- 1. 貧困をなくそう
- 2. 飢餓をゼロに
- 3. すべての人に健康と福祉を
- 4. 質の高い教育をみんなに
- 5. ジェンダー平等を実現しよう
- 6. 安全な水とトイレを世界中に
- 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 8. 働きがいも経済成長も
- 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 10. 人や国の不平等をなくそう
- 11. 住み続けられるまちづくりを
- 12. つくる責任、つかう責任
- 13. 気候変動に具体的な対策を
- 14. 海の豊かさを守ろう
- 15. 陸の豊かさも守ろう
- 16. 平和と公正をすべての人に
- 17. パートナーシップで目標を達成しよう
13. 気候変動に具体的な対策を:25件
- 1. 貧困をなくそう
- 2. 飢餓をゼロに
- 3. すべての人に健康と福祉を
- 4. 質の高い教育をみんなに
- 5. ジェンダー平等を実現しよう
- 6. 安全な水とトイレを世界中に
- 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 8. 働きがいも経済成長も
- 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 10. 人や国の不平等をなくそう
- 11. 住み続けられるまちづくりを
- 12. つくる責任、つかう責任
- 13. 気候変動に具体的な対策を
- 14. 海の豊かさを守ろう
- 15. 陸の豊かさも守ろう
- 16. 平和と公正をすべての人に
- 17. パートナーシップで目標を達成しよう
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環境DNAを用いた海洋生物多様性の把握
環境DNAから,魚類などの海洋生物の生息を把握し,生物多様性情報を得る
研究の内容
水や底泥中に含まれる環境DNAを調べることで,そこに生息する生物を把握することができる。河川,沿岸域から外洋に至る様々な環境でDNAを取得し,生物の分布や量を推定する。それにより生物多様性情報を得ることができる。得られた情報は,COP15で採択された30by30による海洋保護区の選定に用いたり,OECMの認定に役立てたりすることができる。
笠井 亮秀 教授 Akihide Kasai博士(農学) -
撹乱地の生態系復元
自然・人為により撹乱を受けた生態系をファシリテーションすることでエコフレンドリーな復元を図る
ファシリテーションとは、ある植物の定着が他種の侵入定着を促進する現象を指す。噴火・火災・津波・採掘等の大撹乱により壊滅的被害を被った生態系において、そのようなファシリテータを検出し導入することで迅速かつエコフレンドリーな生態系復元を図る。
研究の内容
大規模撹乱後の生態系復元は急務であることが多いが、撹乱後の劣悪な環境では、なかなか目的とする植物の定着が進まないことが多かった。ファシリテータとは、その種が定着することで他種の定着を促進する効果のある植物種のことを指す。各撹乱地において、ファシリテータを検出し、それらの種を導入することで目的とする種の侵入定着が促進できれば、生態系復元は安価かつ迅速化でき、人為も軽微となるため、エコフレンドリーな生態系復元技術となる。
これまで、サロベツ湿原泥炭採掘跡地ではミカヅキグサが、渡島駒ヶ岳ではミネヤナギが、ファシリテータとして機能していることを明らかとしており、さらに、ファシリテータ導入手法として、微地形改変が有効であることを明らかとしている。露崎 史朗 教授 Shiro Tsuyuzaki理学博士 -
大規模火災後の生態系復元機構の解明と応用
地球温暖化の緩和に向けて
北アメリカ北極域では地球温暖化に伴う火災の大規模化が起きている。そのため火災後の生態系回復様式も変化し、新たな切り口での生態系復元機構の解明が急務である。更に、本研究で得た知見を応用し様々な大規模撹乱後の生態系復元手法の開発も必要である。
研究の内容
アラスカのタイガ・ツンドラ帯は、落雷に伴う火災多発地域であるため、火災に順応した生態系回復が見られる。これまでは、強度が低く泥炭を含めた有機物層の全焼には至らない林冠火災が主であった。特に、北向き斜面ではクロトウヒが優占し、林冠火災直後からクロトウヒの散布種子による速やかな森林再生ができた。
しかし、気候変動に伴い火災は強度・頻度ともに増加傾向にある。2004年のアラスカ森林火災は、総焼失面積が四国を上回り、有機物層も焼き尽くされた。そのため、大規模火災後の生態系回復は、林冠火災後とは大きく異なる。特に、種子発芽・成長に有機物層の存在は不可欠であり、有機物蓄積には、母材となるミズゴケの定着促進手法開発が肝要であることが明らかとなった。加えて、ツンドラ帯での火災が生態系に与える影響についても研究を行った。露崎 史朗 教授 Shiro Tsuyuzaki理学博士 -
ナノ微粒子を用いる炭素資源由来の窒素の無害化除去
Fuel窒素の事前除去と高温ガス精製へのナノ微粒子の利用
地球環境に調和した炭素資源の高度利用法の原理確立は、次世代に向けて最重要な研究テーマの一つである。本研究では、ナノスケールの金属・金属酸化物微粒子を用い、炭素資源をクリーンエネルギーに効率よく変換できる触媒プロセスの開発を目指している。
研究の内容
炭素資源中の窒素(Fuel-N)は燃焼時にNOxやN2Oとして排出され、また、高温ガス化では主にNH3に変化し後段のガス燃焼時のNOxソースとなる。本研究では、燃焼やガス化の前段の熱分解過程においてFuel-Nを無害なN2に変換する方法の開発に取り組み、イオン交換法で担持したCaイオンは熱分解時にCaOナノ粒子に変化し、N2生成に触媒作用を示すことを見出した。
また、褐炭中に元々含まれるFeイオンや褐鉄鉱中に多く存在するFeOOHは加熱過程で容易に金属鉄ナノ粒子となり、この触媒上でNH3、ピリジン、ピロールの分解反応を行うと、N2が選択的に生成することを見出した。このような含N種は石炭ガス化で生成する粗ガス中に含まれるので、これらの化合物の除去を目的とした新しい高温ガス精製法の開発への展開を図っている。坪内 直人 准教授 Naoto Tsubouchi博士(工学) -
光触媒結晶性酸化チタン薄膜の超高速成膜
高温熱処理不要な超高速電解成膜技術
結晶性酸化チタンは光触媒として実用的に重要な酸化物です。一般に高温での熱処理を必要とする結晶性二酸化チタン薄膜を,水溶液中の電解成膜法を用いてわずか数秒以内に各種金属基板上に製膜する技術を開発しました。
研究の内容
Al,Zn,Fe,Cuなどの実用金属基板上にTiF62-を含む水溶液からわずか数秒の電解により酸化チタン薄膜を得ることに成功しました。得られた酸化チタン薄膜はアナターゼ結晶性であり,熱処理することなく,光触媒活性を示します。表面の有機物をUV照射で分解し,超親水化するなどの優れた特性を確認しています。この酸化チタン膜には基板元素がドープされることから可視光応答性などの新たな機能発現も期待できます。透明導電膜などへの成膜も可能です。
幅崎 浩樹 教授 Hiroki Habazaki理学博士 -
燃焼機器で生じる音響振動解析
燃焼装置や燃焼ガス排気系統でしばしば音響振動が生じ、騒音の発生や燃焼措置の寿命低下を引き起こす。これは、燃焼装置や排気系統で生じる発熱変動と音響圧力変動が連動することより生じる。本研究は、この物理過程の解析とその抑制技術の検討を行っている。
研究の内容
燃焼装置や燃焼ガス排気系統でしばしば音響振動が生じ、騒音の発生や燃焼措置の寿命を低下につながる。これは、燃焼装置や排気系統で生じる発熱変動と音響圧力変動が連動することより生じるが、これが生じる物理過程の解析と抑制技術の検討を行っている。研究の手法としては、単一の円管内に可燃性ガスを封入しその一端に着火させ火炎が管内を伝播する際に生じる音響振動現象を用いる。この伝播現象に種々の境界条件(開放端条件・伝播方向・混合ガス組成・伝播管直径と長さ・火炎面の構造等)を与え、音響振動現象を引き起こした上で、その要因を燃焼の不安定性解析手法により理解する。ここで再現された振動現象は単純化された系で観察されるものであるが一般性のある現象であり、実際の燃焼機器や排気系統で生じる音響振動現象の理解に直接つながるものである。
藤田 修 教授 Osamu Fujita工学博士 -
リチウムイオン電池の火災安全性向上技術
リチウムイオン電池はそのエネルギー密度の高さから利用が急激に拡大している。一方で電池内部に有機溶媒を使用していることから火災安全性の確保が重要である。本研究は有機溶媒の燃焼現象に焦点をあててその燃焼抑制技術に関する研究を行っている。
研究の内容
リチウムイオン電池はそのエネルギー密度の高さから利用が急激に拡大している。一方で電池内部の電解液に有機溶媒を使用していることから火災安全性の確保が重要である。本研究は有機溶媒の燃焼抑制を目指して燃焼抑制剤添加効果の定量化手法の開発や燃焼抑制に効果のある添加剤の探索、さらには、電解液に含まれるリチウム塩自体の有機溶媒の燃焼性に及ぼす効果などを研究している。また、電解液の燃焼素反応機構を考慮した火災現象のモデル化および数値解析を実施している。
藤田 修 教授 Osamu Fujita工学博士 -
微小重力場を利用した燃焼現象解明
燃焼現象は局所的な温度上昇を伴うことから周辺に常に自然対流が生じる。このことが現象を複雑化し、その基本的理解を難しくしている。本研究では微小重力環境を活用することで、自然対流を取り除き燃焼現象を基本的立場から理解しようとするものである。
研究の内容
燃焼現象は局所的な温度上昇を伴うことから周辺に自然対流が常に生じる。このことが現象を複雑化し、その基本的理解を難しくしている。本研究では微小重力環境を活用することで、自然対流を取り除き燃焼現象に含まれる基礎的過程(拡散・熱伝導・すす生成・着火・火炎伝播等)を理解し、このような現象が介在する燃焼装置や燃焼現象の数値予測やモデリングに役立てていこうとするものである。北海道大学には常時利用可能な40m級の大型落下塔があり、微小重力実験を容易に実施可能な環境にある。また、国際共同研究による航空機を用いた微小重力実験や国際宇宙ステーションによる実験も進めており、微小重力場を利用した燃焼研究を行う上で恵まれた環境にある。
藤田 修 教授 Osamu Fujita工学博士 -
境界要素解析フレームワークと分散H行列法
最先端の大規模・高精度解析を実現する
並列計算環境において高性能な境界要素解析を実現するためのソフトウェアフレームワークを開発しました。また、同解析を高速化する技術であるH行列法について、分散環境に対応したライブラリを開発し、多様な応用分野のプログラム上で性能評価を行いました。
研究の内容
本研究では、JST CREST「自動チューニング機構を有するアプリケーション開発・実行環境」の一環として、並列境界要素解析フレームワークを開発しました。本フレームワークを利用することにより、少ないプログラミングコストで大規模並列計算システムに対応する境界要素解析プログラムを開発することができます。また、本プロジェクトでは、H行列と呼ばれる密行列をよりデータ量の少ない行列で近似する手法のライブラリを開発しています。本ライブラリは境界要素解析以外のN体問題等の解析でも利用が可能であり、既にスパコン上の地震シミュレーション等に活用されています。複数のスレッドとプロセスを活用するハイブリッド並列処理に対応したH行列に関するライブラリは国内外でも他に例がなく、本研究の特徴となっています。
岩下 武史 教授 Takeshi Iwashita博士(工学) -
高純度ナトリウムの製造
電解精製でナトリウム資源の循環を
大型の二次電池で主に産業用として用いられているナトリウムー硫黄二次電池があります。本研究ではこの電池の使用済みの状態のものから、電池内部に含まれる金属ナトリウムを回収して、これを電解精製し高純度ナトリウムを製造するプロセスを開発しています。
研究の内容
本研究は、不純物を含む金属ナトリウムを電解精製によって高純度化するプロセスの開発です。原料となる金属ナトリウムは、使用済みナトリウムー硫黄電池の中から回収したものになります。これを図1の電解槽模型の左上(陽極)に設置し、電流を流す事でナトリウムイオンが電解液に溶解し、ナトリウムのみが右上の高純度ナトリウム(陰極)側に順次析出します。このプロセスは200℃以下で操業が可能になります。この電解で得られた高純度ナトリウムは電池の原料や他の用途としても使うことができる純度です。ナトリウム資源を海外に依存している本邦であるからこそ、この技術が今後広く応用できると考えています。
上田 幹人 教授 Mikito Ueda博士(工学) -
氷結晶表面の分子レベル光学直接観察
高さ方向には原子分解能を有する光学顕微鏡の開発とそれを用いた氷結晶表面のその場観察
株式会社オリンパスエンジニアリングと共同で、高さ方向には原子分解能を有する光学顕微鏡を開発した。現在それを用いて、氷結晶が成長・昇華・融解する機構を、分子レベルで明らかにしようとしている。
研究の内容
平らな面で囲まれた結晶は、材料の種類によらず層状に成長する。そのため、結晶が成長するメカニズムやカイネティクスを明らかにするためには、その成長端(一般に「単位ステップ」と呼ばれる) がどのような挙動を示すのかを直接観察する必要がある。しかし、氷結晶の場合には、原子間力顕微鏡や電子顕微鏡等、通常固体表面を分子レベルで観察する際に用いられる顕微鏡を適用することができない。この困難を克服するべく、平らな結晶表面上の原子・分子高さのステップを、非接触・非破壊で直接観察できる光学顕微鏡を開発した。現在これを用いて、氷結晶の成長機構や、ゼロ度以下で氷結晶表面が融ける現象(表面融解と呼ばれる)を、分子レベルで明らかにする研究に取り組んでいる。氷結晶以外にも、結晶表面上を原子・分子高さレベルで調べる研究を広く展開している。
佐﨑 元 教授 Gen Sazaki博士(工学) -
ポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子による
高活性触媒の創製高分子担体を反応場とする金属錯体触媒の設計と効率的合成プロセスの開発
高分子担持金属触媒の創製に有効なポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子を開発しました。高分子トポロジーの効果により、金属錯体の不均化や金属凝集による触媒の不活性化を抑制することができます。第一遷移系列金属触媒の配位子として特に有効です。
研究の内容
不均一系(不溶性)金属触媒は、反応混合物からの分離が容易で再利用性に優れた環境負荷の少ない有機合成手法ですが、対応する均一系(可溶性)触媒と比較して、触媒活性が低下することが問題です。私たちは、高分子鎖のトポロジー制御に基づき、高活性なモノキレート型単核遷移金属錯体の発生に有効なポリスチレン架橋ビスホスフィン配位子PS-DPPBzを開発しました。塩化アリールのアミノ化カップリングやエステル-アゾールカップリング等のNi触媒反応などの効率を著しく向上させ、既存触媒では適用困難であった基質に対しても有効です。本触媒は、ろ過による分離や再利用も可能なことから、産業利用が期待されます。
澤村 正也 教授 Masaya Sawamura工学博士 -
耐高温材料の微細加工による赤外メタマテリアル
中~遠赤外線を操る材料・デバイスの開発
中~遠赤外線の波長以下のパターンを持つヒーターや回折格子を作るとこれら電磁波を制御するデバイスを作れることが期待されます。我々は金属炭化物や酸化物の薄膜・積層・微細構造の作製法の開発と素子特性を研究しています。
研究の内容
電磁波の波長以下のスケールで微細加工された物質は電磁波の反射・透過を制御する働きがあります(メタマテリアルと呼ばれる)。3μm~1000μmの波長をもつ中~遠赤外線は熱の輻射にかかわる電磁波であるとともに、分子振動を励起させることができるため、分子の検出に使うことができます。熱にかかわる材料なので、耐熱性を持たせることにより他では実現できない応用が可能になります。我々は金属炭化物や酸化物などの様々な物性を持つ耐熱性材料に対するプロセス技術を研究するとともに、これら材料の赤外域での基礎物性を測定し、メタマテリアル設計につなげます。中~遠赤外線に対するメタマテリアルの作製により、分子検出用の狭線幅の中赤外発光素子や、輻射熱を制御する材料の作製を目指しています。
島田 敏宏 教授 Toshihiro Shimada博士(理学) -
ナノフィブリル化バクテリアセルロースの大量生産
バクテリアを用いることにより低分子バイオマスから
ボトムアップでナノフィブリル化セルロースを生産する我々は、新奇なセルロース合成酢酸菌を取得し、糖蜜を原料としたナノフィブリル化バクテリアセルロース(NFBC: Fibnano®)の大量生産に成功しました。NFBCは流動性、混和性、成型性に優れており、幅広い分野での利用が可能です。
研究の内容
バクテリアによって合成されるセルロースはバクテリアセルロース(BC)と呼ばれており、高い保水性、高強度、生分解性、生体適合性などのユニークな性質を有しています。また近年、ナノサイズのセルロース素材(ナノフィブリル化セルロース(NFC))が注目を浴びています。一般に、NFCはパルプを原料として、物理的・化学的処理によってトップダウン的に調製され、得られたNFCは水中に高分散しています。対照的に、セルロース合成菌の培養条件を最適化することにより、低分子バイオマスからボトムアップ的にナノフィブリル化BC(NFBC: Fibnano®)を調製することが可能です。我々は、道内企業との共同研究により、砂糖製造時の副生成物である糖蜜を原料としたNFBC(Fibnano®)の大量生産に成功しました。
田島 健次 准教授 Kenji Tajima博士(工学) -
非破壊CT-XRD連成法の開発とその応用
セメント硬化体微細組織の可視化
コンクリート内部の微細組織に対して、数ミクロンの精度でその幾何学的空間情報を取得できるCT法、および関心領域の水和物や変質を調べる回折法を連成させる新しい測定手法「非破壊CT-XRD連成法」を開発して、革新的セメント系硬化体材料を開発する。
研究の内容
コンクリートは、セメントと水との水和反応によって岩(骨材)を結合することで、構造用硬化体になります。一方、構造材料としての宿命である荷重や気象/環境作用によって、ひび割れが発生、進展したり、強酸作用、大気や海水、地下水などの浸食や物質侵入に伴う化学反応で劣化することがあります。社会インフラを長期間安定して利用するために、「虫の目」でコンクリート内部組織を観察して、そこで生じる異変を見つけることが大切です。
先駆的「非破壊CT-XRD連成法」は、放射光が提供する高輝度な白色X線を試料に照射して、選択的に25keVの透過単色X線から3次元構造体を可視化します。また、複数のスリット操作から特定の関心領域のエネルギー分散型X線回折を実行して、ポルトランダイトやカルサイトなどの水和物やその変質、骨材鉱物を特定します。杉山 隆文 教授 Takafumi SugiyamaPh.D. -
高効率半導体太陽電池
導波路と結合した、フォトン-とフォトキャリアが直交するマルチストライプ半導体よりなる新型太陽電池
光吸収とフォトキャリア収集の最適化を同時実現し、複数半導体ストライプにより全太陽スペクトルに亘って光電変換することで、温度上昇・素子劣化が抑制され、拡散光に強い高効率集光型太陽光発電システムをリディレクション光導波路との結合により実現する。
研究の内容
従来型太陽電池では、フォトキャリアの移動方向と光の進行方向が平行の為、キャリア収集と吸収光子数はトレードオフの関係にある。本研究では、キャリア移動方向と光進行方向の直交性により、光吸収最適化とキャリア収集効率最適化を両立できる。太陽光を順次高エネルギー成分から低エネルギー成分へとスペクトル全体に亘って光電変換するので、熱としての散逸を最小限に留め、高効率を得うる。光波進行方向変換膜付き導波路タイプの集光系により、拡散光に強い太陽光発電システムを実現できる。高エネルギーフォトンを、中間ギャップ、ナローギャップ半導体へ進入させないことでボンドの変性を未然に防ぎ、素子の長寿命化が期待できる。曇天時にも強く、熱力学的限界に迫る高変換効率と高信頼性をもつ、3拍子揃った究極の集光型太陽電池システムを実現できる。
石橋 晃 教授 Akira Ishibashi理学博士 -
再生可能エネルギー発電の出力把握と出力変動対策
太陽光発電や風力発電の出力変動をリアルタイムに把握しその変動を抑制
負荷電力(A)と再生可能エネルギー発電出力(B)とが混ざった電力潮流情報から,(A)と(B)を抽出する手法を開発しました。また(B)は天候に依存して大きく変動しますが,蓄電池を使って変動を抑制する制御手法と蓄電池容量評価手法を開発しました。
研究の内容
本研究室では,独立成分分析(ICA)と呼ばれる信号解析技術を応用し,配電線を流れる電力潮流情報に隠れている「再生可能エネルギー発電(RE電源)の出力」をリアルタイムに抽出する手法を開発しました。系統内のPV設置容量などの予備情報を使用することなく,高精度な出力推定が可能です(図1)。
また,蓄電池を用いてRE電源出力変動を補償するための制御手法も開発しています(図2)。また,個別のウインドファーム・メガソーラなどの出力変動抑制に必要な蓄電池容量を推計するシミュレーション技術も開発しました。北 裕幸 教授 Hiroyuki Kita博士(工学) -
耐氷点下起動性に優れた固体高分子形燃料電池の開発
電池内マイクロナノ凍結現象の解明
普通では観察することのできない燃料電池内の反応層近傍凍結現象を、超低温型電子顕微鏡を用いて可視化しています。さらに電気化学測定を組み合わせ、寒冷地利用で問題となる生成水凍結現象の解明と耐氷点下起動性に優れた電池の開発を行っています。
研究の内容
高効率でクリーンなエネルギー変換機器である固体高分子形燃料電池において、反応による生成水は下の左図のように数十nmの径の触媒層空隙を通り、数μm径の空隙を有する多孔膜であるマイクロポーラスレイヤー(MPL)を介して、ガス拡散層・ガス供給チャネルへと排出される。寒冷地での氷点下環境起動では、生成水が凍結し、発電停止、劣化を引き起こす問題が生じるが、現象がマイクロナノスケールであるため計測が難しく、現象解明は未だ不十分の状況である。本研究では、水がどの部位で凍結し、どのような機構で性能停止および経年劣化に繋がるかを微視的観察、電気化学測定、触媒層モデル解析により解明し、耐起動性の向上や長寿命化を達成することを目指している。下の中図は触媒層が氷で埋められている様子、右図は解析でモデル化している触媒層の構造模式図である
田部 豊 教授 Yutaka Tabe博士(工学) -
社会技術システムとしてのバイオマス利活用に関する研究
地域循環によるバイオエネルギー普及を目指して
循環計画システム研究室では、生ごみ、下水汚泥、家畜ふん尿、林地残材や稲わら等のバイオマスを地域内で利用し、地域分散型のバイオエネルギーを創り出すための、技術と社会の仕組み作り(社会技術システム)に関する研究をしています。
研究の内容
本研究室では、バイオマス(生ごみ、下水汚泥、家畜ふん尿、林地残材、稲わらなど)から燃焼やメタン発酵によって回収されたエネルギーを、地域内に存在するエネルギー需要者(公共施設や介護・福祉施設、ビニールハウス等の農業施設、食品工場等)と結びつけることにより、環境と地域振興(経済)の両方に貢献できるシステム提案(実験やフィールド調査に基づく計画、モデリング、評価)を行っています。さらに、民間企業の協力を得て、寄附分野循環・エネルギー技術システム分野(古市徹客員教授、藤山淳史特任助教、http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/mces/)とも連携し、エコで安全なエネルギーに関する研究を行っています。
石井 一英 教授 Kazuei Ishii博士(工学) -
成長のツボを押す新しい植物生育促進技術
排水を活用する次世代バイオマス生産と植物工場への共生細菌の利用可能性
北海道大学植物園のウキクサ亜科植物から全く新しい成長促進細菌P23を発見した。P23は植物の表面スイッチを押すことでその生育を促進する。ウキクサは排水を肥料として生育する高付加価値バイオマスであり、P23との共生によってその生産速度が約2倍
研究の内容
水生植物ウキクサは排水中の窒素やリンを吸収して生育することが可能かつ、リグニンやセルロースをほとんど含まないソフトバイオマスである。そのタンパク質含量は大豆に匹敵する約30%であり、生育環境によってデンプン蓄積量も50%に達する。前者の特徴は家畜飼料としてそのまま利用可能であり、後者はバイオ燃料生産および化成品前駆体HMFを生産するための原料として有用である。このような、次世代バイオマスの生産収率を向上するために、私たちは表層細菌の共生作用による植物生育促進技術開発を行っている。その適用範囲は、ウキクサの栽培以外に野菜・穀類の水耕栽培(植物工場)が想定される。これは遺伝子組換えを伴わない、自然の摂理に従った古くて新しいバイオ技術である。
森川 正章 教授 Masaaki Morikawa博士(工学)