北海道大学 研究シーズ集

Nanotechnology / Materials

金属酸化物粉末中の電子トラップエネルギー分布測定

大谷 文章 教授 Bunsho Ohtani
工学博士

ほとんどすべての金属酸化物中に存在すると考えられる電子トラップについて,粉末試料の電子トラップのエネルギー分布を簡便、迅速かつ高精度に解析する手法・装置を開発した。

研究の内容

酸化チタン(IV)や酸化タングステン(VI)をはじめとしてほとんどの金属酸化物はn型半導体であり、実際に触媒や光触媒、湿式太陽電池などの伝導層などの機能性材料としてはばひろく生産、使用されている。これらの機能性はバルクの構造とともに表面の構造と特性に大きく依存する。しかし、これまでこれらの金属酸化物粉末の表面構造や特性を全体として巨視的かつ材料の種類によらず普遍的に評価する指標がなかった。本研究では、半導体性金属酸化物中に存在する電子トラップに着目し、その密度のエネルギー分布(ERDT)を、粉末のままで簡便、迅速かつ高精度に解析する手法と装置を開発した。ERDTは機能性をきめる因子としての利用や有機化合物の赤外吸収スペクトルや核磁気共鳴(NMR)スペクトルのように、金属酸化物粉末の指紋としての利用が可能である。

  • 本研究で開発した手法をもちいると金属酸化物粉末の「指紋」としての電子トラップ(ET)密度のエネルギー分布を解析可能。

  • 各種市販酸化チタン(IV)粉末のERDT/CBB(伝導帯下端エネルギー)パターン: それぞれ異なっていて指紋として使用可能。

  • ERDT/CBBパターンの一致度を解析するとべつべつの試料なのでほとんどは一致しないが、一部の組合せで0.6をこえる高い一致度が見られた。これらは、同一の製品の別名称品(あるいはそうである確率がきわめて高い)ものであり、X線回折パターンや比表面積測定では特定できない。

社会実装への可能性

  • ・金属酸化物の主要特性としての評価および機能性を決定する因子としての解析
  • ・金属酸化物粉末の同定
  • ・金属酸化物粉末の品質管理

産業界や自治体等へのアピールポイント

これまで不可能あるいは概念そのものがなかった「金属酸化物粉末の同定」が可能になるため、従来金属酸化物粉末評価につかわれてきたバルク特性の評価法である粉末X線回折や比表面積測定にかわる評価手法である。さらに生産現場において製造した粉末の品質管理が可能になる。

2018/4/3公開