北海道大学 研究シーズ集

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9. 産業と技術革新の基盤をつくろう:126件

1頁の掲載件数 20 50 改頁しない SDGs別アイコン凡例
  • 1. 貧困をなくそう
  • 2. 飢餓をゼロに
  • 3. すべての人に健康と福祉を
  • 4. 質の高い教育をみんなに
  • 5. ジェンダー平等を実現しよう
  • 6. 安全な水とトイレを世界中に
  • 7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 8. 働きがいも経済成長も
  • 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 10. 人や国の不平等をなくそう
  • 11. 住み続けられるまちづくりを
  • 12. つくる責任、つかう責任
  • 13. 気候変動に具体的な対策を
  • 14. 海の豊かさを守ろう
  • 15. 陸の豊かさも守ろう
  • 16. 平和と公正をすべての人に
  • 17. パートナーシップで目標を達成しよう
  • NEW ロバストCO2濃度測定器による光合成効率の最適化

    コンパクトな赤外分光器を開発しています

    新しいアルゴリズムに基づく赤外分光器を開発しています。完成すれば手のひらサイズで、大気中や固体表面の分子を定量することが可能になります。

    研究の内容

    空気中の二酸化炭素やエチレンなどの小分子の濃度は、植物の生育や果物の成熟に大きな影響を与えます。これらの分子は特徴的な赤外吸収スペクトルを示すため、定量には赤外分光法が有効です。これまでの装置は卓上型でしたが、私たちは新しいアルゴリズムを考案し、それに基づいた分光器を開発しています。

  • NEW ポータブルな液体クロマトグラフ(化学分析装置)

    検査室から持ち出せる化学分析装置

    液体クロマトグラフはサイズおよび重量が大きいため、実験室での使用に限定され、試料の採取場所での分析や小規模な実験室での分析は困難でした。そこで、構成要素を根本から小型化することに取り組み、超小型・超軽量装置の開発に成功しました。

    研究の内容

    ・液体クロマトグラフ法(HPLC)
    各成分は、カラム内で充填剤との相互作用の程度の違いで分離されます。分離するため、成分どうしの干渉なしに分析できます。溶出時間で成分が特定でき、検出信号の強さから濃度を決定できます。

    ・ハンディーポータブルタイプ
    使用のつど収納でき、限られたスペースを有効活用
    低溶媒使用量で低コスト 現場での取扱いも容易
    シンプルな構造でセッティングとメンテナンスが容易
    極微量の試料導入量により希少サンプルの分析に最適
    入手容易な乾電池が使用可能
    従来スペースに複数台設置して分析効率を向上

    ・コンパクトオールインワンタイプ
    カラム(チップ)と検出器(ブロック)をモジュール化。各種検出法に対応し、交換可能。

  • NEW 植物性色素の生理機能とその応用

    植物色素の力で植物もヒトもストレスに強くなる!?

    植物色素の一種であるベタレインの、植物細胞内における生理機能として、ストレス負荷により蓄積する活性酸素(ROS), 活性窒素(RNS)消去能及び機構解明をおこなう。植物の環境ストレスに強い植物開発への応用を目指している。

    研究の内容

    寒冷地作物ビーツに含まれる赤や黄色のベタレイン色素は抗酸化や血圧降下作用など多機能性が示唆されるが、ベタレインは非常に不安定なため精製度の高いベタレインを用いた検証は非常に少なくベタレイン色素自身の機能詳細は不明である。
    そこで、ビーツに含まれ得るベタレイン色素(ベタシアニン・ベタキサンチン)の高純度精製法を確立した。得られた純度の高いベタレイン色素を用いて、活性酸素や活性窒素の消去能を in vitro または in vivoで測定することにより、種々のストレスに対する細胞保護機能を評価し、機能性食品開発や環境ストレスに強い作物の作出を目指している。

  • NEW 食品ナノ構造の非破壊スローオペランド解析

    大型施設でしかできないと思われていたこと。実は北大でできます

    食品はいくつもの相が混合した「混ざりもの」です。その「混ざり方」は食感を左右する重要な要素です。製造プロセスや保存プロセスで起きる「混ざり方」の変化を非破壊・連続的に観測します。

    研究の内容

    ほとんどの食品は水を含む複数の相(同一の結晶構造・分子構造を持つ領域)が混合した「混ざりもの(複相組織)」です。「混ざりもの」の食感はそれぞれの相の性質だけではなく、構成する相がどのような大きさ(スケール)でどのくらいの個数が存在しているかという「混ざり方」も大きな影響を及ぼしています。構成している相は原料を決めるとある程度決まってきます。例えばモッツアレラチーズといえば、どの製品にも共通する味や食感があります。一方で、味や食感は製造者によって明確な違いがあります。中でも食感については、その違いを決定する最重要な要素が「混ざり方」であり、製造プロセスにより大きな影響を受けます。

  • NEW 超低価格のオンサイト検査システムの開発

    どこでも誰でも検査が可能な検査チップ

    どこでも誰でも検査が可能な検査チップの開発を行っています。紙を基材にすることで、材料コストだけでなく、廃棄コストも低減することができます。検出器にスマートフォンを利用することで、超低価格のオンサイト検査システムが実現できます。

    研究の内容

    ・検査チップとアプリを開発中
    紙製検査チップとスマートフォンで簡便ながら精度良い分析が可能

    ・紙製検査チップ(ペーパーマイクロチップ)
    軽量・薄型の検査チップ
    スマホが測定器だから導入費はゼロ
    熟練がいらない簡単な操作
    スマホアプリが高精度で検査
    検査後の処分も簡単

  • NEW ブロック型生分解性ポリエステルの微生物合成

    微生物を利用してバイオマスから合成される新規生分解性プラスチック

    グリコール酸ユニットなどの非天然ユニットを含むポリマーの合成系を独自に開発しました。加えて、これまで不可能であったモノマー配列が制御されたブロック共重合体を合成することにも成功しています。

    研究の内容

    ある種の微生物は再生可能なバイオマスを原料として、細胞内にポリエステルを合成蓄積します。このポリエステルは生分解性プラスチックとして利用可能ですが、これまで物性の制御が難しいのが難点でした。我々は、人工的に改変したポリマー合成系を用いて、様々な非天然ポリマーの生合成に成功しています。これらのポリマーは、天然型ポリマーでは実現不可能な物性も発揮できます。生分解性の評価はまだ完了していませんが、典型的には、土中で3か月程度で分解されます。生分解性に加えて、生体吸収性の発揮も期待できます。

  • NEW 無機-バイオ界面に着目した新規材料作製

    シリカ合成酵素、バイオミネラル、無機-有機複合材料、自己修復材料

    我々は生物が創り出す鉱物(バイオミネラル)に着目し、それを人工的に模倣した無機材料作製技術を開発しています。また、無機物とバイオ分子の界面に形成される親和力を利用した新たな金属分離技術および吸着・接着技術についても取り組んでいます。

    研究の内容

    1.シリカ合成酵素を用いた新規ハイブリッド材料作製
    シリカは酵素によって合成されており、シリカ合成酵素はシリカテインと呼ばれています。シリカテインを用いることで、常温・中性pHという温和な条件下でシリカの重合を行うことが可能なため、バイオハイブリッド材料の作製ツールとして利用できると思われます。我々は、タンパク質融合技術により、シリカテインを可溶化した状態で長期間安定に存在させることに成功し、様々な複合材料の作製のツールとして用いています。
    2.バイオ界面に着目した新たな金属分離技術と固体吸着技術の開発
    生物は様々な力(相互作用)を用いて、固体表面に接着しています。我々はその力をうまく利用することで、紙(セルロース)を用いた金属イオン捕集技術や、特定の金属だけに吸着・接着する技術の開発を行っています。

  • NEW 発光性希土類錯体を用いた農林水産事業の支援

    波長変換フィルムで農作物成長を促進

    農作物成長促進に効果的な強発光性の希土類錯体(発光効率:世界トップ)を開発。その発光体を透明シートに塗った光波長変換フィルム(紫外光→可視光)の作製に成功。

    研究の内容

    紫外光を効率よく吸収し、赤色領域の強発光する希土類錯体を開発しました。この分子を塗り込んだ光波長変換フィルムは太陽光の赤色部分(600nm付近)を増強することができます。
    この希土類錯体は可視光領域は光吸収がなく、農作物の光合成の鍵となるクロロフィル分子(赤色光を吸収)へ光を効果的に当てることができます。
    ● 太陽光の可視光領域をさえぎることがないため、農作物育成に応用した場合、日照時間を増やす効果があります。(特に冬期は効果的)
    ● 光変換の波長は赤色光の他に、「緑色光」「白色(波長混合)」「近赤外光」 に変換も可能です。  紫外線カットによる遮熱効果も期待できます。
    ● 発光色が温度によって変化するフィルムも作ることができます。LEDと組み合わせることもできます。

    長谷川 靖哉 教授 Yasuchika Hasegawa
    工学研究院 応用化学部門 機能材料化学分野
  • NEW 寒冷地農業施設の最適な維持管理のための腐食と防食技術

    積雪寒冷地に着目した、構造物や機器の腐食・防食の研究

    北海道の特徴は、積雪寒冷地であることです。寒さと雪に着目した大型施設や機器の腐食状況の把握、基礎研究からの腐食状況解析などを行っています。

    研究の内容

    ・積雪寒冷地の金属材料の腐食
    雪が降る低温においても金属材料が激しく腐食する理由として、雪が溶けることによりできる塩分を含む水膜があげられます。
    そこで、水膜の厚さや塩分濃度を変えて腐食試験を行っています。右図は、水膜が薄くなると、氷点下でも金属材料表面に多くの酸素が供給されることを示してます。このことは、氷点下でも日光で雪がとけると激しく腐食することを意味しています。
    ・積雪寒冷地の曝露試験
    北海道内数カ所で曝露試験を行い、雪の影響でどの程度金属材料が腐食するのかを調査しています。
    海からの飛来海塩量の測定も実施しており、札幌近郊では、冬季に飛来海塩量は夏の数倍に増えていることが分かりました。大型鋼製構造物に温度センサーを設置して測定した結果、気温が氷点下でも日光があたると十度以上になることがわかりました。

    坂入 正敏 准教授 Sakairi Masatoshi
    工学研究院 材料科学部門 マテリアル設計分野
  • NEW 植物の繊維構造・特異な形態が生み出す構造・材料力学的機能評価とプラントミメティック構造材の創製

    「植物の智恵」から学ぶ新しいデザインとものづくり

    竹を始めとする維管束植物や、様々な植物の構造形態の力学的合理性をサイエンスの視点で実証するとともに、その構造形態を模倣することにより、既存の材料性能を凌駕する新しい構造材のデザインを目指しています。

    研究の内容

    ◆構造・材料力学理論と有限要素解析により、理論的なアプローチで植物の形態を捉えます。
    ◆例えば、次ページの写真に示す竹は節と断面内維管束分布が特徴的ですが、これらには自身の体を最小材料で効率的に支える秘密があることが本研究室の研究で明らかとされています。このことは、繊維量を減らし機能を高めるCFRP材料の設計に応用できる「竹が教えてくれる智恵」であるといえます。※本研究により、文部科学省より「科学技術への顕著な貢献2019(ナイスステップな研究者)」に選定されています。
    ◆さらに、断面形状が非円形の植物など、特徴的な形状には力学的な利点が潜んでいます。
    このような進化の過程で植物が生存戦略の一環として獲得してきた形状の合理性を暴き、付加価値を有するものづくりに生かすデザイン研究を行っています。

  • NEW H2Oの相変化制御と応用

    水を制御して、生命を制御する

    トレハロースなどの二糖類を使った細胞の凍結保存実験を行い、氷晶形成の制御という観点からそのメカニズムを解明し、より多くの細胞の凍結保存技術の開発に資する。

    研究の内容

    凍結過程を上手に制御すると、細胞を生きたまま凍結することができる。つまり、「生命の時を止める」ことができるのだ。この「凍結保存」技術は、すでに畜産業や水産業で導入されているが、そのメカニズムは科学的に解明できているわけではなく、需要は高いが凍結保存できない細胞種は数多く存在する。私たちはこの「細胞の凍結保存メカニズム」を、その主要成分である水の相変化を制御するという視点から解明を試みている。

  • NEW 食品付加価値を高める超音波ドップラー検査技術

    医療用の超音波エコーや超音波ドップラーによる画像診断機器を身近な対象物に使えるようにポータブル化しました。スーツケース1個で持ち運び、現場ですぐに使えます。農作物の非破壊診断、連続食品加工におけるライン上での品質管理を可能にします。

    研究の内容

    ・農学部と工学部の共同開発で、トマト、キウイなどの果物や野菜の表皮硬度・内部熟度を3秒で可視化する方法を完成させました。
    ・カレー、ゼリー、ヨーグルト、チョコレートなど環境や温度で変化する様々な食品の粘度を、円筒に入れて回すだけですぐに計測できる技術を作りました。
    ・大きめの固体粒子が分散するゼリー状の粘弾性液体がせん断を受けるときの粘性応力と弾性応力を計測、複雑レオロジー混相流体にも適用可能に。
    ・市販のトルク式レオメータでは計測できない変形履歴応力をもつ物質(メモリー効果物質、チクソトロピ物質)の内部流動の特異性を抽出することに成功。

    村井 祐一 教授 Murai Yuichi
    工学研究院 機械・宇宙航空工学部門 熱流体システム
  • NEW プラズマ処理によるカビ様臭原因物質トリクロロアニソール除去技術の開発

    カビ様臭原因物質をプラズマで効果的に除去可能

    低圧アルゴン(以下Ar)プラズマおよび大気プラズマを用いて天然コルク中のカビ様臭の原因物質であるトリクロロアニソール(以下TCA)の除去を試みた。前者では最大40分の1程度まで効果的に減少させられることが分かった。

    研究の内容

    I. 低圧Arプラズマ照射による天然コルク中TCAの除去
    ・天然コルクにTCAを含侵させた試料(Control)に低圧Arプラズマを放電圧力などを変化させ照射
    ・Control試料の最大40分の1程度まで減少(特に低放電圧力で効果的)
    II. 大気プラズマ照射による天然コルク中TCAの除去
    ・TCA含侵天然コルク試料(Control)に大気プラズマを放電電圧などを変化させ照射
    ・条件によっては3分の2程度まで除去

  • NEW 超音波流速分布計測による新しいレオメータ

    様々な分野にブレークスルーをもたらす流動物性の新たな基盤計測技術

    超音波流速分布計測と運動方程式の逆解析を用いた新しいレオメータです。食品など混相体の流動物性を瞬時に評価可能です。検査において従来法の死角を補うだけでは無く、生産ラインの状態・品質管理まで応用可能な技術です。

    研究の内容

    液体に与えられた変形は、粘性や粘弾性など、局所の運動物性を反映して伝播します。新たに開発したレオメータでは、理想的な状態で与えられた変形を、超音波による速度分布計測から求め、それを液体の運動を記述する方程式で逆解析することで、瞬時・局所の物性を評価します。対象の液体が固体や他の液体、気体の分散相を含む場合にも適用可能であり、また瞬時の粘度曲線を計測可能であることから、化学反応や温度による状態変化などによる物性の経時変化を計測できます。円管内流れへの応用では、管内を流れる液体の流動物性を、試料を取り出すこと無くインラインかつ非侵襲でリアルタイムに評価できます。

  • 銀系化合物を用いる水素の活性化と接触合成反応

    高活性水素イオンの生成触媒の開発とCO2メタネーション反応への利用

    Gin De Ride(銀-Derived Hydride, GDR)は、当研究室が発見した銀系化合物から生成する高活性水素イオンで、一部を低温燃焼させることで熱を供給し、余剰GDRは例えばCH4合成に利用することで、反応が効率化できる。

    • 図1 GDR*生成触媒のイメージ図
      *GDR, Gin De Ride(銀-Derived Hydride)

    • 図2 GDR生成触媒を混合したニッケルアルミナ触媒の二酸化炭素メタネーション活性の例(上は反応器出口ガス濃度、下は熱電対温度)

    研究の内容

     水素の自然発火温度は525℃前後と高く、低温で燃焼させるためには、高活性水素を製造可能な触媒の利用が不可欠である。これまでパラジウムや白金系触媒が用いられているが、供給面や価格面などの不安を抱えている。
     当研究室では、従来の触媒に比べ供給面や価格面で有利な触媒の研究に取り組み、その結果、高活性な水素イオンを生成可能な銀系化合物を発見した。本触媒は、水素を供給すると高い活性を持つ水素イオン“Gin De Ride(銀-Derived Hydride, GDR)”を与えるため、まず低温で水素と酸素を同時供給することにより生成GDRを燃焼させ、次いで発生熱と余剰GDRを利用すれば各種合成反応を効率的に行うことが出来る。
     現在、CO2メタネーション用の触媒との複合化により、低温で反応が進行することを見出している。

  • 光干渉リソグラフィによる微細パターン創成

    空間位相制御によるマスクレスでの自由微細パターン創成

    光干渉リソグラフィに空間位相制御を導入して,マスクレスで自由パターンを転写創成する手法を開発。これまでに,従来の2ビーム干渉では実現困難であった2次元干渉パターンの生成に成功しており,現在パターン転写およびその精度向上に取り組んでいます。

    • 図1

    • 図2

    • 図3

    • 図4

    研究の内容

    半導体露光装置,超精密工作機械や精密計測機に用いられる超精密位置決め機構において位置検出センサとして用いられるリニアスケールでは,マイクロメートル級のピッチを有する回折スケール格子が位置検出の「目盛り」として用いられています。また近年,微細パターンを有する機能性表面に対する需要が様々な分野で高まっています。
    本研究では,空間位相変調したレーザ光の重畳で自在生成する干渉縞の転写で,マスクレス自由パターン創成を狙っています。これまでに,従来の2ビーム干渉では原理的に創成が困難であった2次元干渉パターンの生成に成功しています。

  • 超精密光学式角度センサ

    0.001 arc-second超の高分解能を実現し,回折スケール格子ピッチ評価に援用

    超精密位置決めステージなど,精密移動体の微小角度変位を検出する光学式角度センサを開発しています。レーザオートコリメーション法ベースの角度センサとして世界最高レベル(0.001 arc-second超)の分解能を達成しています。

    • 図1

    • 図2

    • 図3

    • 図4

    研究の内容

    半導体露光装置,超精密工作機械や精密計測機に用いられる超精密位置決め機構においては,ステージ移動中の微小回転運動誤差の影響が無視できません。
    本研究では,これら精密移動体の微小角度変位を高い分解能で検出する,高精度光学式角度センサの開発に取り組んでいます。低ノイズ信号処理回路の開発および光学系の最適化設計により,レーザオートコリメーション法ベースの角度センサとして世界最高レベル(0.001 arc-second超)の分解能を,帯域1 kHzレベルで達成しています。また,この角度センサ技術をもとに,回折スケール格子全長に渡り,位置検出の「目盛り」の揺らぎをピコメートル級分解能で校正する手法を開発中です。位置決め技術の更なる高精度化を狙います。

  • リンの高効率かつ高選択的な分離回収技術

    リン鉱石の輸入依存脱却が可能な二次リン資源からのリンの分離回収

    「炭素化(もしくは炭素添加)」と「塩素化」を共通工程とした二次リン資源(製鋼スラグ、鶏糞、下水処理後のHAP・MAP、下水汚泥、下水汚泥焼却灰など)中のリンの非常にシンプルな高効率・高選択的分離回収技術を開発した。

    • 図1 製鋼スラグでの再資源化の例

    • 図2 下水汚泥焼却灰での再資源化の例

    研究の内容

    リンは生命体の必須元素で、さらに、化学肥料や工業製品などの原料として広く使われているが、近年、リン鉱石の低品位化と枯渇が現実味を帯び始め、資源の確保が焦眉の課題となっている。一方、日本のリンのマテリアルフローに従うと、輸入リン鉱石の3.4倍、全持込リン量の半分以上が鉄鋼スラグ、家畜糞、下水汚泥中に移行する。そのため、これらの二次リン資源の再資源化技術の開発は重要である。そこで当研究室では、鶏糞や下水汚泥の炭化物の塩素処理によりリン回収を阻害する鉄を分離し、次いで、元々存在する炭素による還元反応でリンのみを選択的に回収する非常にシンプルな再資源化プロセスを開発した。本技術は炭素添加した製鋼スラグ、HAP・MAP、下水汚泥焼却灰などにも適用できるため、我が国のリン資源対応力強化に繋がると期待できる。

  • 1粒子解析技術に基づいたセンサー

    エクソソームのスペクトル計測によるがんの識別方法

    ・長さが5 μm以下の微粒子(例えばエクソソームなど)の1粒子解析方法、または、微粒子を利用したセンサーのためのスペクトルデータの生産方法を提供する
    ・微粒子を高感度にスペクトル計測できる基板および計測装置を提供する

    • 【計測基板】

    • 【がんの識別】

    研究の内容

    本研究では、長さが5μm以下の生体微粒子などの測定が可能となる特徴を持ち、エクソソームの他、微粒子状の小さな細菌やウイルスなどが測定対象となります。また微粒子を利用したセンサーのためのスペクトルデータの生産方法を提供することが可能となります。
    例えばエクソソームを測定することで、がんの検出や識別などに活用することが期待されます。
    エクソソームとは細胞から分泌される体液(尿、唾液、血液など)に存在している微粒子で、近年は疾患のバイオマーカーとして注目されています。エクソソームの特徴として以下の特徴があります。
    ・表面分子組成が親細胞に依存している
    ・正常細胞はがん細胞から出てきたエクソソームを取り込むことでがん化する
    ・表面のタンパク質などの違いで、どこの細胞に入るか(がんの転移先)が決まる

  • 農水産業のDXを支える中心温度測定用食肉模擬装置

    実肉を使用しない食肉中心温度測定用デバイス

    食用動物の食肉を対象に、その中心温度を把握するための温度測定装置を開発した。本装置のプローブ周囲には、魚・牛・豚・鶏等の食用動物の食肉を模擬した比熱及び形状を有する材料を配置しており、実際の食肉に近い中心温度変化をリアルタイムで取得できる。

    • 図1 開発中の中心温度測定用食肉模擬装置の構成図

    • 図2 開発中の中心温度測定用食肉模擬装置と鮮度評価システムの関係

    研究の内容

    一般的に食肉の貯蔵温度管理は、食材が貯蔵されている貯蔵庫内の温度を計測し、温度管理を行っている。しかし、食肉を高鮮度状態に保つためには、その中心温度を計測し温度管理をすることが重要であるが、現状のサーモグラフィーカメラや温度センサーでは、その表面温度しか測定ができない。
    そこで、当研究室では、食用動物の食肉を模擬した比熱及び形状を有するプローブを作製することにより、食肉の中心温度変化を模擬できる装置を開発した。これにより、食肉を傷つけることなく、測定したい食肉の中心温度を取得することが可能となり、その温度変化を基に、理想的な温度管理が可能となる。また、食用動物の鮮度と食べ頃の可視化装置『MIRASAL(見らさる)』と本模擬装置を連携することで、実際の食肉を使用することなく、鮮度評価を行うことが可能となる。