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高速ロボティクス
"高速性"をキーワードとして,高速化に必要なアーキテクチャから,高速化に付随して生じる課題解決技術まで,理論・アルゴリズム・デバイス・システム・アプリケーションといった総合的な観点でロボット開発をおこなっています.
研究の内容
主に以下の3つのカテゴリーから構成される高速ロボティクスを研究しています.
I. スポーツスキル:従来のロボットが不得意としていたダイナミックな運動を実現する研究.特に,スポーツ時に観測されるような投打走捕に関する技能の創出を目指します.
II. 動的操り:多指ハンドを利用して特定作業の自動化・高速化を実現する研究.特に,組立から検査までを対象とした多種多様なタスク/工程の遂行を目指します.
III. 衝撃完全制御:高速接触時に生じる撃力を抑制して,高速性と柔軟性を両立する研究.特に,バックドライバビリティに着目した新たな衝撃緩和技術の確立を目指します.妹尾 拓 准教授 Taku SENOO博士(情報理工学) -
ナノ知識探索プロジェクト
ナノ結晶デバイスの実験記録からの知識発見
本研究では、ナノ結晶デバイスの研究開発の過程で作成される実験記録やその成果を取りまとめた論文などから、デバイス開発に有用な情報を抽出し、整理する知識マネージメントの研究を行っています。
研究の内容
本発表では、実際のナノ結晶デバイス開発の研究者からのインタビューに基づいた、実験記録管理システムを提案しています。本システムでは、これまで別々に保存記録されていた実験に用いていたパラメータの記録と、その結果である実験記録を統合的に管理する方法を提案しています。また、最終的な実験のまとめである論文からの情報抽出を行うことにより、研究者によって行われる一連の実験の目的や特徴などを詳細に分析し、様々な事例間の類似性などを議論するための基盤として活用する方法を提案しています。本手法では、少数の手作業で作成した情報抽出のためのコーパスに、機械学習の方法を用いることにより、未知の論文に対し、有用な情報抽出を行うための方法を提案しています。
吉岡 真治 教授 Masaharu Yoshioka博士(工学) -
社会実装に到達するマルチメディア人工知能技術
産学連携研究を通してAI技術の実用化に迫る!
本研究では、画像・映像・音楽・音声を中心とするマルチメディアデータを対象とした人工知能技術の開発を行っています。特に、産学連携研究を中心として、医用画像、社会インフラデータ、材料科学等に関わるデータを研究対象として扱っています。
研究の内容
我々は、世界最先端の人工知能研究だけでなく、融合領域研究を推進し、実社会の課題解決に挑戦しています。具体的に、医用画像研究では国内の多数の医療機関と連携し、人間の診断精度を超えるAI技術を構築しました。また、医療・土木の研究では、AI研究の課題でもある少量データ学習を可能にするだけでなく、判定結果を説明可能にするExplainable AI (XAI)を構築し、実際の現場で利用可能な技術の実現を行っています。また、近年では、人間の脳活動データや視線データ等、人間の興味や関心に強く関連する情報をAIの学習過程に導入することで、人間のように判断可能なヒューマンセントリックAI技術の構築を行っています。
小川 貴弘 教授 Takahiro Ogawa博士(情報科学) -
小型電子加速器中性子源を用いた
通信機器のソフトエラー試験宇宙線に起因する通信機器の誤動作を未然に防ぐ
通信ネットワークを支える機器の半導体デバイスの高集積化が進展してきており、宇宙線中性子によるソフトエラーの確率が高まることが懸念されている。その対策のため、北大の小型加速器中性子源を利用して、通信機器のソフトエラー試験を実施している。
研究の内容
通信機器の大容量化・高機能化に伴い、半導体デバイスの高集積化が進んでいる。しかし、宇宙線中性子によって、ビット情報が反転し動作が混乱するソフトエラーの増加が懸念されている。そこでNTTと共同で、小型電子加速器駆動中性子源によりソフトエラーを再現させ、トラブルに対して事前に対策技術を開発できる場を提供できるようにした。これにより、故障発生率を事前に予測できるようになると共に、エラー検出や運用対処の確認が可能となり、機器の信頼性の向上につなげられる。
本技術の特徴は「小型加速器中性子源」の活用である。従来は大規模加速器中性子源が必要とされてきたため、試験時間や実験スペースの十分な確保は困難であった。しかし本学における研究により、中性子強度が自然界の約数百万倍の施設でも、十分な試験が可能であることを実証した。佐藤 博隆 准教授 Hirotaka Sato博士(工学) -
加速度センサーによるつまずき場所の特定
高齢者の転倒予防のために
転倒による重篤な怪我を避けるために予兆である“つまずき”の多い場所を普段の生活者の行動から探すシステムを検討した。サンダルに埋め込んだ加速度センサーによりつまずいたことを、天井の赤外線センサーネットワークによってつまずいた場所を特定する。
研究の内容
高齢者の緊急搬送の約8割は転倒事故だそうである(2014年東京消防庁調べ)。衰えた身体能力に意識が追いつかず小さな段差や履物、衣服につまずく。転倒を検出する研究は多いが実際に転倒を起こしてからでは遅い。そこで、よくつまずく箇所を検出して転倒を誘引する原因を予め取り除くことを考えた。ウェラブル(身につける)な装置は物忘れや装着への心理的抵抗に関して、監視カメラなどのノンウェラブル装置では死角やプライバシィの保護に関して問題がある。本研究では、普段履きのサンダルなどに加速度センサーをとりつけて“つまずいた”ことを検出する一方、連動して働く天井に設置した赤外線センサーネットワークでその箇所を特定する。実験では転倒は容易に区別できたが、つまずきを通常歩行から区別する精度は現状1/4程度であるため今後精度向上が望まれる。
工藤 峰一 教授 Mineichi Kudo工学博士 -
高付加価値メディア情報通信技術
情報ハイディング技術によるサブチャネルデータ通信
を利用したメディア情報通信技術の高付加価値化本来は情報セキュリティの手法として利用されることが一般的な情報ハイディング技術を転用することで、標準フォーマットとの互換性を維持しながらも新たな機能をつけ加えることができる高付加価値メディア情報通信技術について研究している。
研究の内容
本研究は、情報ハイディング技術によるサブチャネルデータ通信を利用したメディア情報通信技術の高付加価値化を目指している。
応用例として、本研究は、電話音声のハイファイ化について検討している。従来の電話音声は帯域制限によりこもった品質になっているが、提案法は、あらかじめ送信側で広帯域化のための情報を音声データに埋め込んでおくことで、受信側で電話音声をハイファイ化する手法になっている。
そのほか、本研究は、原本性保証のための情報を画像データに埋め込んでおくことで、改ざんを検出する手法についても検討している。図1~3に、提案法による自動車のナンバープレートの改ざん検出例を示す。提案法は、画像が改ざんされると該当部分があぶり出され、改ざんの有無だけでなく、改ざんされた箇所も検出できる手法になっている。青木 直史 助教 Naofumi Aoki博士(工学) -
携帯端末用高速日本語入力システムの開発
スマートフォン,携帯電話用の高速で容易な
日本語入力法の開発スマートフォン等の携帯端末に高速かつ容易に日本語を入力する方法は未だ存在しません。本研究では強力な学習機能を用い50音の仮名1行を数字に対応させることにより通常の半分の打鍵数で日本語の入力が可能となるシステムを実現します。
研究の内容
本システムは、文字情報縮退方式により入力された数字列を漢字仮名混じり文に変換するものです。文字情報縮退方式により一つの数字にあ行、か行など50音の仮名1行を対応させ、高速かつ容易な入力ができます。本システムでは、入力された数字列と人手により校正された校正済み変換結果から帰納的学習により語を獲得します。したがって、辞書が空の状態からでも文脈に依存した語を獲得し、動的に対象に適応できます。入力が母音情報の縮退した数字の列なので、曖昧さが生じます。この曖昧さを解消するため、隣接文字情報、最上位階層語、位置推測情報を利用しています。最上位階層語の利用と位置推測処理により、獲得される語数の増大を図っており、隣接文字情報により、語のつながりを考慮した変換が可能となっています。
荒木 健治 特任教授 Kenji Araki工学博士 -
センシング用低電力A/D変換器
Time to digital converter のA/D変換器への利用と
その低電力化もっとも簡単な構成であるSingle-Slope A/D変換器は、イメージセンサなど様々な形で利用されています。しかし、変換速度が遅いことが欠点でした。本手法は、その高速化と低電力化を同時に実現する技術です。
研究の内容
Single-Slope A/D変換器は、アナログ値を時間に変換してデジタル化します。そこで、Time to DigitalConverter (TDC) を用いることで、変換時間を大幅に削減できます。しかしながら、消費電力が大幅に増加してしまいます。TDCを間欠動作させることでTDC部の消費電力を数十分の一に削減し、高速化と低電力を両立いたします。本手法の特徴として、以下が挙げられます。
・低電力/高速化/小面積なA/D変換器の実現
・高精度・粗精度な2つの計測の同期・整合性を原理的に保証
・A/D変換特性が連続的で補正が容易。池辺 将之 教授 Masayuki Ikebe工学博士 -
境界要素解析フレームワークと分散H行列法
最先端の大規模・高精度解析を実現する
並列計算環境において高性能な境界要素解析を実現するためのソフトウェアフレームワークを開発しました。また、同解析を高速化する技術であるH行列法について、分散環境に対応したライブラリを開発し、多様な応用分野のプログラム上で性能評価を行いました。
研究の内容
本研究では、JST CREST「自動チューニング機構を有するアプリケーション開発・実行環境」の一環として、並列境界要素解析フレームワークを開発しました。本フレームワークを利用することにより、少ないプログラミングコストで大規模並列計算システムに対応する境界要素解析プログラムを開発することができます。また、本プロジェクトでは、H行列と呼ばれる密行列をよりデータ量の少ない行列で近似する手法のライブラリを開発しています。本ライブラリは境界要素解析以外のN体問題等の解析でも利用が可能であり、既にスパコン上の地震シミュレーション等に活用されています。複数のスレッドとプロセスを活用するハイブリッド並列処理に対応したH行列に関するライブラリは国内外でも他に例がなく、本研究の特徴となっています。
岩下 武史 教授 Takeshi Iwashita博士(工学) -
光複素振幅計測技術
光の空間位相情報を検出可能にする「見えないものを見るための技術」
本技術は、2台のセンサと偏光光学素子によって、空間補完誤差を生ずることなく1回の計測で光位相分布の精確な検出を可能にします。3D画像計測、3D断層計測、デジタル位相共役、3D光メモリ、空間モード光通信など多岐にわたる応用が期待されます。
研究の内容
ホログラフィックダイバーシティ干渉法では、複数のイメージセンサを偏光光学素子と組み合わせて配置することで、空間補完誤差を生ずることなく1回の計測で精確な光位相分布の検出を可能にします。これまでに、2台のイメージセンサによる干渉光学系の開発と計測アルゴリズムの大幅な改良を行い、高精度な位相計測を実現すると共に、計測された位相分布データを用いた3D情報処理を可能にしました。この技術は、3D光情報の取得やデジタル位相共役による光断層撮影、ならびに、3D光メモリに直接応用することができます。また、本研究では、信号光に空間フィルタリングを施した光を信号光と再干渉させる参照光不要型位相検出装置の開発にも成功しました。これにより、空間モードを用いた次世代超高速光通信システムやリモートセンシング分野への応用が期待されます。
岡本 淳 准教授 Atsushi Okamoto工学博士 -
コミュニケーションロボットシステム
対話の活性度を用いた社会空間認識システムおよび複数ロボットによる注意誘導システム
人同士の対話の活性度を計算することにより、ロボットはその対話空間の「強度」を認識することができ、文脈に適応した行動をとることができる。さらに、このメカニズムを複数ロボットの動作に応用することにより、ユーザの注意誘導が可能となる。
研究の内容
本研究の対話活性度計算システムでは、対話者間の距離、音声データ、身体動作などの情報を用いて、リアルタイムで活性度を計算する。この活性度を用いることにより、ロボットは対話空間に侵入してよいのか、対話を中断してよいのかを判断することができ、文脈適応的な行動をとることができる。さらに、複数のロボット同士の行動に対して、対話活性度を高めるような動作をさせることにより、ユーザの注意(視線など)を容易に誘導することができるようになる。このような対話活性度を用いたロボットの動作生成システムは、従来の社会的ロボットの研究にはなかったものであり、受付窓口のロボットや、家庭向けホームロボットにも応用可能である。
小野 哲雄 教授 Tetsuo Ono博士(情報科学) -
イベント情報推薦システム
イベント数週間前から開催日までにデータを収集して
適切にイベント情報を推薦するシステムイベントに関する情報は情報としての有効期間が短く、従来の情報推薦技術では扱いにくいものでしたが、ユーザの興味や地理的特性など複数の要因を組み合わせることで柔軟に推薦を行う手法を開発しました。
研究の内容
ユーザの過去の情報閲覧履歴から、どのようなジャンルや情報源を好むのかを推定し、また興味の似通ったユーザの閲覧傾向を参考にしながら、対象ユーザが興味を持つイベント情報を推定します。さらに、ユーザの地理的特性を考慮して、最終的にユーザへ情報提示を行います。システム全体のパフォーマンスが上がるよう、情報配信のタイミングを全体で調整しています。
川村 秀憲 教授 Hidenori Kawamura博士(工学) -
クラウドソーシングにおける品質管理
人間の確信度判断を利用した高精度な意思決定
インターネットを通して多数の人に仕事を依頼できるクラウドソーシングにおいて、作業結果の品質を保証する研究を行っています。作業結果に対する作業者の確信度判断を用いることで、高品質な作業結果を導きます。
研究の内容
近年クラウドソーシングサービスの出現により、インターネットを通して多数の人に容易に仕事(タスク)を依頼できるようになり、画像認識、自然言語処理、情報検索、データベースなど情報科学の様々な分野で活用が進んでいます。クラウドソーシングにおいては、必ずしもすべての作業者がタスクに取り組むのに必要な能力や真面目さを備えているとは限らないため、作業結果の品質管理が重要となります。我々は作業者に自分の作業結果に対する自信(確信度)を申告してもらうことで、作業結果の品質を担保する方法を提案しました。作業者の申告した確信度をそのまま信用するのではなく、自信過剰な作業者や自信過小な作業者の存在を考慮した統計的な品質管理を行う点が技術的な特徴です。
小山 聡 准教授 Satoshi Oyama博士(情報学) -
小型空中映像表示システム
デスクトップで目の前に映像が浮いて見えて
直接触れる視覚提示システム従来、ディスプレイに表示されていた3DCGなどの映像を、空中に表示する小型映像表示システムを開発しました。デスクトップで目の前に浮いて見える映像に直接手を伸ばして触ることができます。
研究の内容
立体視ディスプレイやヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの性能向上が、3DCGや仮想現実(バーチャル・リアリティ:VR)の体験の質を向上させました。本研究ではそれらに続く次世代の情報インタフェースを研究しています。空中映像表示技術では、目の前の空間にディスプレイやゴーグルなどの設備はありません。また、ユーザが仮想空間に入り込むのではなく、現実空間に3DCGを表示することで、設備的にも視覚的にも自然な情報提示が可能となります。さらに、映像が見えている場所へ直接手を伸ばすことができるため、映像に触れたり動かしたりすることができます。この空中映像表示システムをデスクトップサイズで実現するとともに、それに適した映像コンテンツの作成技術も研究しています。
小水内 俊介 助教 Shunsuke Komizunai博士(工学) -
垂直離着陸型無人航空機
飛行機のように高速で飛行し、ヘリコプタのように
空中停止(ホバリング)可能な無人航空機飛行機のように主翼で揚力を得て高速飛行しつつ、ヘリコプタのようにホバリングできる垂直離着陸型無人航空機を実現しました。例えば災害発生時に素早く災害現場に飛行し、上空でホバリングしながら被災地の様子を撮影する、などへの応用が期待されます。
研究の内容
DHLやアマゾンが無人航空機による配送のテストを行うなど、無人航空機の産業応用が期待されています。これらの無人機にはマルチコプタと呼ばれるヘリコプタ型が使われていますが、固定翼を使って飛行機のように飛行することで効率よく高速で移動が可能となり、一般のマルチコプタと比較すると同じバッテリで遠くまで飛行することができます。
近野 敦 教授 Atsushi Konno博士(工学) -
次世代超高速通信網の核となる高度光通信技術
情報通信ネットワークの飛躍的な高度化を目指して
今後20年間に1,000倍の大容量化が必須とされる情報通信ネットワークの飛躍的な高度化のため、次世代超高速通信網の核となるフォトニック基盤技術を実現することを目指しています。
研究の内容
既存の光ファイバの限界を打ち破る新構造光ファイバの研究、安心と安全を確実にするための光ファイバ応用技術の研究、光化に対応するための超小型光回路の研究、光ファイバや光回路の設計を支援するための光シミュレータの研究を行っています。
齊藤 晋聖 教授 Kunimasa Saitoh博士(工学) -
電子ホログラフィックHMD装置の開発
理想的な3D映像の表示
電子ホログラフィによる3D表示のヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置の開発を行っています。これには新たな計算アルゴリズムと新設計の光学系が用いられ、小型、軽量な実用的装置を実現しました。
研究の内容
電子ホログラフィによる表示装置では人間の視覚生理に適合したストレスの無い3D映像を表示することができます。本研究で開発した電子ホログラフィを用いたヘッドマウントディスプレイ(HMD)では従来必要であった複雑な光学系を、計算機による補正を用いて単純な構成の光学系に置き換えました。これによって、電子ホログラフィとしては世界で最小、最軽量、かつ低価格を実現しています。また、下の図に示すようにホログラムの像を奥行きに合わせて表示することができ,従来のHMDの様に利用者に奥行き焦点ズレによるストレスを与えることはありません。
坂本 雄児 教授 Yuji Sakamoto工学博士 -
ARコミュニケーションシステム
端末の位置・姿勢情報の共有によるアバタベースの
拡張現実グループコミュニケーションアバタを仲介とすることで時空の制約を越えたコミュニケーションが可能である。本システムでは、グループコミュニケーションの参加者の位置・姿勢情報を共有し、各参加者の端末から見えるアバタの振る舞いに反映させるARコミュニケーションを実現した。
研究の内容
従来のアバタベースのコミュニケーションシステムは1対1の通信を基本としているため、仮想と現実が混在する3人以上のコミュニケーション場において、その場に参加する物理的な人の位置や姿勢情報を個々に認識し、それに応じたアバタの振る舞いを、場全体の整合性を保持したまま、個別に制御することは困難であった。
本研究では, コミュニケーション場に参加する物理的な人々(スマートフォン端末等)の位置・姿勢情報を共通ARターゲットの認識と端末間のネットワーク連携で共有し、これを各端末から見えるアバタの振る舞いに反映させるARコミュニケーションシステムを開発した。アバタはコミュニケーション場の参加者の誰が何処にいるかを把握し、ある参加者端末の動きに追従してポーズを変えるアバタの様子を、別の参加者がそれぞれの視点から見ることができる。髙井 昌彰 教授 Yoshiaki Takai工学博士 -
高精度音響位置認識、時刻同期、選択的フリッカレス可視光通信
サブミリオーダー位置計測とその展開
従来手法より2桁高精度な測距技術および照明を用いた独自の時刻同期技術とを統合し、携帯端末やロボットの3次元位置ならびに速度を高速かつ正確に推定する。さらに、特定の移動体に対する選択的フリッカレス可視光通信や位置依存の情報配信を実現する。
研究の内容
室内でのユーザや移動物体の位置をリアルタイムで正確に取得するため、位相一致法と呼ばれる高精度時刻基準点設定法を独自に提案した(測距誤差0.03 mm)。この技術を基にスマートフォンユーザのジェスチャ認識、ロボットトラッキングシステム等を開発した。さらに、カメラ機能搭載の携帯端末とLED照明を用いた独自のアルゴリズムにより、マイクロ秒オーダーの時刻同期を実現した。LED変調と端末位置の位置情報を統合することにより位置依存の情報配信や室内照明によるフリッカレス可視光通信が可能になる。
杉本 雅則 教授 Masanori Sugimoto博士(工学) -
スポーツコンテンツの次世代可視化技術
知識共有を加速させる情報提示技術の創世
スポーツの観戦や教育等を助けるデータを提示する次世代可視化技術を構築します。利用者やその周辺環境から得られる多様なデータから、「分析データ」と「利用環境に適応した提示方式」を定める理論を導出し、知識共有を加速させる情報提示を可能とします。
研究の内容
スポーツを取り巻く現状として、様々な映像配信が普及し、映像と共に関連するデータをスマートフォン等のモバイル端末によって閲覧する新しい観戦の環境が構築されつつありますが、サッカーにおいては、フリーキックの成功率や走行距離等の基本的なデータを閲覧可能としていることに留まっています。本研究は、利用者やその周辺環境から得られる多様なデータを分析し、利用者の理解を助け、知識や経験が必須な場合においても、その知識共有を加速させる可視化を可能とします。例として、パスコースや優勢な度合い等が挙げられます。本研究の可視化技術は、利用者を取り巻く様々なデータを取得し、多様な情報を利用環境に適応して提示可能とするものであることから、IoTやAIの分野への応用可能性が高く、これら分野における新技術の創世への貢献が期待できます。
高橋 翔 准教授 Sho Takahashi博士(情報科学) -
電子顕微鏡内での電気特性と構造変化の同時観察
電気的特性と構造変化の関連を評価でき、信頼性確立に有効
電子顕微鏡内に電子デバイス片を配置し、これに可動プローブ電極を当て、電気特性を評価しながら、電子顕微鏡による観察を可能に。サンプル側電極にMOSFETを搭載し、過剰電流を抑制可能に。電気特性と構造変化の相関を評価し、故障原因究明などに有効。
研究の内容
本研究による電子顕微鏡その場観察システムは、可動プローブ2本とサンプル固定部を電極とした3端子のデバイス測定が可能です。サンプルホルダーには、浮遊容量による過剰電流が流制限するためのMOSトランジスタを挿入してあります。
実用化に近い、微細電子デバイスには、相変化メモリや抵抗変化メモリなど、抵抗変化に伴っての構造変化が予測されているデバイスがあります。微細デバイスは、動作速度が速い上に、構造がナノスケールであるため、抵抗変化が引き起こされるメカニズムの確認が困難です。本システムは、この評価を可能にするとともに、信頼性確保のための不良動作原因などの調査に有効です。加えて、今後期待されるナノ構造機能デバイス、例えばナノマシンやナノ構造2次電池などの動作機能の確認や不良原因の評価などを効果的に行うことを可能にします。高橋 庸夫 学術研究員 Yasuo Takahashi工学博士 -
レーザ計測点群の認識・モデル化技術
人が活動する環境や構造物の分析・維持管理・計画の高度化を目指して
3次元レーザ計測点群から、室内や道路、柱状物(電柱や街灯)、街路樹、建物といった、人が活動する環境に存在する物体や構造物を自動で認識し、3次元モデル化するための点群処理の理論とアルゴリズムを開発しています。
研究の内容
地上設置型や車載型の3次元レーザ計測システムで得られる『点群』から、屋内外の環境における物体や構造物を自動で認識しモデル化する技術ならびに基礎的な点群データ処理手法の研究を行っています。認識とモデル化の対象は、任意形状の物体、部屋、電柱や街灯等の柱状物、樹木、道路面、建物など、幅広く扱っています。点群からのメッシュモデルやポリゴンモデル、CADモデル生成技術に加え、その基礎となる点群の位置合せ(レジストレーション)、領域分割(セグメンテーション)、形状特徴抽出、機械学習や手続きに基づく物体認識に関する研究も行っています。本技術により、現況を忠実に反映した3次元モデルを用いた、環境や構造物の詳細な認識と分析、維持管理、各種シミュレーションや改善計画が可能となります。
伊達 宏昭 准教授 Hiroaki Date博士(工学) -
情報科学・工学のための数理解析技術
システム同定・設計と逆問題
システム同定・設計や未知対象の推定などに関連する情報科学・工学分野の問題を解決するための方法論の探求、及び、応用技術の開発。
研究の内容
情報科学や工学の分野においては、所望の結果を与える数理的なシステムの設計問題や、所与の入出力を与える数理モデルの特定問題、システムと観測から未知入力を推定する逆問題などが多く現れます。これらの問題を扱う際に、個々の問題特有の条件と個々の問題とは独立した数理モデルに分けて解析を行うことで、性能や限界を理論的に見極めることが可能となり、また、類似した数理モデルで記述できる問題への水平展開も可能となります。これまで、この独自のスタンスで、画像や色彩の復元や、音響信号に含まれる個々の音の分離、パターン認識や標本化理論を含む機械学習問題において様々な方法論の構成や応用技術を開発してきました。今日の発展著しい多様な計測技術に我々の方法論を適用することで、理論に裏打ちされた様々な応用技術の開発が期待できます。
田中 章 教授 Akira Tanaka博士(工学) -
動画像リアルタイム処理技術
アルゴリズム開発とそのハードウェア実装
本研究室では、近年大容量(高解像度・高フレームレート)化が著しい動画像を対象として、画像平滑化(スムージング)や明るさ補正を中心とした、各種画像処理アルゴリズムならびにそのリアルタイム実装に関する研究開発を推進しています。
研究の内容
画像処理では一般に取り扱うデータ量が膨大であるため、ハードウェア/ソフトウェアを組み合わせたシステム全体としての最適化が必要不可欠です。本研究室では、画像処理のアリゴリズムおよびその実装に関する検討を相補的に行うことにより、画像処理システムの構成手法に関する研究を行っています。その成果の1つであるRetinex理論に基づく動画像リアルタイム適応的明るさ補正(図1)では、逆光などの照明変化が大きい状況下で撮影された映像の明るさを、適応的かつリアルタイムで補正することが可能です。また、コスト最適化に基づく高品位な画像平滑化(スムージング) (図2)に関する研究も進めており、これは写真のイラスト化といった画像加工処理や、各種画像処理の前処理、明るさ補正、細部強調などへの応用が期待されます。
筒井 弘 准教授 Hiroshi Tsutsui博士(情報学) -
ラゲールガウス光の時空間制御
光の空間位相を用いた情報多重化
本研究では特徴的な空間位相を持つラゲールガウス(LG)光を用いた情報多重化の基盤技術を構築しました。従来の光情報処理では積極的に利用されてこなかった空間位相に着目することにより、情報容量を増大させることを目的としています。
研究の内容
光による情報処理や伝送・記録・再生はレーザー光の強度や偏光、空間的に均一な位相を用いて行われます。また異なる周波数を用いた多重化により、伝送容量を増大させることができます。これに対して光の空間特性は、これまで積極的に利用されることのなかった未開拓領域です。このような背景のもと、情報処理容量限界を打破するステップとして、ラゲールガウス(LG)光を使った情報多重化やLG光を特徴付ける軌道角運動量(トポロジカルチャージ)を用いた量子情報処理が注目されるようになってきました。本研究では、物質との相互作用を通して、LG光のモード制御や短パルス光を用いた軌道角運動量変換・保存、ファイバによる空間分割多重伝送を実現しました。
戸田 泰則 教授 Yasunori Toda工学博士 -
コンピュータ・グラフィクスによる映像表現
計算機による知的創造的活動の支援
3次元CGを用いた人間の創造活動の支援を目指しています。CGは飛躍的に発展しましたが、3次元情報の操作は簡単ではなく、創造活動の支援にはいたりません。3次元空間の情報を自由に操作し、簡単にCG映像を作成する仕組みを研究しています。
研究の内容
CGによって映像製作を行うためには、形状・カメラ・照明・材質などに関する膨大なパラメータを人間が用意しなければなりません。そして、目的の結果を得るためには、それらのパラメータを試行錯誤的に調整しなければなりません。加えて、精密な映像を作成するためには、長い計算時間が必要です。これでは、CGを使って創造的な活動を行うことはできません。そこで、本研究は、これらの問題を解決する方法の開発を行っています。パラメータ調整に関しては、逆問題アプローチを導入し、計算時間に関しては、並列計算を導入した高速計算手法の開発を行っています。さらに、これらの考え方を3Dプリンタを用いたデジタルファブリケーションへと応用しています。さらに、ユーザの意図をより直感的に反映するための新しいユーザインタフェースの開発にも取り組んでいます。
土橋 宜典 教授 Yoshinori Dobashi工学博士 -
量子暗号鍵配付装置の安全性保証技術
究極の暗号の安全性を実験的に保証する
量子暗号鍵配付を用いることで将来いかに技術が進歩しても高度な秘匿性を保つ暗号鍵を光通信により共有できます。本研究は、量子暗号の実用化に向け、実際に作られた装置で安全性を実験的に保証するための技術を提供します。
研究の内容
量子暗号鍵配付は原理実証の段階をクリアし、実用化を意識した研究が進められています。究極の秘匿通信を実現する技術として、世界各地で実証実験を含む研究が進められています。当研究室では理論的な部分と実装に関わる部分を同時に研究しています。現実世界では理論通りにいかないことが多く、仮説と実験結果とのズレが生じることが多々ありますが、そのズレの影響を評価し、現実の装置で作られる暗号鍵の安全性を定量的に保証することを目指しています。そのため、理論的な研究と実際の装置開発を橋渡しする形で実証研究を行っています。この研究によって量子的な装置を測定、評価して現実化することが可能になり、将来の量子ネットワークの実現に寄与できるものと考えています。
富田 章久 教授 Akihisa Tomita博士(工学) -
バンディット手法を用いた推薦技術
知識を獲得しながら累積利得を最大化するオンライン学習技術
ユーザが好むであろうアイテムのお勧め(知識の利用)のみでなく、ユーザの好み情報が多く得られるであろうアイテムのお勧め(知識の獲得)もバランスよく行い、ユーザの累積満足度を最大化するお勧め手法を研究しています。
研究の内容
現在のインターネット社会において、リコメンデーション技術はうまく働けばサービスを提供する側・受ける側の双方に利益をもたらすものです。リコメンデーションサービスは1回きりのものではなく、毎回フィードバックを受けながら繰り返し行うものであり、しかもフィードバックはお勧めしたもののみに対して得られるものです。したがって、フィードバック履歴よりユーザが好むであろうアイテムをお勧め(知識の利用)するのみでなく、フィードバックからユーザの好み情報が多く得られるであろうアイテムもお勧め(知識の獲得)することがその後のお勧め精度を上げるためには重要です。この知識の利用と獲得のバランスをとってユーザ満足度の最大化を試みるのがバンディット手法です。 バンディット手法を用いたお勧め方式の開発を行っています。
中村 篤祥 教授 Atsuyoshi Nakamura博士(理学) -
圧縮センシング法を用いた電波の状態推定
高精度な位置推定・チャネル予測をめざして
圧縮センシング法は、必要とする未知数の数よりも少ない観測データから、ある条件の下で解を求める手法である。この研究では、圧縮センシング法を用いて、電波の到来方向推定や、チャネル予測、散乱体検出を行っている。
研究の内容
必要とする未知数の数よりも少ない観測データからは、一般にその未知数を一意に求めることはできない。ところが、未知数の大多数が0であるという条件があるとき、その解を正確に得ることができる場合がある。圧縮センシング法は、この性質を利用して、観測をできる限り少なくしつつ正確な解を得る方法である。当研究室では、図1に示すような電波の高精度な到来方向推定への応用や、それを利用して到来波を素波に分割してチャネル予測する方法(図2)、およびレーダシステムにおいて圧縮センシング法を利用した散乱体検出(図3)について検討を行っている。
西村 寿彦 教授 Toshihiko Nishimura博士(工学) -
発想支援型マルチメディア検索システム
画像や映像などのデータを有機的に連携することで、検索者に気づきを与え発想を支援する情報検索システム
発想支援型マルチメディア検索システムは、画像、音楽、映像等の非構造化データを有機的に連携し、内在する類似性の抽出、およびその効果的な提示によって、検索者に気づきを与え、発想を支援する情報検索を実現します。
研究の内容
異なるメディア間での関連付けと類似性の導出、マルチメディア情報が持つ曖昧性を許容した連想型の検索スキーム(融合型検索)、ユーザネットワークによる個人の嗜好のモデル化、及びユーザインタフェースによる嗜好の類似性のビジュアライゼーション(個人適応型検索)を逸早く導入した新たな検索エンジン及びインタフェースを実現しています。これらを用いることによって、マルチメディアコンテンツ固有の多義性と曖昧性を効果的に利用した全く新しい検索が可能となっています。
長谷山 美紀 教授 Miki Haseyama工学博士 -
大規模電磁界解析による乗り物内
無線接続サービスの電波伝搬特性評価手法ワイヤレス環境の最適設計を目指して
航空機や旅客鉄道車輛内などの複雑で特殊な伝搬環境評価,電波の人体侵入,さらに体内埋込み型医療機器の電磁干渉評価とメカニズム推定,電気自動車無線給電装置の漏洩電磁界評価など,様々な電波利用分野での研究実績を上げてきている。
研究の内容
乗り物内の無線伝搬環境は,周囲が金属であることによる多重反射,加えて内部に什器や乗客の存在により,従来の伝搬モデルとは異なる特殊な環境になる。そのため,実運用状況の無線接続品質を見積もるには,乗客人体等による電波の吸収・散乱の効果を含めた電波伝搬特性の評価が必要となるが,実測や簡便な数値解析(レイトレース等)にてこれらを評価することは困難である。本研究は,従来困難であった乗り物内の伝搬環境モデリングに取り組み,超大規模解析空間におけるシミュレーション手法をスーパーコンピュータの利用により実現するものである。
日景 隆 准教授 Takashi Hikage博士(工学) -
通信回避型行列計算アルゴリズム
大規模並列計算機に適したアルゴリズムの研究・開発
大規模並列計算機の普及とともに,並列計算に伴う通信時間の削減の重要性が増しています。本研究では,通信回避(Communication Avoiding)と呼ばれるアプローチにより,行列計算アルゴリズムの性能を向上させることを目指しています。
研究の内容
大規模な並列計算機を用いた並列処理では,演算時間よりもデータ通信の時間が重要になることが多々あります。特に,通信のレイテンシ(通信するデータ量に関わらず生じるコスト)の大きさが問題となっており,通信回数を削減すること(通信回避)が強く求められています。我々は,通信回避の視点から,既存の行列計算アルゴリズムを見直し,通信回数を削減した,大規模並列計算機向けの新しいアルゴリズムの研究・開発を進めています。
深谷 猛 准教授 Takeshi Fukaya博士(工学) -
バイオメディカル光イメージングのための数理アルゴリズム開発
生体における光伝搬数理モデルの構築
バイオメディカル光イメージングの発展には、高精度かつ計算効率に優れた光伝播モデルが必要です。本研究では、光伝播を高精度に記述する輻射輸送方程式の高速解法を構築することに成功しました。提案手法による光診断・治療の高度化に取り組んでいます。
研究の内容
本研究では、輻射輸送方程式に基づいたバイオメディカル光イメージングの数理アルゴリズム構築を行っています。従来の数理モデルに基づいたイメージングでは適用できなかった生体組織や生体部位にも適用でき、また画像解像度の優れたイメージング技術を目指しています。これまで、輻射輸送方程式の数値計算負荷は膨大であることから、小さいサイズの生体に適用が制限されていました。本研究では、輻射輸送方程式と光拡散方程式を連結することによって、高精度かつ計算効率に優れた光伝播モデルを開発することに成功しました。開発した光伝播モデルに基づいた光イメージングは、様々な生体組織・部位に適用可能です。現在は、ヒト頸部における甲状腺腫瘍の光診断や、生体組織における光学特性値のin-vivo評価への適用に向けて取り組んでいます。
藤井 宏之 助教 Hiroyuki Hujii博士(工学) -
時間分解二次元表面音響波イメージング
固定周期の光パルス列による任意周波数応答の励起・検出
GHz周波数領域までの表面音響波の伝播の様子を時間分解二次元イメージとして可視化する技術です。従来の方法では周波数分解能が低いという問題がありましたが、本方法では任意周波数の音響波を励起・検出することができます。
研究の内容
音響波を用いた物性評価や機能性デバイスの設計・製作・評価において、音響波伝播の可視化は極めて有益です。このために、サブピコ秒時間幅の超短光パルス(ポンプ光)を試料に照射して表面音響波を励起し、その伝播の様子を遅延された光パルス(プローブ光)で観測します。遅延時間およびプローブ光の照射位置を走査することで音響波の時間分解二次元イメージを得ます。時間分解能はピコ秒、空間分解能は1μm、周波数帯域はGHz程度です。この方法では周期的な光パルス列を用いるために、従来はその繰り返しの整数倍周波数の音響波のみ励起・検出可能でしたが、開発した技術により、任意周波数の音響波の励起・検出が可能になりました。さらにこれを発展させて光パルスの繰り返し周波数とは全く非同期な振動のイメージングも可能となり、応用範囲が一層広くなりました。
松田 理 教授 Osamu Matsuda理学博士 -
アカデミックインタークラウド
学術クラウド連携による研究開発を推進
全国規模でクラウドシステムを連携させたアカデミックインタークラウドの実現に向けた研究を推進し、インタークラウド環境での資源割当最適化やスパコンとインタークラウドの連携等、クラウド関連技術の共同研究を実施。
研究の内容
北海道大学情報基盤センターでは、国内最大規模の学術クラウド「北海道大学アカデミッククラウド」を構築し、全国の研究者に対して仮想・物理マシンおよびそれらのクラスタシステムとしての提供、高速大容量クラウドストレージ、機械学習・ビッグデータ処理システム等の研究開発向けクラウドサービスを提供している。さらに、全国規模でのクラウドシステム連携を実現するための基盤技術や、研究者を支援するためのシステム構築について研究を推進している。その具体例として、認証連携などのクラウド連携基盤技術の開発および試験システムの構築(図1)インタークラウド環境下での資源割当最適化、スパコンとインタークラウド基盤を連携させた全国規模での大規模な設計最適化フレームワークの実現(図2)等があげられ、全国の大学、研究所、企業との共同研究を行っている。
棟朝 雅晴 教授 Masaharu Munetomo博士(工学) -
数理的手法に基づくシステム制御技術
機械システムからエネルギーマネジメントシステムまで
数理モデルに基づくシステム制御技術は、四輪ロボットなどの機械システムからエネルギーマネジメントシステムなどの社会システムまで幅広い分野に適用できます。本研究室では特に、非線形システムとハイブリッドシステムに対する制御手法を開発しています。
研究の内容
マニピュレータや自動車のエンジンなど多くのシステムは非線形システムになります。多くの従来手法では個別ケースを考えています。本研究室では制御リアプノフ関数を用いた統一的な制御手法を開発しています。例として、平面を走る四輪ロボットを考えます(図1)。障害物回避や目標位置への移動を達成するために、疑似的に高低差を設定します(図2)。障害物がある場所は高く、目標位置は低く設定します。これにより、四輪ロボットは「低い位置をたどる」という簡単なルールだけで、制御目的が達成できます。
また、ダイナミクスの切替を含むダイナミカルシステムはハイブリッドシステムと呼ばれ、多くの応用が知られています。最近は、ハイブリッドシステムのエネルギーマネジメントシステムへの適用を進めています。特に、需要家の電力消費モデルを開発しています。山下 裕 教授 Yuh Yamashita博士(工学) -
ユーザの意図を読み取るインタフェースの開発
ロボットやマウスを自由にコントロールする
ユーザと機械が相互に学習することで、ユーザの意図通りに機械を操作することを可能とするインタフェースの開発を行っています。ロボットなどの操縦や、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイスの入力も容易にします。
研究の内容
ユーザがヒューマノイドロボットなど多自由度のロボットを動作させるためには、コマンドがどの操作に対応しているかを覚える必要があり、コマンドの数が多くなるとユーザは負担が大きくなります。一般には、どんな人にも覚えやすく、使いやすいコマンド群を用意することは難しいため、作り上げたものが必ずしもユーザにとって使いやすいインタフェースとなる保証はありません。本研究では、ユーザと機械の相互作用の中からユーザの意図を読み取り、ユーザが直感的に操作可能なインタフェースの構築を行っています。その結果、各ユーザの特性にあった使いやすいインタフェースが開発できます。この技術を、マウスやトラックボールなどを操作する手の動きなどをセンシングすることでデバイスがなくても操作ができる、エアマウス、エアトラックの開発にも応用しています。
山本 雅人 教授 Masahito Yamamoto博士(工学)