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色と導電性の変化で情報表示・記憶する半導体素子
窓ガラスや鏡がメモリーに?
「電子カーテン」として注目を浴びているエレクトロクロミック材料を、薄膜トランジスタに組み込み、無色透明⇔黒色の色変化と、絶縁体⇔金属の導電性変化を利用する新しい情報表示・記憶装置を開発しました。窓ガラスや鏡に情報を表示・記憶できます。
研究の内容
IoT普及に伴い、パソコンだけでなく、様々な機器がインターネットに接続されたことにより、収集・保存しなければならない情報量が増加し続けています。現在の情報記憶素子は半導体の電気抵抗変化のみを利用していますが、本研究では、電気抵抗変化に加えて、色変化を情報表示・記憶に利用できる素子を開発しました。ガラスやプラスティックなどの基板上に、アモルファスWO3薄膜(膜厚100 nm)/ナノ多孔質ガラス薄膜(300 nm)/多結晶NiO薄膜(50 nm)の積層膜と、透明電極ITO薄膜(20 nm)からなるソース、ドレイン、ゲート電極を備えた、三端子の全固体薄膜トランジスタ構造を作製し、ゲート-ソース間に数ボルトの正電圧を印加するとWO3薄膜が濃青色に変化すると同時に金属になり、負電圧を印加すると無色透明な絶縁体に戻ります。
太田 裕道 教授 Hiromichi Ohta博士(工学)