Information and Communication
ドローン搭載用マルチスペクトルカメラシステム
栗原 純一
特任准教授
Junichi Kurihara
博士(理学)
次世代の農林水産業に向けたセンシング技術
可視~近赤外域の光を自由に選択できるマルチスペクトルカメラシステムをドローン搭載用に開発しました。空間走査の必要がないスナップショット方式のため、風などによるドローンのブレに強く、画像解析が容易です。
研究の内容
ドローン(マルチコプター)を利用したスペクトル計測、特にハイパーまたはマルチスペクトル撮像の農林水産業等への応用が急速に広まっていますが、機体の軽いドローンは風の影響を受けやすいため、空間走査が必要なプッシュブルーム方式等を採用した従来の撮像方法ではブレや画像の歪みを抑えるのが困難でした。そこで可視~近赤外(460-780 nm)の領域で波長を自由に選択できる液晶波長可変フィルタ(LCTF)を採用したマルチスペクトルカメラをドローンに搭載してスナップショット方式で撮像するシステムを開発しました。これにより、ブレによる空間分解能の低下を抑制しつつ、多波長の情報を取得することが可能になりました。ドローンの高度が150 mの場合は240×180 mの地面を空間分解能36 cmで撮像することができます。
社会実装への可能性
- ・農作物の生育状態・病害虫診断
- ・森林の樹種判定、病害虫診断
- ・沿岸の養殖地の評価・管理
産業界や自治体等へのアピールポイント
5年後に農業用ドローンの市場規模は5倍以上になると予測されていますが、農林水産業におけるドローン利用の鍵は、ドローンに適したセンシング技術とその精度です。高空間分解能と多波長撮像による圧倒的な情報量が診断・判定・評価の精度を高めます。今後はビッグデータ解析技術の応用も目指していきます。