北海道大学 研究シーズ集

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さ行の研究者:29件

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  • 次世代超高速通信網の核となる高度光通信技術

    情報通信ネットワークの飛躍的な高度化を目指して

    今後20年間に1,000倍の大容量化が必須とされる情報通信ネットワークの飛躍的な高度化のため、次世代超高速通信網の核となるフォトニック基盤技術を実現することを目指しています。

    • マルチコア光ファイバ(1本の光ファイバに複数のコアを有するマルチコア光ファイバを用いた空間分割多重光通信技術の研究を進めています。)

    • シリコン細線光導波路デバイス(超小型光波回路実現のための新規光導波路の開発を行っています。)

    • マルチモード制御技術(モード多重伝送を実現するために、伝送モードを多重・分離可能なモード合分波器やモード依存特性の低減技術に関する研究を行っています。)

    研究の内容

    既存の光ファイバの限界を打ち破る新構造光ファイバの研究、安心と安全を確実にするための光ファイバ応用技術の研究、光化に対応するための超小型光回路の研究、光ファイバや光回路の設計を支援するための光シミュレータの研究を行っています。

  • 気候変動下における北極海洋システムの回復力と適応力

    環北極海全域の海洋生態系の統合的理解

    日本、米国、ノルウェーで進行中の環北極海域(北極海および隣接する周辺の亜寒帯海域)の既存研究課題の個別研究成果を発表する国際ワークショップを開催し、共通点や差異を整理しながら各海域における成果の統合的な理解を目指している。

    • 植物プランクトンの大型サイズの占有率分布。赤いところほど珪藻などの大型の植物プランクトンが占める。(a)2006年8月 (b)2007年8月

    研究の内容

    本研究では、環北極海域(北極海および隣接する周辺の亜寒帯海域)における共通点や差異を整理しながら太平洋−北極海−大西洋における環境変化と海洋生態系の応答について統合的に理解することを目的とする。国際共同研究プログラムIMBeR(海洋生物圏統合研究)の地域研究プログラムESSAS (Ecosystem Studies of Sub-Arctic and Arctic Seas:亜寒帯域および極海における海洋生態系研究)を母体にそこに参画している日本、米国、ノルウェーの科学運営委員を中心に研究を推進する。具体的には、2015年から2018年の間に、各国で進行している既存の研究成果を発表する国際ワークショップを3回開催し、環北極海全域の海洋生態系の統合的理解を図る。

    齊藤 誠一 研究推進支援教授・研究員 Sei-Ichi Saitoh
    水産学博士
  • 食品素材蛋白質の機能改変

    糖修飾による加工・健康機能の改善

    メメイラード反応を利用して魚肉タンパク質に糖類を結合させることで、加工特性と健康機能(抗炎症機能、血圧上昇抑制、脂質吸収抑制、抗酸化機能)を改変した水溶性筋肉タンパク質・ペプチドが作製できる。畜鶏肉や各種タンパク質にも応用可能。

    研究の内容

    【概要】
    メイラード反応を用いてタンパク質・ペプチドに還元糖類を結合させ、性質を改変した新規な魚肉素材を創製できる。
    【従来技術との比較・独自性】
     筋肉タンパク質のような高分子複合タンパク質は熱凝集しやすく、メイラード反応の進行は諸性状の劣化につながる。我々はタンパク変性の抑制とメイラード反応の制御を両立させ、魚肉タンパク質のような不安定なタンパク質からも機能素材が創製できる道を拓いた。

    【創製できる素材・製造技術の特徴】
    1.化学試薬を不使用で糖鎖導入
    2.筋肉を水溶化、高い乳化特性を付与
    3.不安定なタンパク質の安定性向上
    4. In vivoで働く健康機能の改変
    5.機能ペプチドの開発にも応用可
    6.原料の形態に制約なし

  • 電子ホログラフィックHMD装置の開発

    理想的な3D映像の表示

    電子ホログラフィによる3D表示のヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置の開発を行っています。これには新たな計算アルゴリズムと新設計の光学系が用いられ、小型、軽量な実用的装置を実現しました。

    • 3DホログラフィックHMD装置

    • 開発された装置による映像
      (赤の矢印と数字はホログラム映像,
      Cと十字は実物体)
      左: 2.0mに焦点   右: 0.5mに焦点

    研究の内容

    電子ホログラフィによる表示装置では人間の視覚生理に適合したストレスの無い3D映像を表示することができます。本研究で開発した電子ホログラフィを用いたヘッドマウントディスプレイ(HMD)では従来必要であった複雑な光学系を、計算機による補正を用いて単純な構成の光学系に置き換えました。これによって、電子ホログラフィとしては世界で最小、最軽量、かつ低価格を実現しています。また、下の図に示すようにホログラムの像を奥行きに合わせて表示することができ,従来のHMDの様に利用者に奥行き焦点ズレによるストレスを与えることはありません。

  • 氷結晶表面の分子レベル光学直接観察

    高さ方向には原子分解能を有する光学顕微鏡の開発とそれを用いた氷結晶表面のその場観察

    株式会社オリンパスエンジニアリングと共同で、高さ方向には原子分解能を有する光学顕微鏡を開発した。現在それを用いて、氷結晶が成長・昇華・融解する機構を、分子レベルで明らかにしようとしている。

    • 過飽和水蒸気から成長する氷結晶(雪と同じ).結晶上の丸い島は,水1分子高さのステップを示す.

    研究の内容

    平らな面で囲まれた結晶は、材料の種類によらず層状に成長する。そのため、結晶が成長するメカニズムやカイネティクスを明らかにするためには、その成長端(一般に「単位ステップ」と呼ばれる) がどのような挙動を示すのかを直接観察する必要がある。しかし、氷結晶の場合には、原子間力顕微鏡や電子顕微鏡等、通常固体表面を分子レベルで観察する際に用いられる顕微鏡を適用することができない。この困難を克服するべく、平らな結晶表面上の原子・分子高さのステップを、非接触・非破壊で直接観察できる光学顕微鏡を開発した。現在これを用いて、氷結晶の成長機構や、ゼロ度以下で氷結晶表面が融ける現象(表面融解と呼ばれる)を、分子レベルで明らかにする研究に取り組んでいる。氷結晶以外にも、結晶表面上を原子・分子高さレベルで調べる研究を広く展開している。

    佐﨑 元 教授 Gen Sazaki
    博士(工学)
  • ソノプラズマ発生装置

    音響キャビテーションを定位置に高効率で発生させる方法

    超音波によって水中に駆動される音響キャビテーションが崩壊するとき、気泡の内部は高温・高圧状態となり、プラズマ化する(ソノプラズマ)。音響キャビテーションを定位置に高効率で発生させる方法を見出し、プラズマ応用技術としての展開を図る。

    • 音響キャビテーションを光散乱で観察した様子。(a)の通常の場合では音響キャビテーションは観察されないが、(b)のようにパンチングメタル板を挿入すると定在化した音響キャビテーションが高確率に発生する。

    • 塩化金酸水溶液からの金ナノ粒子の生成をパンチングメタル板の挿入により高速化した例

    研究の内容

    液体中で生成されるプラズマは、ナノテクノロジー、環境工学、および医療工学の観点から高い関心を集めているが、プラズマの発生に高電圧を必要とすることが障害となる場合がある。一方、超音波工学の分野では、音響キャビテーションが崩壊する瞬間に気泡の内部がプラズマ化することが知られていた。我々は、超音波が印加された液中にパンチングメタル板を挿入するという極めて簡単な方法により、位置の固定が困難な音響キャビテーションを定在化させ、高効率に発生させることに成功した。高電圧を用いない液中プラズマ生成法としてユニークであるとの評価を受けている。現在は、本方式のメカニズムを解明し、大型装置を設計するための指針を得ることに注力しているが、今後は、新しいプラズマ応用技術としての様々な展開を図りたいと考えている。

  • ミュージアムにおける評価の枠組みと手法の開発

    社会的・経済的価値の顕在化と参加型評価の試行

    ミュージアムを適切な枠組みで自己評価し、学びと改善のヒントを得たり、情報公開を進めたりすることが求められています。本研究では、ミュージアムスタッフとともに、その枠組みや評価手法を検討し、評価活動が実際に稼働するまでの過程をサポートします。

    • ミュージアムと来館者・地域社会の間で行われる交換関係

    研究の内容

    評価を通してミュージアムの価値を広く社会に伝え、その認識を定着させることが研究の目的です。従来の評価手法は、来館者がミュージアムで得る学術的・文化的価値のみに着目した業績測定手法が主流でした。そのため、ごく限られたミュージアム関係者や愛好家にしか、評価結果が伝わりませんでした。また、事業改善にもあまり貢献してきませんでした。
    この研究では、多くの非来館者を含む地域社会にミュージアムが存在することで生じる、社会的価値や経済的価値に着目した評価の枠組み(図参照)と評価手法を検討し、その価値を顕在化させます。また、学びと改善に有効な参加型評価など多様な手法で評価を試み、事業改善に役立てます。これらのことを通じて、ミュージアムが市民にとってより日常的な場となり、その地域にとって不可欠な存在になることを可能にします。

  • 半導体精密加工技術

    電気化学反応を利用した
    低損傷かつ制御性のよい半導体エッチング技術

    電気化学反応を利用した半導体エッチング技術により、従来法と比べて加工ダメージの抑制と深さ方向に対する精密な加工制御を達成した。AlGaN/GaNへテロ構造トランジスタのゲートリセス加工へ適用し、トランジスタのノーマリーオフ化を実現した。

    研究の内容

    半導体表面のエッチング加工は、トランジスタなど半導体素子の作製に欠かせない工程の1つです。本研究室では、半導体表面の電気化学的酸化・溶解反応を利用し、従来のドライエッチング法と比べて、深さ制御およびダメージ抑制の両面において優れたエッチング手法を開発しました。パワートランジスタ材料として有望視されているAlGaN/GaNヘテロ構造に適用した結果、電気化学条件の最適化により、所望の加工深さでエッチングが自己停止することを明らかにしました。これにより、先行技術で必須となるエッチングストップ層が不要で、より簡便な方法でトランジスタのしきい値を精密に制御することが可能となりました。また、本手法によるエッチング表面は、ドライエッチング表面と比べて加工損傷が少なく、トランジスタの性能向上に有望な手法として期待されます。

    佐藤 威友 准教授 Taketomo Sato
    博士(工学)
  • 簡易病原菌測定装置

    キットにサンプルを添加するだけで病原菌を測定可能

    測定キットにサンプル(下水、廃水、食品抽出液、飲料水)を0.1mL添加し、装置に設置するだけで、早ければ1時間、遅くても12時間以内に大腸菌、大腸菌群、腸球菌の濃度を測定できる技術を開発しました。

    • 図1 キット(マイクロプレート)に大腸菌を含むサンプルを入れ、培養した後のブラックライト下の写真。大腸菌が含まれていたサンプルが添加された場所(穴、ウェル)だけに青色の蛍光が見られる。蛍光を発していないウェルは添加されたサンプルには大腸菌がいなかったことを意味する。

    • 図2 縦軸はキットを装置に設置し、蛍光強度を10分間隔で測定し、蛍光強度がある閾値を超えるまでに要した培養時間(陽性時間と称する)、横軸は市販のキットで測定した大腸菌濃度を示す。大腸菌濃度と本技術で求めた陽性時間に直線関係が見られた。この事から、本技術は市販のキット(1サンプルの測定コストは約1000円)の代わりとなる事が分かった。

    研究の内容

    現在病原菌の測定には、寒天培地を作る、多量のサンプルを何度も希釈する、24時間培養する、など、多大な時間と労力が必要です。我々は、液体サンプルや食品抽出液を0.1mL注入するだけで大腸菌、大腸菌群、腸球菌といった病原細菌(糞便汚染指標細菌)を測定できるキットを開発しました。現在の一般的な細菌測定技術と比べると、サンプルを溶液と混合するだけの極めて簡便な技術です。細菌濃度は蛍光色素を使って測定されます。蛍光色素は液体が濁っていても測定できるので、廃水や食品からの抽出液などの濁ったサンプルでもいかなる前処理もせずに直接各種細菌濃度を測定することができます。

    佐藤 久 教授 Hisashi Satoh
    博士(工学)
  • 小型電子加速器中性子源を用いた
    通信機器のソフトエラー試験

    宇宙線に起因する通信機器の誤動作を未然に防ぐ

    通信ネットワークを支える機器の半導体デバイスの高集積化が進展してきており、宇宙線中性子によるソフトエラーの確率が高まることが懸念されている。その対策のため、北大の小型加速器中性子源を利用して、通信機器のソフトエラー試験を実施している。

    • 中性子ソフトエラー試験の概念図(NTT提供)。3台の装置に同時にビームを照射することができる。

    研究の内容

    通信機器の大容量化・高機能化に伴い、半導体デバイスの高集積化が進んでいる。しかし、宇宙線中性子によって、ビット情報が反転し動作が混乱するソフトエラーの増加が懸念されている。そこでNTTと共同で、小型電子加速器駆動中性子源によりソフトエラーを再現させ、トラブルに対して事前に対策技術を開発できる場を提供できるようにした。これにより、故障発生率を事前に予測できるようになると共に、エラー検出や運用対処の確認が可能となり、機器の信頼性の向上につなげられる。
    本技術の特徴は「小型加速器中性子源」の活用である。従来は大規模加速器中性子源が必要とされてきたため、試験時間や実験スペースの十分な確保は困難であった。しかし本学における研究により、中性子強度が自然界の約数百万倍の施設でも、十分な試験が可能であることを実証した。

  • 独自の機能性脂質の開発を基盤としたin vivo核酸送達システム

    世界トップクラスの核酸導入能と安全性の両立

    siRNAの安全かつ効率的なin vivo送達を実現する独自の機能性脂質群を開発した。本脂質を含む脂質ナノ粒子は優れたエンドソーム脱出能力に起因する肝細胞への世界トップクラスのsiRNA導入効率および生分解性に起因する高い安全性を示した。

    研究の内容

    siRNAの実用化には優れた送達技術の開発がカギであるが、その送達効率には大きな伸びしろが残されている。また、実用性の観点では広い安全治療域を確保することも重要となる。さらに、特定の用途に限定されず、目的に応じた適切な製剤を提供可能なプラットフォーム技術の開発が強く望まれる。それらの実現のため、独自のpH感受性カチオン性脂質群を開発した。脂質ナノ粒子の体内動態に重要な因子である酸乖離定数の調節を実現し、標的に応じた分子設計を可能とした。また、新規脂質CL4H6を含む脂質ナノ粒子は肝細胞において世界トップクラスの効率で遺伝子発現抑制を誘導した。また、50%抑制投与量の約3,000倍もの投与量においても顕著な肝毒性は認められず、高い安全性が確認された。CL4H6はsiRNA送達後に速やかに分解除去された。

    佐藤 悠介 助教 Yusuke Sato
    博士(生命科学)
  • ポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子による
    高活性触媒の創製

    高分子担体を反応場とする金属錯体触媒の設計と効率的合成プロセスの開発

    高分子担持金属触媒の創製に有効なポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子を開発しました。高分子トポロジーの効果により、金属錯体の不均化や金属凝集による触媒の不活性化を抑制することができます。第一遷移系列金属触媒の配位子として特に有効です。

    研究の内容

    不均一系(不溶性)金属触媒は、反応混合物からの分離が容易で再利用性に優れた環境負荷の少ない有機合成手法ですが、対応する均一系(可溶性)触媒と比較して、触媒活性が低下することが問題です。私たちは、高分子鎖のトポロジー制御に基づき、高活性なモノキレート型単核遷移金属錯体の発生に有効なポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子PS-DPPBzを開発しました。塩化アリールのアミノ化カップリングやエステル-アゾールカップリング等のNi触媒反応などの効率を著しく向上させ、既存触媒では適用困難であった基質に対しても有効です。本触媒は、ろ過による分離や再利用も可能なことから、産業利用が期待されます。

  • 研究シーズ集冊子版

      

    研究の内容

    研究シーズ集Vol.5を発刊しました。
    冊子版をご入用の方は、上部の「お問合せ」ボタンよりご連絡ください。
    (Vol.5は、Vol.1から4に掲載されている研究シーズにおいて、継続掲載可能な研究シーズが全て更新掲載されております)

    産学・地域協働推進機構
     
  • 研究シーズ集Webサイト

      

    • パソコンTOP画面

    • スマホTOP画面

    研究の内容

    北大研究者の最新の研究シーズが掲載されています。
    気になる研究シーズがありましたら、上部の「お問合せ」ボタンよりお問い合わせください。
    産学の担当コーディネータが研究者との橋渡し調整を行います!
    なお、冊子版とは異なり、通年を通して、新規研究シーズの掲載が行われていきますので、
    定期的にご訪問下さい!

    産学・地域協働推進機構
     
  • eラーニングの改善と教育のオープン化

    オープンエデュケーションによる未来の学びの実現

    eラーニングをはじめとするインターネットを用いた教育学習を、教育工学の視点から研究しています。加えて、オープンコースウェアやMOOCなどによる教育のオープン化を、教材の質改善や学習効果向上に役立てる実践研究を行っています。

    • 図:北海道大学オープンコースウェア(HU OCW)

    研究の内容

    インターネットを用いた学習(eラーニング)の改善と、教育のオープン化による教育の質向上が研究のテーマです。eラーニングを効果的に実施するにあたっては、教授設計理論(インストラクショナルデザイン)に基づいた教材の開発や評価手法の実装が不可欠です。反転授業のような対面教育と効果的に組み合わせたブレンド型学習(ブレンデッドラーニング)により学習効果を高める研究を行っています。また、OCW(オープンコースウェア)やMOOC(大規模公開オンライン講座)などの、学校や大学等の教育機関に留まらず学習機会を提供する活動「オープンエデュケーション」により、講義映像や教育実践そのものを一般に公開し、多様な学習者や専門家を巻き込みながら教育を行うことで、継続的に教材や教育そのものを改善する研究も行っています。

    重田 勝介 准教授 Katsusuke Shigeta
    博士(人間科学)
  • 複合量子ビーム超高圧電子顕微鏡と材料研究

    マルチ量子ビーム科学と工学応用

    北海道大学超高圧電子顕微鏡研究室では、複合量子ビーム照射による微細組織変化のその場観察が原子スケールで可能な世界初となる光・イオン・電子の複合量子ビーム超高圧電子顕微鏡を開発しました。

    研究の内容

    【世界初の複合量子ビーム超高圧電子顕微鏡:左図】2014年に複数のレーザーを利用できる光学系を増設し、イオンビーム、レーザー光、電子など複数の量子ビーム照射下で原子レベルでのその場観察が可能な複合量子ビーム超高圧電子顕微鏡を開発。現在、その場分光システム開発中。

    【紫外線照射によるナノ結晶成長:右図】紫外線を水中プラズマ処理をしたZnに照射することによってZnOナノ結晶を成長させることに成功しました。現在、その成長メカニズムや応用について研究を推進しています。Scientific Report, 5, 11429(2015), AIP Advances, 7(2017) pp. 035220,
    その他参考文献:Nano Letters, 17(2017) pp. 2088-2093

  • 耐高温材料の微細加工による赤外メタマテリアル

    中~遠赤外線を操る材料・デバイスの開発

    中~遠赤外線の波長以下のパターンを持つヒーターや回折格子を作るとこれら電磁波を制御するデバイスを作れることが期待されます。我々は金属炭化物や酸化物の薄膜・積層・微細構造の作製法の開発と素子特性を研究しています。

    • 耐熱材料合成用高周波加熱炉
      (常用2700℃、短時間3000℃)

    • 耐熱材料の微細加工の例

    研究の内容

    電磁波の波長以下のスケールで微細加工された物質は電磁波の反射・透過を制御する働きがあります(メタマテリアルと呼ばれる)。3μm~1000μmの波長をもつ中~遠赤外線は熱の輻射にかかわる電磁波であるとともに、分子振動を励起させることができるため、分子の検出に使うことができます。熱にかかわる材料なので、耐熱性を持たせることにより他では実現できない応用が可能になります。我々は金属炭化物や酸化物などの様々な物性を持つ耐熱性材料に対するプロセス技術を研究するとともに、これら材料の赤外域での基礎物性を測定し、メタマテリアル設計につなげます。中~遠赤外線に対するメタマテリアルの作製により、分子検出用の狭線幅の中赤外発光素子や、輻射熱を制御する材料の作製を目指しています。

  • 光干渉リソグラフィによる微細パターン創成

    空間位相制御によるマスクレスでの自由微細パターン創成

    光干渉リソグラフィに空間位相制御を導入して,マスクレスで自由パターンを転写創成する手法を開発。これまでに,従来の2ビーム干渉では実現困難であった2次元干渉パターンの生成に成功しており,現在パターン転写およびその精度向上に取り組んでいます。

    • 図1

    • 図2

    • 図3

    • 図4

    研究の内容

    半導体露光装置,超精密工作機械や精密計測機に用いられる超精密位置決め機構において位置検出センサとして用いられるリニアスケールでは,マイクロメートル級のピッチを有する回折スケール格子が位置検出の「目盛り」として用いられています。また近年,微細パターンを有する機能性表面に対する需要が様々な分野で高まっています。
    本研究では,空間位相変調したレーザ光の重畳で自在生成する干渉縞の転写で,マスクレス自由パターン創成を狙っています。これまでに,従来の2ビーム干渉では原理的に創成が困難であった2次元干渉パターンの生成に成功しています。

  • 超精密光学式角度センサ

    0.001 arc-second超の高分解能を実現し,回折スケール格子ピッチ評価に援用

    超精密位置決めステージなど,精密移動体の微小角度変位を検出する光学式角度センサを開発しています。レーザオートコリメーション法ベースの角度センサとして世界最高レベル(0.001 arc-second超)の分解能を達成しています。

    • 図1

    • 図2

    • 図3

    • 図4

    研究の内容

    半導体露光装置,超精密工作機械や精密計測機に用いられる超精密位置決め機構においては,ステージ移動中の微小回転運動誤差の影響が無視できません。
    本研究では,これら精密移動体の微小角度変位を高い分解能で検出する,高精度光学式角度センサの開発に取り組んでいます。低ノイズ信号処理回路の開発および光学系の最適化設計により,レーザオートコリメーション法ベースの角度センサとして世界最高レベル(0.001 arc-second超)の分解能を,帯域1 kHzレベルで達成しています。また,この角度センサ技術をもとに,回折スケール格子全長に渡り,位置検出の「目盛り」の揺らぎをピコメートル級分解能で校正する手法を開発中です。位置決め技術の更なる高精度化を狙います。

  • 北海道近現代経済史

    道央を中心に

    「北海道経済」という言葉は、今なお「後進性」とか「一次産業」のイメージを持たれています。しかし、近現代史の歩みを見るならば、都市形成が顕著に進み、とりわけ札幌および道央は日本経済史上に類を見ないほどの膨張と変容を遂げた、といえるでしょう。

    • 当初、外国貿易は小樽、国内移出入は石狩湾新港と棲み分けする計画でしたが、1997年の港湾計画改訂により石狩湾新港の外貿機能を強化することが決まり、外航船も年々大型化していきました。2001年にはついに石狩湾新港が小樽港を追い抜きます。石狩湾新港の輸出品は金属くずをはじめとする特殊品が多く、輸入は石油製品・原木・製材をはじめとするバラスト品(荒荷)が中心です。

    研究の内容

    「島国」である北海道は、築港が継続的に行われ、いくつもの港湾都市が発達し、中心港湾は時代とともに移り変わりました。函館、小樽が北海道の商圏を二分していたといわれる明治期、その後、戦時期にかけて室蘭や釧路が急成長していきました。戦後は苫小牧が開港、1982年には石狩湾新港が開港します。いずれも戦時中に計画されたものが戦後実現したケースです。札幌の一極集中にともない、港湾も苫小牧一極集中となりました。観光都市小樽は健在ですが、港湾としては石狩湾新港が小樽を上回ります。このような主要港湾の変遷の背景には、北海道産業の変容があります。「島国」である北海道を流通や産業の視点から、とりわけ現代につながる経済史を研究しています。

    白木沢 旭児 教授 Asahiko Shirakizawa
    博士(経済学)