研究紹介
えんじにあRing No.416 [2018年10月号] 冬期における自動運転の実用化
市街地における夜間の横断歩行者事故を防ぐため、ヘッドライトとの協調によりドライバによる横断歩行者の発見を早めるプロビーム道路照明を開発している。プロビームとは、灯具配光を車両の進行方向に照射する照明方式である。
プロビーム道路照明の要件と機能の整理を行い、光学シミュレーション・視認性評価実験から、道路上の横断歩行者の視認性を高める具体的なプロビーム照明の配光設計を行っている。試作灯具を用いて静止状態の視認性評価と映像による横断歩行者の発見時間計測を行った。その結果、対向車線を含めた道路空間全体の視認性が高く、右からのみでなく左からの横断歩行者の発見時間を高めることを明らかにできた。今後、試作した灯具を発展させ、道路灯として実用化に向けた灯具の設計と開発を現在行っている。
車両の前方の道路区間全体が「明」となり、その範囲も拡大することから、自動運転用の車載カメラセンサがその性能を発揮しやすくなる。これにより、市街地のようないろいろな明かりがある夜間であってもカメラセンサの有効性が高まる。夜間のセンサによる運転支援に大きな効果をもたらすことを期待できる。