北海道大学 研究シーズ集

ライフサイエンス:46件

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  • 水産動物の鮮度と食べ頃の『見える化』装置

    安全・安心を実現する魚介類の鮮度と食べ頃の評価装置

    我々は、産業技術総合研究所と共同で、致死後の魚介類の任意部位における分解成分の濃度の経時変化をシミュレーション法により求め、鮮度と食べ頃を評価するための『見える化』装置を開発した。

    • 図 開発中の鮮度評価装置の入力画面と計算結果の例

    研究の内容

    魚介類の産地および消費地における卸売市場では、鮮度が取引価格を決定する1つの重要な基準となっており、その評価指標としてK値が提唱されている。しかし、その値は死後の水産動物の任意の部位をサンプリングし、種々の前処理後に成分分析を行い算出するため、流通現場でのリアルタイム評価(把握)は出来ない。当研究室では、妥当なシミュレーション法による課題解決を考え、上記したような手法を用い、魚介類の種類や大きさ、死後の経過時間や保存温度などの各種情報から、鮮度と食べ頃を評価できる装置を開発し、現在その発明内容の権利化や携帯性の向上(スマートフォン等での利用)などを進めている。その成果は、SDGsのGoal8やGoal9およびGoal14の達成に貢献できる。

  • 独自の機能性脂質の開発を基盤としたin vivo核酸送達システム

    世界トップクラスの核酸導入能と安全性の両立

    siRNAの安全かつ効率的なin vivo送達を実現する独自の機能性脂質群を開発した。本脂質を含む脂質ナノ粒子は優れたエンドソーム脱出能力に起因する肝細胞への世界トップクラスのsiRNA導入効率および生分解性に起因する高い安全性を示した。

    研究の内容

    siRNAの実用化には優れた送達技術の開発がカギであるが、その送達効率には大きな伸びしろが残されている。また、実用性の観点では広い安全治療域を確保することも重要となる。さらに、特定の用途に限定されず、目的に応じた適切な製剤を提供可能なプラットフォーム技術の開発が強く望まれる。それらの実現のため、独自のpH感受性カチオン性脂質群を開発した。脂質ナノ粒子の体内動態に重要な因子である酸乖離定数の調節を実現し、標的に応じた分子設計を可能とした。また、新規脂質CL4H6を含む脂質ナノ粒子は肝細胞において世界トップクラスの効率で遺伝子発現抑制を誘導した。また、50%抑制投与量の約3,000倍もの投与量においても顕著な肝毒性は認められず、高い安全性が確認された。CL4H6はsiRNA送達後に速やかに分解除去された。

    佐藤 悠介 助教 Yusuke Sato
    博士(生命科学)
  • タンパク質代謝低下による新しい老化モデル

    加齢により様々な代謝の変化が生じます。いわゆる「代謝が低下」した状態は老化や生活習慣病、老化関連疾患の発症リスクを高めます。タンパク質代謝の低下により老化を示すマウスモデルを開発しました。

    研究の内容

    細胞内タンパク質の分解に働くプロテアソームは種を越えて細胞に発現し、生体機能の維持に重要です。老齢個体ではプロテアソーム活性が低下し、加齢によるプロテアソームの機能低下が老化や老化関連疾患の発症に関与します。本研究ではプロテアソーム活性が低下し、老化をきたすマウスモデルを作製致しました。本モデルに高脂肪食を負荷すると脂肪肝が増悪し、タバコ煙を負荷すると肺疾患をきたします。本モデルを応用することで、様々なヒト疾患の原因となるタンパク質の異常、ターゲット分子が解明できます。

    外丸 詩野 准教授 Utano Tomaru
    医学博士
  • ストレスによる病気の治療薬とバイオマーカーの開発

    「病は気から」の分子機構に迫る分子心理免疫学

    過労、不眠による突然死など社会的に広く問題となっている慢性的なストレスが、特定の神経回路の活性化を介して臓器障害と突然死をマウスに誘導する分子機構を明らかにしました。この系を利用して、ストレスに起因する病気の治療標的を探索できます。

    • 慢性ストレス負荷により室傍核(PVN)での交感神経が活性化(①)し,第3脳室,視床,海馬の境界部にある特定血管においてケモカインというタンパク質が産生され,血液内に存在する中枢神経系抗原を認識する自己反応性免疫細胞が血液脳関門を超えてこの特定血管周囲に集まり、微小炎症が誘導される。これが契機となり、新たな神経回路(②から⑤)が活性化し、胃・十二指腸を含む上部消化管での炎症が誘導されることで、心臓の機能不全により突然死が起こる。今回の研究による新たなブレークスルーは、「脳の特定血管での微小炎症が、新たな神経回路の活性化を誘導することで末梢臓器の機能障害が誘導されること」が明らかとなった点であり、ストレスゲートウェイ反射と呼んでいる。すでに様々な薬剤がこの実験系でテストされていて、消化管出血と突然死を防止する薬剤とその作用部位の例を示す。
      ストレスにて脳内特定血管で発現上昇する遺伝子群をすでに同定しており、その中で6つの遺伝子(C2CD4D、VSTM2L、VSTM2A、TMEM5、LY6G6C、ADRA2C)は、抗体を使った抑制によってストレス後の突然死が抑制された。

    研究の内容

    私たちは、ストレスと病気の関連を研究しています。最近、慢性ストレスを加えたマウスに中枢神経抗原に対する自己反応性T細胞を移入すると、マウスが突然死しました。死因は、ヒトと同様に胃・十二指腸の出血による心不全が原因でした。ストレス特異的な神経回路活性化にて脳内の特定血管に移入T細胞などが集まり微小炎症が誘導され、これを起点に活性化する新たな神経回路がこの胃腸障害・心不全を引き起こしました。これまで、分子機構が解明されているストレスの動物モデルは無く、本モデルは、ストレスに起因する病気の新たな薬剤のスクリーニングに有用です。さらに、この系を用いて、ストレス時に脳内特定血管で発現上昇する分子群を同定し、それら分子に対する抗体が突然死を抑制しました。また、現在、ヒトでも自己反応性T細胞のマーカー候補を同定しています。

  • 未修飾シアリル化糖鎖および複合糖質の高感度・高分解能構造解析を実現するMALDIマトリックス

    シアル酸のカルボン酸部位を修飾することなく、シアリル化糖鎖及び複合糖質をイオン化し、シアル酸残基が脱離することなく高感度かつ高分解能(リフレクターモード)で解析可能なマトリックスを開発した

    • 従来のマトリックスを用いた解析結果
      (低感度かつピークが複雑化する)

    • 新規マトリックスを用いて同一サンプルを同一濃度で解析した結果(感度100倍以上を実現)

    • 本マトリックスを用いてTOF/TOF解析をするとシアル酸以外に還元末端側糖残基も優先的に開裂する

    • 疑似MS/MS/MS解析により糖ペプチド糖鎖の詳細な配列解析が可能となる

    研究の内容

    糖鎖および複合糖質のシアリル化(シアル酸の付加)は発生、分化、疾患、感染、免疫等の様々な生命現象に関与する重要なバイオマーカーである。MALDI(マトリクス支援レーザー脱離イオン化)法は簡便かつ高感度なソフトイオン化法であるが、未修飾のシアル酸を有する糖鎖はイオン化効率が低く、さらにシアル酸の開裂等によりスペクトルが複雑化するという問題が存在する。本技術では、従来のマトリックスに対する添加系を改良することにより、一切の修飾工程を経ることなくシアリル化糖鎖及び複合糖質を、シアル酸の脱離を抑制した状態で高感度・高分解能測定に成功した。開裂パターン変化と高感度化に伴い、TOF/TOF解析や疑似MS3解析等も超微量サンプルで実施可能となった。本法は化学修飾と分離工程が不要であり、反応追跡や迅速検体解析が可能となる。

  • 生物時計を考慮した健康的な生活リズムをデザインするための基盤研究

    生物時計を考慮した健康的な生活・労働環境の提言

    日本人は世界的にみても睡眠時間が短く、睡眠障害による経済損失は約6兆円/年と試算されています。当研究室の専門領域は、睡眠に深く関わる生物時計を研究対象とした時間生物学です。時間生物学研究を推進し、国民の健康に寄与することを目指しています。

    • 当研究室の研究ビジョン.生物時計を調節し健康的な生活を送るためには3つの時計を調節することが重要です。私たちが生来持っている生物時計、生物時計を調節する環境因子である太陽光を制御する環境時計、そして私たちの生活リズムを規定する社会時計です。しかし、私たちの社会を見渡すと、生物時計に逆らった生活をおくるものも少なくはなく、内的同調を保つようなサポートが必要です。

    研究の内容

    生物時計は、私たちが毎日昼間に十分活動し、夜間に良質な睡眠をとれるように行動(睡眠と覚醒のタイミング)と生体内の環境を調節する重要な生体戦略です。しかし、現代社会では夜間交替勤務、時差飛行、24時間労働等により生物時計に逆らった生活を余儀なくされるものも少なくありません。私たちが生涯にわたって健康な生活を送るには、生物時計の構造および機能を理解すると共に、ライフステージや各自の生活習慣に応じて生活リズムを積極的にデザインし、最適化していくことが求められています。当研究室では、光と運動が生物時計に与える影響のメカニズム、時間栄養学を応用した効果的な栄養食事指導法の開発、睡眠・生体リズムの季節変動と生理機能の関連性を明らかにするための研究を進めています。

    山仲 勇二郎 准教授 Yujiro Yamanaka
    博士(医学)
  • カルニチンを用いた胸部外科術後の心房細動予防法の開発

    心臓弁膜症においては周術期のカルニチン内服が術後心房細動 (POAF) を抑制しうるかどうかを無作為割り付け多施設共同研究により明らかにする。肺癌および食道癌においては類似の先行研究がないため、単群介入試験を行う。

    • カルニチン内用液

    • 研究計画

    研究の内容

    胸部外科術後の心房細動(POAF)の頻度は高く、脳梗塞・心不全・感染症の増加につながり、入院期間の延長をもたらす点で問題となっている。唯一β遮断薬が有効とされるがその有効率は50%未満であり、副作用の点から使用できない場合も多い。脂肪酸代謝改善薬であるカルニチン製剤は近年、その抗炎症作用や脂肪酸代謝改善効果などから心筋梗塞後や冠動脈バイパス術後の不整脈抑制効果が報告されている。本プロジェクトでは、心臓弁膜症においては周術期のカルニチン内服がPOAFを抑制しうるかどうかを無作為割り付け多施設共同研究により明らかにする。肺癌および食道癌においては、単群介入試験により安全性とPOAF減少率の検討を行い、今後の無作為割り付け試験の検討に役立てる。

    新宮 康栄 講師 Yasushige Shingu
    博士(医学)
  • バイオ材料で作ったマイクロ・ナノパターン

    生体構造を模倣したバイオ系マイクロ・ナノパターンで
    細胞培養ツールや組織再生へ応用を目指す

    コラーゲンなどのバイオ材料や歯科材料を用いて、生体構造を模倣したマイクロ・ナノパターンを作製しています。パターン形状や材質の種類により細胞機能向上へと繋がります。新しい可能性を追求しながら細胞培養ツールや歯周組織再生への応用を目指します。

    研究の内容

    本研究ではナノインプリント法を利用し典型的なバイオマテリアルをパターン化しています。設計したマイクロ・ナノスケールの形状により細胞機能を制御し、新規細胞培養ツールや組織再生へと繋げたいと考えています。
    ●従来技術との比較: これまで例が少ないバイオ材料にて規則正しいパターンを作製することに特徴があり、新しい機能発現が期待されます。 (*従来:不規則・平面or工業的プラスチック)
    ●効果: 平面よりもパターン化により細胞付着数や伸展度合が大幅に向上します。溝形状では細胞を簡単に配列させることができます。それにより、細胞外マトリックス(ECM)の3D構築にも繋がります。
    ●今後: パターン化材料を平面だけでなく2.5次元、3次元へ展開し、さらに階層化することにより、生体に近い構造を持つ組織再生を目指します。

    赤坂 司 准教授 Tsukasa Akasaka
    工学博士
  • 腸内環境をパラダイムシフトするαディフェンシン

    医食同源の科学的理解から予防医療まで

    Paneth細胞が分泌するαディフェンシンは腸内細菌叢を制御し、排除と共生に深く関与する。食品、αディフェンシン、腸内細菌の三者が規定する腸内環境という視点から腸内環境を評価し、パラダイムシフトを興して疾病の機序解明や予防医療開発に繋げる。

    研究の内容

    単離小腸陰窩や三次元小腸上皮培養系であるエンテロイドを用いて、腸上皮細胞であるPaneth細胞の自然免疫 (αディフェンシン分泌)、腸内細菌との共生、再生・分化など多彩な機能に関わる分子機序を、共焦点レーザー顕微鏡やフローサイトメトリーなどの最先端分析手法を駆使して解明する。腸は生体において様々な臓器間ネットワークを形成しており、Paneth細胞の機能を中心に据えて腸内環境の仕組みを解析することで、腸内環境を制御することを可能とし、様々な疾病の予防策や治療法を創生する。腸からみれば「食」も「医薬」も同じであり、創生した知から産学・地域連携を通じて健康長寿社会の実現に貢献したい。

  • 光ファイバを利用した小型線量計の開発

    極微小シンチレータと光ファイバを組み合わせた
    超小型線量計を放射線治療・診断分野へ応用

    近年、X線透視による重篤な皮膚障害に対する被曝防護への関心が高まっている。本研究では、晩発性放射線障害予防を目的として、光ファイバの先端に極微小プラスチックシンチレータを取り付けた単純な構造をした、X線透視画像に写らない線量計を開発した。

    研究の内容

    X線透視を伴う血管内治療(IVR; Interventional Radiology)では、長時間にわたるX線透視を行われる。心筋梗塞などでは繰り返し手術を受ける可能性があるため、潰瘍などの重篤な皮膚障害が発生する可能性がある。従来の線量計は、透視に映るものや検出部分の体積が大きいなどの問題があった。特に、エネルギー依存性が測定の精度に影響を及ぼすため、小型でエネルギー依存性が少なく、かつ透視に映らない線量計は存在しなかったが、本研究にて開発を行ったSOF線量計は、センサー部分は生体と密度が近いためにX線透視下で全く映らないという特徴がある。また、現時点で60~150kVの範囲において感度変化5%以内を達成しているが、さらに感度変化を小さくするために、企業と共同でセンサー物質の改良を進めている。

    石川 正純 教授 Masayori Ishikawa
    博士(エネルギー科学)
  • ポリフェノールによる水の凍結抑制

    ポリフェノールによる過冷却促進効果の応用を目指して

    一部のポリフェノールが氷核物質と共存すると、氷核活性を抑制して結果的に過冷却状態を維持します。この凍結抑制効果(過冷却促進活性)のメカニズムの解明やいろいろな条件下での凍結防止を試みています。

    研究の内容

    ヨウ化銀や氷核細菌は、水の不均質核生成を促して水の凍結を促進します。このような氷核活性に対して抑制効果を示す化合物は、これまでにもいくつか報告されていますが、本研究で用いているポリフェノールは比較的低分子であり、共存する氷核物質の活性を数mMという低濃度で抑えて水溶液の凍結温度を数度低下させることが可能です。また、振動などの物理的刺激が加えられても過冷却を維持する効果もあります。このようなポリフェノール類は様々な植物にも含まれ、それらを産業利用するための条件検討を重ねています。例えば、動植物細胞や食品などの氷点下保存や農作物の凍霜害防止などは興味深いテーマです。凍結抑制効果はいろいろな要因の影響を受けるので、既存の凍結抑制物質の併用も含め、応用の可能性を検討し、氷核活性を阻害するメカニズムの解明も試みています。

    荒川 圭太 准教授 Keita Arakawa
    博士(農学)
  • 受容体結合プロレニン系を標的とした
    新規阻害薬の開発

    慢性炎症・血管新生などの病態形成に関与する
    (プロ)レニン受容体を阻害する医薬品の開発

    糖尿病網膜症をはじめとする網脈絡膜疾患の病態形成におけるレニン・アンジオテンシン系(RAS)の関与の解明や、さらにRASの上流にあたる(プロ)レニン受容体に対する阻害薬の開発から基礎研究に至るまで、広い視野に立った取り組みを行っています。

    • 網膜受容体結合プロレニン系(網膜RAPS)と硝子体レニン・アンジオテンシン系(硝子体RAS)

    研究の内容

    加齢黄斑変性や糖尿病網膜症は、主要な中途失明原因の網脈絡膜疾患であり、生活習慣病に合併した慢性炎症性疾患と位置づけられています。しかしながら、未だ根本的な治療法の開発・疾患発症機序の解明には至っていません。我々は、これまでに生活習慣病での臓器障害において受容体結合プロレニン系(RAPS)が炎症・血管新生病態の上流で疾患の分子病態を制御していることを報告してきました。そこで現在我々は、受容体結合プロレニン系の中心に位置する(プロ)レニン受容体を標的にして、網羅的な低分子化合物スクリーニングや医薬分子設計法などの技術を用いた創薬を視野に入れた基盤研究を展開しています。さらに疾患動物モデルを用い、(プロ)レニン受容体の機能解明、および生理的機能への影響を最小限にしながら病態への早期介入治療戦略の確立を試みています。

  • 生体成分の代謝と未病

    生体成分の代謝を考慮した非感染性病態発症機構の解明:食品の機能性評価系としての応用

    生体成分(胆汁酸やミネラルなど)の代謝解析を基盤として、各種疾患の発症機構解明と実験動物を用いた未病モデルの確立に関する研究を行っています。食を介する疾患発症予防の作用点解明を目指しています。

    研究の内容

    加齢と摂取ネルギー過多により肝臓で合成される胆汁酸の内訳は変動し、その状態での胆汁酸の組成・濃度は概ね特定されます。したがって、特定の胆汁酸を実験動物にごく少量与えることで、この状況での胆汁酸環境を模倣した状態を構築することができます。その結果、脂肪肝や関連病態が生じることを見つけました。また、亜鉛の軽度欠乏が潰瘍性大腸炎の未病モデルとなることを見出しました。これらのことは、食生活の偏り(過剰・不足)により継続的に生ずる軽微な代謝変化が感染性・非感染性疾患の発症に関与すること、食事成分の制御で当該状況を模倣した実験系自体が「未病」のモデルとなり得ることを示しています。現在、各種未病モデルの構築を行うとともに、それらの発症メカニズム解析を実施しています。さらに、これらの系を用いて食品の機能性評価を行なっています。

  • 高眼圧緑内障モデルマウス

    緑内障の神経保護剤および予防食品検討のための高眼圧緑内障疾患を持つVav遺伝子欠損マウス

    緑内障は眼圧の影響を受け視野が欠損し、失明にまで至る病気である。Vav遺伝子欠損マウスは自然発症的に高眼圧を呈し、緑内障と類似の病態を示す。 このマウスを用いて、緑内障のメカニズム解明および新規治療薬や予防食品の開発を目指す。

    • 図1:Vav遺伝子欠損マウス(KO)は野生型マウス(WT)と比較して6週より最大40%の高眼圧を呈する

    • 図2:Vavマウスの眼球組織所見で、視神経乳頭陥凹と網膜神経節細胞の脱落が認められる

    • 図3:Vavマウスは正常眼圧出であってもRGCの減少を示す

    研究の内容

    我々はシグナル分子Vav2およびVav3の遺伝子欠損マウス(Vavマウス)が、生後自然発症的に高眼圧を発症し(図1)網膜神経節細胞(RGC)の脱落(図2)を示すことを世界に先駆けて発見した。さらに、RGCが蛍光発色するCFP/Vavマウスを開発し、緑内障病因の本体であるRGC細胞死を緑内障病態下で定量的に評価が可能な系を構築した。2014年にはCFP/Vavマウスを用いた研究により、眼圧が正常範囲にあるVavマウスでもRGC細胞死が起こることを発見した(図3)。この結果は日本人の緑内障で70%以上を占める正常眼圧緑内障の実験研究への第一歩と期待できる。また、CFP/Vavマウスを評価系として用いることにより世界で初めての緑内障予防食品の開発が可能となる。

  • 一倍体性が動物個体発生に及ぼす影響の理解

    産業利用可能な一倍体制御技術の確立を目指して

    ゲノムを1セットしか持たない一倍体状態が動物個体発生に重篤な障害をもたらす仕組みを解明し、遺伝子工学や品種改良に利用可能な一倍体個体作成技術の確立を目指す。

    研究の内容

    動物細胞の体をつくる細胞は、母方父方2セットのゲノムを持つ「二倍体」です。一方、通常そのままでは増殖を行わない未受精卵を賦活化し、個体発生を誘導すると(単為発生)、母方のゲノムしか持たない「一倍体」胚となります。そこから一倍体個体が得られれば、遺伝子工学や純系作成に大変有用ですが、脊椎動物一般において一倍体胚は「半数性症候群」と呼ばれる初期発生異常により死滅するため、一倍体個体技術の利用は実現していません。私たちは、ヒト培養細胞およびマウス初期胚をモデルに、分子細胞生物学の技術を駆使して、一倍体状態が、発生過程に及ぼす影響を細胞レベルで明らかにすることを目指しています。その成果をもとに、「半数性症候群」を解消する細胞操作法を確立し、安定な形質を持ち生存が可能な一倍体個体の作成を可能にすることを目指しています。

    上原 亮太 准教授 Ryota Uehara
    博士(学術)
  • 遺伝子情報の機械学習による分類

    細胞の受容体と化合物の結合予測

    細胞の表面の様々な受容体は恒常性の維持や環境応答に重要な役割を果たしていますが、結合しうる化合物を明らかにするのは難しいとされています。機械学習によって結合化合物の候補を絞る方法を提案しています。

    • 各種の匂い物質に対する受容の機械学習による分類。

    • 立体構造モデリングによる検証。

    研究の内容

    ヒトゲノムが解読され、遺伝子の多くが解明されつつありますが、恒常性維持や環境応答に重要な役割を果たす受容体は、多くが膜タンパク質であり発現量も少ないことなどから、構造や機能の解明がなかなか進んでいません。一方、受容体の多くはその機能的な側面から、これからの創薬の主要ターゲットと期待されており、個人差を生み出す要因であると考えられます。受容体に結合しうる化合物を効率よく絞り込むため、機械学習技術を応用しています。

  • 分子標的治療薬の感受性試験

    蛍光バイオイメージングを用いて個々の細胞における薬剤反応性を可視化する技術

    蛍光バイオイメージングはシングルセルレベルでの細胞の振る舞いを可視化する技術です。本法ではイメージング技術を応用し、薬剤に対する反応性と耐性の有無を可視化、将来の患者の薬剤応答性を予測することを実現しました。

    • BCR-ABL活性を測定する蛍光バイオセンサーPickles

    • Picklesによるシングルセルレベルでの薬効評価

    • 本技術による薬効評価判定例。青は本検査で感受性と判定された症例、赤は抵抗性と判定された症例の経過。太線はそれぞれの平均を示す。

    研究の内容

    本診断技術では、蛍光タンパク質とフェルスター共鳴エネルギー移動(Förster resonance energy transfer, FRET)の原理を用いた蛍光バイオセンサーを用います。このバイオセンサーによりシングルセルレベルでの薬剤反応性を可視化することで、極少数の薬剤耐性細胞が検出可能となりました。結果として、従来技術では成しえなかった投与後の臨床経過との高い一致率と将来の薬剤応答性の予測を達成しました。本技術は世界初の蛍光タンパク質の臨床応用例であるとともに、効果が約束された治療法選択による安全性担保、患者の経済的負担軽減、医療費抑制による医療経済的効果などにつながると期待されます。現在のところ慢性骨髄性白血病という血液のがんをモデルにプロジェクトを進めていますが、原理的には多くのがんに応用可能です。

    大場 雄介 教授 Yusuke Ohba
    医学博士
  • 肝臓のストレスを抑えて、肝臓病を予防!

    肝臓の生活習慣病(脂肪肝、肝炎、肝硬変)にならないために

    肝臓を中心とした臓器ストレスの分子機構を解析し、生活習慣病の診断・予防・治療に向けた研究を進めています。我々独自の光イメージング技術を用いてダイナミックな解析を行い、新しい視点から機能性食品の探索・新薬の開発を目指しています。

    • 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、単純な肝の脂肪化をきっかけとして、様々なメカニズムが付加的にはたらくことで、脂肪性肝炎・肝硬変・肝癌に進展していくと考えられています。各プロセスにおける病態進行のキー分子を突き止め、それらを制御する食品・薬剤の探索を試みています。

    • 私達は、生体イメージング法をもちいて肝臓のストレスを実際に可視化することで、様々な要因による肝傷害・肝炎の促進を生体レベルでスクリーニングしています。

    研究の内容

    近年、脂肪肝・脂肪性肝炎等の生活習慣に関連する疾患は確実に増加してきています。これらの病態は進行が遅く自覚症状が少ないため一般に疾患意識が薄く、予防も困難です。しかしながら、これらは肝硬変・肝癌へ進行することが知られていて、予防、進行の抑制が重要です。
    私達は、様々なストレスによる肝の脂肪化、傷害、肝炎、肝線維化への進行の分子機構を研究しています。同時に、病態の進行抑制するために、機能性食品・治療薬の探索研究を行っています。さらに、光イメージング技術応用し、ユニークな病態解析、機能性食品・薬剤のin vitroスクリーニング系の構築を試みています。
    細胞・生体に対する様々なストレスは、肝臓以外の臓器の様々な病態にも影響していることが示されており、それらの予防法・治療法の開発への応用も期待されます。

    尾崎 倫孝 教授 Michitaka Ozaki
    医学博士
  • 粘着性ゲルの口腔内装置への応用

    粘着性ゲルにより口腔内装置の維持のイノベーション

    歯科で用いられる口腔内装置はクラスプなどの維持装置で歯に維持を求めている。本研究ではポリカーボネートフレームの皮膚や粘膜面側にPCDMEゲルなどの粘着性ゲルを接着させた口腔内床装置(口蓋閉鎖床など)を試作し、開発に取り組んでいる。

    • PCDMEゲルを接着したポリカーボネート板

    • 指に粘着したPCDMEゲルを接着したポリカーボネート板

    • シリコンの歯列模型に装着した口蓋閉鎖床

    • PCDMEゲルを接着したポリカーボネートの口蓋閉鎖床の口蓋粘膜面

    研究の内容

    本研究による口腔内装置を口蓋閉鎖床として用いる場合、粘着性を有するゲル組成物を口腔内粘膜に接触させて固定させることができるため、従来の口蓋閉鎖床(図1)とは異なり、クラスプを必要としない。このため、クラスプに起因する歯肉炎の発生を低減することができ、歯列の側方成長の妨げを回避でき、締め付け感、圧迫感等無しに快適に装着することができ、口蓋閉鎖床を着脱する際には口腔内を傷付けず安全に行うことができる。また、歯の未萌出時期にも装着でき、早期より言語トレーニングを行うことができる。さらに、薄いフレーム上に薄くゲル組成物を形成させることができ、均一な厚さとすることができる。このため、装着時の違和感が軽減されるとともに、口腔空間を広く確保することができ、舌の可動領域が広がることで言語トレーニングに有効である。
       

    金子 知生 講師 Tomoo Kaneko
    博士(歯学)
  • リウマチAI診断研究

    単純写真による関節裂隙狭小化判定

    関節リウマチ患者における関節破壊性変化の客観的かつ詳細な定量的解析情報を提供するコンサルティングシステムの開発を試みる。画像解析は、独自に開発したプログラムを用いて、X線画像の経年変化から計測し、国内外の研究・臨床機関に対し情報提供する。

    • 中指指節間関節の単純X線写真(図1,2)
      関節遠位側の輪郭は帯状高吸収域として描出され、熟練者はその帯状高吸収域の内部に輪郭を設定する(true margin)ため、この職人芸とも言うべき熟練者の輪郭描画はコンピューターによる再現が困難となる(図1は文献から引用)。
      図2は我々のオリジナルの手法で、自作ソフトウエア上で治療前後の2画像の基節骨(上側の骨)側の輪郭を合わせることで中手骨頭(下側の骨)の位置ずれに基づき関節裂隙変化を検出・計測している

    研究の内容

    我々はこれまで、単純X線写真上の関節裂隙狭小化進行を客観的に計測するソフトウエアの開発・バリデーションを進めてきた。最新のソフトウエアでは、独自の経時差分技術と輪郭抽出技術とを用いて、対象となる手足の関節の関節裂隙の変化を面積(平方ミリメートル)で表示することが可能となった。
    一方で、世界的な視野に立っても、ソフトウエアで単純X線写真上の関節裂隙狭小化進行を自動的に検出することは困難であり、マニュアル操作に依存する工程が残されており、各病院・診療所レベルでの計測には無理がある。そこで、本研究の目的はインターネットを介して臨床試験・臨床研究を主導する国内外のクライアントのニーズに対応可能な、関節リウマチ破壊性変化定量解析のコンサルティングシステムを構築することである。

    神島 保 教授 Tamotsu Kamishima
    医学博士