北海道大学 研究シーズ集

ものづくり技術:18件

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  • ポータブルな液体クロマトグラフ

    電池で駆動する超軽量・超コンパクトな化学分析装置

    独自テクノロジーにより液体クロマトグラフの主要要素であるポンプ、カラム、および検出器を小型化し、B5サイズ・2 kgというコンパクトで軽量かつポータブルな液体クロマトグラフを実現。これにより分析結果をその場で迅速に得ることが可能になります。

    • ポータブル液体クロマトグラフ

    • カラムと検出器を集積したチップデバイス

    • 電気浸透流ポンプの動作原理

    • 生体アミンの分析例

    研究の内容

    我々が開発した液体クロマトグラフのポンプは電気浸透現象を原理とし、乾電池で長時間駆動します。機械的駆動部がないため極めて小型・軽量で脈流が発生しないという特徴があります。カラムと検出器(電気化学・UV)は微細加工技術を用いて名刺ほどの一枚の小さな基板上に搭載しています。カラムには従来の充填剤を使用しており、これまで使用してきた分析条件をそのまま適用できます。電気化学検出器は独自開発のくし形電極を採用しており、小型とはいえ従来機に匹敵する感度をもっています。現在、化学分析の主要な装置として使用されている液体クロマトグラフは大型で大重量であるため実験室の特定の場所での使用に限定されていましたが、我々が開発した装置はどこでも簡単に使用することができます。溶媒使用量も従来の1/100~1/1000に低減されます。

    石田 晃彦 助教 Akihiko Ishida
    博士(工学)
  • 木材成分リグニンを電子デバイス材料へ

    リグニンの成形と機能性材料への変換

    リグニンはセルロースに次ぐ賦存量がありますが、燃焼してエネルギーに使うしか、現在は有効利用がありません。このリグニンを繊維やフィルムに成形して、これらを電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極やセパレータとして利用する研究を進めています。

    • リグニンのエレクトロスピニング繊維から調製した電極用活性炭素繊維

    • リグニンを原料とする電極の積層化(高容量、高出力)

    • セパレータとして利用するリグニンのポリエステルフィルム
      (折り紙ができるほど柔軟)

    研究の内容

    EDLCは、Liイオン電池などの二次電池に代わる次世代蓄電池として注目されている電子デバイスであります。EDLCの中で、電極やセパレータと呼ばれる部材は、高分子物質から作られているので、この高分子を木質バイオマスの主要成分であるリグニンで代替するための研究を、我々は進めています。リグニンをエレクトロスピニングにより微細繊維に成形し、これを活性炭素繊維に変換することで、電極材料に要求される大きな表面積を達成しました。これにより、高いエネルギー密度とパワー密度を発現する電極の作製に至りました。また、リグニンを柔軟性に富むポリエステルフィルムに変換することで、従来のセパレータと同等の性能を発現する材料も調製できました。現在は、更なる高性能化に取り組んでいます。

    浦木 康光 教授 Yasumitsu Uraki
    理学博士
  • センサレスで実装可能な非線形補償器

    PID制御系に容易に追加可能な非線形補償器

    現在、産業界ではPID制御が主力の制御手法として用いられていますが、PID制御則には摩擦や重力項といった非線形項の影響により制御精度が劣化するという問題があります。我々は、PID制御器に対し容易に追加できる非線形補償器を提案しています。

    研究の内容

    ディジタル加速度制御(DAC)はモデル化困難な非線形項やモデリング誤差が存在する系に対してロバストな制御則です。DACは非常に効果的な制御器ですが、加速度目標値に対して制御を行うため単体では位置制御ができません。そこで、一般的なPID制御系と組み合わせたPID-DAC併合制御系によりロバストな位置・加速度制御が実現できます。さらにPID制御器などに「センサレス」で「容易」に追加することができる新しい非線形補償器として、制御対象の加速度目標値を0とした「PID-DA0制御系」、加加速度目標値を0とした「PID-DJ0制御系」という2つの制御器を提案しています。双方とも既存のPID制御器に簡単に追加でき、さらには追加のセンサも必要ないことからセンサレスでシステムの性能を向上できるという大きなメリットを持ちます。

    江丸 貴紀 准教授 Takanori Emaru
    博士(工学)
  • ソフトマターの3次元構造観察と
    マイクロレオロジー測定法

    非平衡複雑流体における構造形成と粘弾性の関係

    ソフトマターは、文字どおり柔らかいため外場によりその構造が容易に変化すると同時に、その物理的性質も劇的に変化します。これを利用したソフトマターの機能性材料への応用を目指し、3次元構造と物理的性質を調べるための手法の開発を行なっています。

    • 図1.(a)ドロッププレット構造 (b)ネットワーク構造

    • 図2.せん断印加時の流れ場

    研究の内容

    2種類の互いに相溶しない高分子を混合したある種のブレンドでは、電場を印加すると見かけの粘度が可逆的に増大することが知られています(電気粘性効果)。一般に2種類の高分子を混合すると一方の高分子がドロップレットになって他方の高分子中に分散します。せん断流下では図1(a)に示すようにドロップレット構造をしていますが、これに電場を印加すると(b)のネットワーク構造へと変化し、これに伴って粘度が増大します。この構造とレオロジーの関係は今回開発したシステムにより初めて明らかになりました。このシステムを用いて、生体物質のアクチン溶液においてはせん断流による相分離を明瞭に観察することにも成功しました。図2に示すように、せん断を印加すると上下の位置に速度勾配の大きな領域が現れ、せん断速度が大きくなると、これらの領域が広がります。

  • 非接触レーザー加振システムによる振動計測技術

    高周波振動計測/高感度異常検知技術の開発

    高出力パルスレーザーの照射により構造表面で生じるレーザーアブレーションを利用し、理想的なインパルス加振入力を作用させる技術を開発した。本技術により、今まで不可能であった非接触かつ高周波数帯域まで高精度な振動測定を可能にした。

    • 図1 レーザー加振の原理

    • 図2 真空環境の振動試験システム

    • 図3 空気圧の違いによる周波数応答の変化

    研究の内容

    図1にレーザーによる加振力の生成原理を示す。レーザーによる加振力は、レーザーアブレーションによって引き起こされる。本技術を応用した例として、膜構造の真空環境振動計測システムを図2に示すが、本システムはYAGパルスレーザー、誘多膜ミラー、集光レンズ、膜構造、LDVおよび真空チャンバから成る。膜構造が固定されているのは真空チャンバの内部であり、大気環境から真空環境まで真空チャンバ内の空気圧を調整しながら実験を行うことができる。計測された膜の周波数応答を図3に示す。真空度を上げることにより、膜の共振周波数が高くなり、同時に共振の応答レベルも向上していることがわかる。このように、膜表面の空気による質量効果および減衰効果の影響を抽出することができ、宇宙環境を想定した真空チャンバ内での実験における本技術の有効性を検証した。

  • 形状の対称性・規則性の自動認識システム

    3次元メッシュモデル,計測点群,FEMメッシュ等から面対称,軸対称,規則配置パターンを網羅的に抽出

    レーザやX線CTスキャンの3次元測定データ内から、対称な部分領域や、格子状や放射状に規則配置された領域を完全自動で抽出するソフトで,リバースエンジニアリング、3D-CADデータ生成、FEMメッシュ生成などに有効です.

    研究の内容

    従来の市販ソフトの機能には無い、レーザスキャンやX線CTスキャンで測定された3次元メッシュモデルや3次元計測点群、FEM有限要素メッシュメッシュなどの表面に現れる形状パターンの対称性や規則性を、自動的かつ網羅的に認識抽出なソフトウエアです。リバースエンジニアリング時の3D-CADデータの自動基準面生成やモデル整形、FEMプリプロセッサでの要素サイズ縮減モデル(1/4モデル等)生成や要素境界面の整形、製造物の対称度定量検査など、幅広い応用が可能です。また、3D-CADデータのパターンフィーチャに相当する様々な規則配置形状(矩形配列、放射状配列等)も自動抽出できます。レーザ計測からのBIM(Building Information Model)生成にも応用可能です。

  • 中性子とX線を複合利用した超階層構造イメージング

    量子ビームを複合利用し、幅広いスケールに渡って不可知情報を非破壊的に可視化するイメージング

    パルス中性子透過分光イメージングは、他の顕微法では視えない情報を非破壊に可視化できる手法として注目を受けています。X線のような他の量子ビームと複合解析すれば画像だけではわからない情報も可視化することが可能になります。

    研究の内容

    小型加速器を利用する実験施設として半世紀近い歴史がある北大施設は、先導的な施設として世界的に注目されています。北大では主にパルス中性子ビームを作っており、それで得られる透過スペクトルから、結晶構造やミクロ組織、内部応力、温度等の情報を、試料全体にわたる分布として2次元の実像上にマッピングすることが可能です。一方、X線CTでは物体内部の3次元構造を測定できるので、両者の結果を複合的に解析し、相乗的に物体内部情報を理解する研究を行っています。図は中性子とX線による相乗イメージングとして、単独では得られない元素情報をX線CTによる内部構造にマッピングしたイメージを示しています。X線CTではAl円筒中のワイヤの存在がわかりますが、中性子の情報を加えるとそれぞれが異なる素材とわかります。

  • 鉄より丈夫なゲル

    柔靱な複合材料

    ガラス繊維と自己修復ゲルを複合化することによって、カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)よりも丈夫なゲルを実現した。ゲルを母材とするため、曲げに対してはゴムのようにしなやかであるが、引裂きに対してはCFRPよりも靱性が高く、壊れにくい。

    • ガラス織物複合PAゲルは金属、CFRP、セラミクスと比べて靱性が高く、柔らかい

    研究の内容

    我々が開発したガラス繊維複合ゲルは割れない、引裂けない、ちぎれにくいといった性質を示す。一般に、複合材料と言えばCFRPやガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などが広く用いられている。これらの繊維強化プラスチック同様、繊維強化ゲルは繊維の特性により、引張に対しては硬く・強い性質を示す、一方で曲げに対してはゲルの特性を生かして柔らかく・しなやかにふるまう。また、母材に用いる自己修復性ポリアンフォライト(PA)ゲルは、変形に対して大きくエネルギーを散逸する機能を有しているため、単体でも丈夫である。さらにゲルが柔軟であるため、繊維と複合することによって、局部的な歪を繊維を介して遠くの母材まで伝えることができるため、結果として材料全体で大きくエネルギーを散逸する。つまり、著しく丈夫である。

    黒川 孝幸 教授 Takayuki Kurokawa
    博士(理学)
  • 超音波と微細気泡を用いた液体微粒化技術

    液体微粒化量のアクティブ制御を目指して

    超音波を液体中から液面に向かい照射することで、液面で液体の微粒化が起こります。近年、この現象に液面近傍に存在する微細気泡が関係していることが明らかとなってきました。我々は超音波による液体微粒化量を制御することを目指しています。

    研究の内容

    超音波を液体中から液面に向かい照射することで、液体の微粒化が起こります。微粒化された液体は、直径が数マイクロメートル程度の小さな液滴となります。この液体微粒化技術は、省エネルギーで均一な微細液滴を生成することができ,現在も私たちの身の回りで広く利用されています。液体微粒化のメカニズムは未だ完全には解明されていませんが,我々のこれまでの研究から、液面近傍に存在する微細気泡(マイクロバブル)が微粒化を促進することが明らかとなってきました。本研究では液体中の微細気泡数に注目し、超音波による液体微粒化量を制御することを目指しています。気泡数を適切に調節することで、これまで超音波で微細化することができなかった液体の微粒化や、液体微粒化量のさらなる促進を目指しています。

    小林 一道 准教授 Kazumichi Kobayashi
    博士(工学)
  • 半導体精密加工技術

    電気化学反応を利用した
    低損傷かつ制御性のよい半導体エッチング技術

    電気化学反応を利用した半導体エッチング技術により、従来法と比べて加工ダメージの抑制と深さ方向に対する精密な加工制御を達成した。AlGaN/GaNへテロ構造トランジスタのゲートリセス加工へ適用し、トランジスタのノーマリーオフ化を実現した。

    研究の内容

    半導体表面のエッチング加工は、トランジスタなど半導体素子の作製に欠かせない工程の1つです。本研究室では、半導体表面の電気化学的酸化・溶解反応を利用し、従来のドライエッチング法と比べて、深さ制御およびダメージ抑制の両面において優れたエッチング手法を開発しました。パワートランジスタ材料として有望視されているAlGaN/GaNヘテロ構造に適用した結果、電気化学条件の最適化により、所望の加工深さでエッチングが自己停止することを明らかにしました。これにより、先行技術で必須となるエッチングストップ層が不要で、より簡便な方法でトランジスタのしきい値を精密に制御することが可能となりました。また、本手法によるエッチング表面は、ドライエッチング表面と比べて加工損傷が少なく、トランジスタの性能向上に有望な手法として期待されます。

    佐藤 威友 准教授 Taketomo Sato
    博士(工学)
  • 非破壊CT-XRD連成法の開発とその応用

    セメント硬化体微細組織の可視化

    コンクリート内部の微細組織に対して、数ミクロンの精度でその幾何学的空間情報を取得できるCT法、および関心領域の水和物や変質を調べる回折法を連成させる新しい測定手法「非破壊CT-XRD連成法」を開発して、革新的セメント系硬化体材料を開発する。

    • 「非破壊CT-XRD連成法」の概念図

    • ひび割れCT画像(左)と観察座標における劣化前後の回折図の比較(右)

    研究の内容

    コンクリートは、セメントと水との水和反応によって岩(骨材)を結合することで、構造用硬化体になります。一方、構造材料としての宿命である荷重や気象/環境作用によって、ひび割れが発生、進展したり、強酸作用、大気や海水、地下水などの浸食や物質侵入に伴う化学反応で劣化することがあります。社会インフラを長期間安定して利用するために、「虫の目」でコンクリート内部組織を観察して、そこで生じる異変を見つけることが大切です。
    先駆的「非破壊CT-XRD連成法」は、放射光が提供する高輝度な白色X線を試料に照射して、選択的に25keVの透過単色X線から3次元構造体を可視化します。また、複数のスリット操作から特定の関心領域のエネルギー分散型X線回折を実行して、ポルトランダイトやカルサイトなどの水和物やその変質、骨材鉱物を特定します。

  • 食用乾燥コンブのヨウ素低減

    競争吸着法による乾燥コンブのヨウ素低減技術

    単糖とカルシウムを含む抽出溶媒を、乾燥コンブと吸着剤を充填したカラムに循環流通するだけで、コンブのヨウ素を約90%除去できる技術を開発しました。

    • 図1.1 gの乾燥マコンブ(養殖1年)

    • 図2.本技術による養殖1年マコンブのヨウ素除去率と質量損失率

    研究の内容

    ヨウ素はヒトの必須元素ですが摂取過剰によっても甲状腺機能に障害をもたらします。厚生労働省が定めたヨウ素の耐容上限量は2.2 mg/日ですが、ヨウ素含有量が高いコンブの場合、わずか1 g(図1)で耐容上限量に達します。海藻からヨウ素を回収する技術は古くからありますが、海藻を食べるためにヨウ素を除去する技術の開発研究は、まったく行われていません。図2は、乾燥コンブ(5 kg)と吸着剤(1.5 kg)を充填したカラムに、単糖とカルシウムを含む抽出溶媒(100 L)を20分間循環流通した後の、コンブのヨウ素除去率(○)と質量損失率(●)です。コスト削減のために抽出溶媒を4回繰り返し使用しましたが、90%以上のヨウ素除去率を維持できました。

  • 燃焼反応流体シミュレーションの新たな展開

    詳細反応機構の適用を可能にする高効率解析手法の提案

    数百化学種、数千化学反応オーダーから成る炭化水素系燃料のような大規模詳細反応機構を効率的に熱流体シミュレーションに組込む数値解析技術を提案しています。

    • 詳細反応機構/流体解析によるヒドラジン同軸噴流火炎解析例

    研究の内容

    これまでの熱流体(CFD)解析における化学反応現象は、計算負荷や解析技術の欠如から、数個の化学種や反応式から成る総括反応モデルや無限に速い反応を仮定することにより、簡素にモデル化されてきました。一方で、化学反応と流体現象の相互作用が重要となる場合、例えば、自動車エンジンにおける着火タイミングをはじめとした非定常現象予測や超希薄燃焼など極限的な条件では、簡素モデルの適用は困難となります。我々の研究グループでは、CFD解析における詳細反応機構適用の問題点を解決してきました。提案手法は、化学反応方程式の計算時間を大幅に短縮可能な時間積分法(ERENA)と類似化学種をまとめる化学種バンドル法から構成されます。条件に依りますが、従来から使用されてきた手法に対して、精度を維持しつつ、2桁から3桁の高速化を可能にしています。

    寺島 洋史 准教授 Hiroshi Terashima
    博士(工学)
  • マルチ・フィジックス・シミュレーション

    電磁気・熱・流体・構造すべての連成現象を明らかに

    電磁気、熱、流体、構造などのマルチフィジックス現象をシミュレーションする。メッシュの生成から、シミュレーションの実施、結果を可視化するところまでを総合的に研究しています。見えない現象を観察することで、ものづくりへの貢献を目指しています。

    • 誘導加熱の発熱量分布シミュレーション

    • エア・イジェクター・ノズルの噴射シミュレーション

    • 磁性流体の流れシミュレーション

    研究の内容

    商用シミュレーションソフトでは解析できない、電磁気を中心とした熱、流体、構造などのマルチフィジックス現象を解析するための、シミュレーション・ツールを独自に開発している。それぞれの現象に適した解析手法を厳選し、そのためのメッシュ生成、高速化、大規模化、解析結果の可視化(描画)までをトータルに研究している。機器の性能評価から設計までの適用を目指している。さらに、最適化アルゴリズムやゲーム理論などを併用し、高度な設計技術も可能となっている。

  • 先端複合材料の最適設計

    自由繊維形状による新機能複合材料

    先端複合材料(炭素繊維強化複合材)は広く構造材料として使用され始めているが、その異方性を効率的に利用できているとは言えない。当研究室では複合材の繊維配向(直線状・曲線状)を最適に設計する手法の開発を行っている。

    • 図1ファイバー縫付機による曲線繊維縫付け

    • 図2最適繊維形状

    • 図3ひずみ分布

    研究の内容

    比強度・比剛性の高さから構造材料として広く利用されている先端複合材料(炭素繊維複合材料、CFRP)は、その繊維配向技術の発展により繊維を直線状のみではなく、曲線状に配置することが可能となっている。直線状の繊維と比較して設計の自由度は大きく向上するため、部品形状や使用目的に特化したCFRP部材の作製が可能である。当研究室では刺繍機の技術を援用したファイバー縫付機(図1)を用いて曲線状繊維を有する複合材供試体を作製し、その力学特性評価を実施するとともに、独自の繊維形状最適化手法を開発している。例えば図2は複数の円孔を持つ翼モデルの孔周りのひずみ集中を軽減することを目的とした最適繊維形状であり、ひずみ分布は図3のようになる。これは直線繊維よりもひずみ集中を軽減できていることがわかっている。

  • トポロジカル光波の発生・計測技術の開発

    光渦などに代表されるトポロジカル光波は、その特異な性質から近年物質微細加工、情報通信の大容量化や超解像顕微鏡などへの応用が期待されています。我々の研究室ではトポロジカル光波の応用を目指し、現在光源や計測技術の開発を行っています。

    • Figure 1 光渦の強度及び位相分布

    • Figure 2 らせん度計測の概念図

    研究の内容

    光渦は図1に示すようにビーム断面内にらせん状の位相分布とドーナツ状の強度分布を持っています。こうした性質を用いると、従来の光学顕微鏡の空間分解能を遥かに超える性能をもつ顕微鏡やナノメートルオーダーの微細加工が実現できます。私達の研究室では、こうした光と、非常に時間幅の短い(10の12乗~15乗分の1秒)超短光パルスと呼ばれる光との融合によってさらに新しい応用展開を可能にすべく研究開発を行っています。現在基盤技術の開発を主として行っており、らせん位相をコンピューター制御可能で、かつ数十GWのピークパワーを持つ超短光渦パルスの発生に成功しています。また、らせん位相度を瞬時に計測する全く新しい計測法の開発にも成功しています(図 2)。こうした独自に開発した基盤技術を用いて現在物質加工や通信技術への応用を進めています。

    山根 啓作 准教授 Keisaku Yamane
    博士(工学)
  • 誤嚥防止ロール状ガーゼの開発

    患者さんの安全を目指して

    歯科治療において使用頻度が多いロール綿だが、誤嚥事故が後をたたない。そこで誤嚥防止ロール状ガーゼを開発し、現在使用しているロール綿に変わるものとして使用できるよう、さらにコストを抑えることを目指して開発を行っています。

    • 小児使用例
      フッ素塗布の際に使用した症例
      糸の先端にキャラクターのシールを付けることにより治療にも協力的である。

    • 高齢者使用例
      誤飲を引き起こしやすい舌側にも糸がついているため安心して使用できる。

    研究の内容

    歯科用ロール綿は歯科治療における防湿、圧排などを目的として日常的に使用されていますが、誤嚥による事故が度々報告され、中には患者が死亡にいたるという残念なケースがあります。
    そこで、ロール綿をより安全に使用し誤嚥による事故を減少させるため、糸付きにすることを考えました。従来のロール綿は加工上糸を縫い付けることが難しく、また、糸が外れる危険性も有するため、ガーゼを使用して「誤嚥防止ロール状ガーゼ」を開発しました。このロール状ガーゼは糸がついているため誤嚥防止の他に、置き忘れ防止や取り出しを容易にするというメリットもあります。また、吸水性、吸水速度も従来のロール綿と同等です。
    今後は臨床試験を重ね、現在使用しているロール綿に変わるものとなるよう開発していきたい。

    渡辺 千春 助教 Chiharu Watanabe
    博士(歯学)
  • 水蒸気・水混合噴霧による超低環境負荷洗浄法

    『水蒸気+水』の物理作用を利用した、
              薬液を使用しない超精密安心洗浄法

    水と水蒸気を混合しノズルから高速噴霧する全く新しい水蒸気・水混相噴霧を用いた革新的洗浄法を開発しました。薬品を使用しない超低環境負荷であることに最大の特徴があり,半導体製造プロセス等の超精密洗浄で所定の性能を発揮することを確認しました。

    • 本洗浄法の概略図

    • 洗浄例:フォトレジスト剥離の様子

    • (a)空気中   (b)飽和蒸気中
      物理作用発生原理:アルコール液滴の衝突

    • (a)初期状態     (b)水蒸気・水噴霧  (c)空気・水噴霧
      洗浄例:ドライエッチ後の残渣除去における噴霧条件の差

    研究の内容

    私達は、これまでの研究成果により、凝縮性気体中を液滴が固体表面に衝突する場合には、空気の場合とは異なり、「飛沫(スプラッシュ)が抑制され薄い液膜(ラメラ)が高速で固体表面を伸展する」現象を発見しており、高速ラメラにより強力な流体せん断力が発生すると考え「水蒸気と水の混合噴流を用いた低環境負荷洗浄」が可能であると考えました。
    これまでの研究成果により、水と水蒸気だけを用いる事により、半導体、LED、 太陽電池などの製造プロセスで要求される超精密洗浄に対する所定の洗浄性能を、本洗浄法は発揮することを確認しました。また、本洗浄法は水と水蒸気のみを用いるために、人体に有害となる洗剤等の化学薬品を全く用いないため、人体および環境にとって安全である超低環境負荷特性を有しています。