北海道大学 研究シーズ集

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ナノ微粒子を用いる炭素資源由来の窒素の無害化除去

Fuel窒素の事前除去と高温ガス精製へのナノ微粒子の利用

地球環境に調和した炭素資源の高度利用法の原理確立は、次世代に向けて最重要な研究テーマの一つである。本研究では、ナノスケールの金属・金属酸化物微粒子を用い、炭素資源をクリーンエネルギーに効率よく変換できる触媒プロセスの開発を目指している。

研究の内容

炭素資源中の窒素(Fuel-N)は燃焼時にNOxやN2Oとして排出され、また、高温ガス化では主にNH3に変化し後段のガス燃焼時のNOxソースとなる。本研究では、燃焼やガス化の前段の熱分解過程においてFuel-Nを無害なN2に変換する方法の開発に取り組み、イオン交換法で担持したCaイオンは熱分解時にCaOナノ粒子に変化し、N2生成に触媒作用を示すことを見出した。
また、褐炭中に元々含まれるFeイオンや褐鉄鉱中に多く存在するFeOOHは加熱過程で容易に金属鉄ナノ粒子となり、この触媒上でNH3、ピリジン、ピロールの分解反応を行うと、N2が選択的に生成することを見出した。このような含N種は石炭ガス化で生成する粗ガス中に含まれるので、これらの化合物の除去を目的とした新しい高温ガス精製法の開発への展開を図っている。

  • 図 500˚Cでのピリジン分解に
    対する褐鉄鉱の触媒性能

社会実装への可能性

  • ・Fuel-Nの事前無害化除去
  • ・ホットガスクリーンアップ
  • ・炭素資源変換
  • ・環境浄化反応
  • ・コプロセッシング
  • ・SDGsのGoal7、Goal9、Goal13等への貢献

産業界や自治体等へのアピールポイント

金属・金属酸化物ナノ微粒子が、バルク粒子とは異なる性質を持ち、高い反応性や特異な触媒能を示すことは周知のことである。当研究室では、炭素表面に高分散させたナノ微粒子等を用いて、炭素資源変換(石炭やバイオマスの低温ガス化など)や環境浄化反応(悪臭物質の除去など)を効率よく進める技術の確立にも取り組んでいる。

関連情報

2021/2/26更新, 2018/4/3公開