行いました。
押し込み試験中に透明圧子を通して圧痕内部並びに周辺の試料表面を観察するには光学的条件の最適化が必要ですが、透明圧子の屈折率に近い屈折率を有する液体を圧子周辺に導入することで広範囲の表面観察を可能としました。三浦 誠司 教授 Seiji Miura博士(工学) -
環状ポリエチレングリコールを用いたナノ粒子安定化
高分子の「かたち」に依存した新奇安定化法
本研究は環状ポリエチレングリコールを用いた金属ナノ粒子の新奇分散安定化手法の開発です。これまでに当研究グループは、環状高分子から成る分子集合体が優れた安定性を有することを見出しました。この現象を応用してナノ粒子の高分散安定化を行うものです。
研究の内容
現在、多数のナノ粒子系医薬品の研究が行われていますが、ドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアも含めそれらの多くは、生体適合性を有するポリエチレングリコール(PEG)で表面を覆われたナノ粒子になります。これに関して、私たちは環状PEGで修飾した金ナノ粒子(AuNPs)が高塩濃度に対して高い分散安定性を示すことを見出しました。すなわち、分子量4000の環状PEGで修飾されたAuNPは、生理条件よりも高濃度である180 mMのNaCl溶液で1週間以上分散安定性を保持したのに対し、同分子量の直鎖状PEGを用いた場合、僅か45 mMのNaClで3時間内に凝集・沈殿しました。この環状PEGを用いた新奇手法は、造影剤や磁性ナノ粒子を含む種々のナノ粒子系医薬品に応用可能です。
山本 拓矢 准教授 Takuya YamamotoPh.D. -
センサレスで実装可能な非線形補償器
PID制御系に容易に追加可能な非線形補償器
現在、産業界ではPID制御が主力の制御手法として用いられていますが、PID制御則には摩擦や重力項といった非線形項の影響により制御精度が劣化するという問題があります。我々は、PID制御器に対し容易に追加できる非線形補償器を提案しています。
研究の内容
ディジタル加速度制御(DAC)はモデル化困難な非線形項やモデリング誤差が存在する系に対してロバストな制御則です。DACは非常に効果的な制御器ですが、加速度目標値に対して制御を行うため単体では位置制御ができません。そこで、一般的なPID制御系と組み合わせたPID-DAC併合制御系によりロバストな位置・加速度制御が実現できます。さらにPID制御器などに「センサレス」で「容易」に追加することができる新しい非線形補償器として、制御対象の加速度目標値を0とした「PID-DA0制御系」、加加速度目標値を0とした「PID-DJ0制御系」という2つの制御器を提案しています。双方とも既存のPID制御器に簡単に追加でき、さらには追加のセンサも必要ないことからセンサレスでシステムの性能を向上できるという大きなメリットを持ちます。
江丸 貴紀 准教授 Takanori Emaru博士(工学)