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1. 貧困をなくそう
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2. 飢餓をゼロに
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3. すべての人に健康と福祉を
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4. 質の高い教育をみんなに
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5. ジェンダー平等を実現しよう
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6. 安全な水とトイレを世界中に
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7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
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8. 働きがいも経済成長も
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9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
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10. 人や国の不平等をなくそう
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11. 住み続けられるまちづくりを
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12. つくる責任、つかう責任
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13. 気候変動に具体的な対策を
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14. 海の豊かさを守ろう
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15. 陸の豊かさも守ろう
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16. 平和と公正をすべての人に
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17. パートナーシップで目標を達成しよう
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう:113件
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任、つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
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含フッ素芳香族カルボン酸類の合成
二酸化炭素から電気を用いて有用カルボン酸を作る
有機電解法により、数個のフッ素原子を有する容易に入手可能な芳香族化合物と二酸化炭素から、新規含フッ素ビルディングブロックとして有望な種々の含フッ素芳香族カルボン酸を位置選択的に収率よく合成することに成功した。
研究の内容
有機化合物へのフッ素原子の導入は医農薬や機能性材料等の分野において非常に重要である。含フッ素有機化合物の合成法として、含フッ素ビルディングブロックを用いる方法があるが、ビルディングブロックとして用いることが可能な含フッ素有機化合物はまだまだ高価でかつ限られており、その開発研究のニーズは高い。今回本研究では、容易に入手可能な含フッ素芳香族化合物と二酸化炭素から有機電解法を用いて種々の官能基を有する含フッ素芳香族カルボン酸を収率よく合成することに成功した。今回合成した含フッ素芳香族カルボン酸類には従来法では合成が困難な新規化合物も種々含まれており、有望な新規含フッ素ビルディングブロックとして医農薬や高機能性物質合成に利用されることが期待できる。
仙北 久典 准教授 Hisanori Senboku博士(工学) -
ナノフィブリル化バクテリアセルロースの大量生産
バクテリアを用いることにより低分子バイオマスから
ボトムアップでナノフィブリル化セルロースを生産する我々は、新奇なセルロース合成酢酸菌を取得し、糖蜜を原料としたナノフィブリル化バクテリアセルロース(NFBC: Fibnano®)の大量生産に成功しました。NFBCは流動性、混和性、成型性に優れており、幅広い分野での利用が可能です。
研究の内容
バクテリアによって合成されるセルロースはバクテリアセルロース(BC)と呼ばれており、高い保水性、高強度、生分解性、生体適合性などのユニークな性質を有しています。また近年、ナノサイズのセルロース素材(ナノフィブリル化セルロース(NFC))が注目を浴びています。一般に、NFCはパルプを原料として、物理的・化学的処理によってトップダウン的に調製され、得られたNFCは水中に高分散しています。対照的に、セルロース合成菌の培養条件を最適化することにより、低分子バイオマスからボトムアップ的にナノフィブリル化BC(NFBC: Fibnano®)を調製することが可能です。我々は、道内企業との共同研究により、砂糖製造時の副生成物である糖蜜を原料としたNFBC(Fibnano®)の大量生産に成功しました。
田島 健次 准教授 Kenji Tajima博士(工学) -
超撥水・超撥油アルミニウム
ウェットプロセスによる簡便な防汚表面の作製
アルミニウム板やメッシュを化学エッチング/陽極酸化することによりマイクロ/ナノ階層ポーラス構造を構築し,さらにフルオロアルキル単分子膜で表面をコーティングすることにより,油を始めとするほぼあらゆる液体に対して濡れない表面を得ることに成功した
研究の内容
水や油に濡れない超撥水・超撥油表面は,防汚性,セルフクリーニング性を示す表面として期待されている。本研究は,実用金属材料であるアルミニウムに対して,簡便なウェットプロセスの組み合わせにより,水のみならずオクタンなどの表面張力が20 mN m-1と低い液体をもはじく超撥油表面を実現した。アルミニウム箔への適用も可能であり,様々な場所に防汚表面として利用することもできる。
さらに,アルミニウムメッシュを用いてその濡れ性を制御することで,油と水を分離するフィルターとしても利用可能である。幅崎 浩樹 教授 Hiroki Habazaki理学博士 -
太陽光をレーザー光へ変換する新しい結晶材料
高効率太陽光励起レーザーの実現を目指した
新規Cr,Nd共ドープ結晶開発したCr,Nd:CaYAlO4結晶は、可視域で幅広い吸収帯域を示すとともに、大きい吸収断面積を有する。クロムにより吸収されたエネルギーはネオジムに移動することから、太陽光エネルギーを高効率でレーザー光に変換できるものと期待される。
研究の内容
クロム(Cr)とネオジム(Nd)を添加したCaYAlO4単結晶を、浮遊帯溶融法と呼ばれる手法を用いて作製した。作製条件を適切に制御することにより、良質な赤色透明の結晶が得られた(図1)。この結晶は、紫外領域から可視領域にわたる非常に幅広い吸収域をもち、太陽光のエネルギーが最大となる波長でも十分な吸収を示す(図2)。また、従来材料であるCr、Nd:YAGと比較すると70倍以上の大きい値を示すことが明らかとなった。このような特性は既存の材料にはない、今回開発した結晶に特有のものである。さらに、クロムの吸収帯での励起によりネオジムが発光することが、その蛍光特性から実証された(図3)ことから、太陽光エネルギーを高効率でレーザー光に変換できるものと期待される。
樋口 幹雄 特任准教授 Mikio Higuchi博士(工学) -
顕微インデンテーション
微少領域の硬さ/変形の「見える」化
押し込み硬さ試験中の圧痕形状変化および周辺の表面変化を「その場(In-situ)」観察できます。動画撮影による高い時間分解能の情報と硬さ試験を組み合わせた高度データの“ハイスループット”収集によって、材料開発や事故原因解明に貢献できます。
研究の内容
硬さ試験は局所的な負荷によって生じた変形から物質・材料の強度を明らかにする手法であり、高い簡便性・再現性から広く用いられています。この手法の簡便性を生かしつつ高度な応力応答情報の取得を目指して、硬さ試験のIn-situ試験化(顕微インデンテーション)を行いました。
押し込み試験中に透明圧子を通して圧痕内部並びに周辺の試料表面を観察するには光学的条件の最適化が必要ですが、透明圧子の屈折率に近い屈折率を有する液体を圧子周辺に導入することで広範囲の表面観察を可能としました。三浦 誠司 教授 Seiji Miura博士(工学) -
環状ポリエチレングリコールを用いたナノ粒子安定化
高分子の「かたち」に依存した新奇安定化法
本研究は環状ポリエチレングリコールを用いた金属ナノ粒子の新奇分散安定化手法の開発です。これまでに当研究グループは、環状高分子から成る分子集合体が優れた安定性を有することを見出しました。この現象を応用してナノ粒子の高分散安定化を行うものです。
研究の内容
現在、多数のナノ粒子系医薬品の研究が行われていますが、ドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアも含めそれらの多くは、生体適合性を有するポリエチレングリコール(PEG)で表面を覆われたナノ粒子になります。これに関して、私たちは環状PEGで修飾した金ナノ粒子(AuNPs)が高塩濃度に対して高い分散安定性を示すことを見出しました。すなわち、分子量4000の環状PEGで修飾されたAuNPは、生理条件よりも高濃度である180 mMのNaCl溶液で1週間以上分散安定性を保持したのに対し、同分子量の直鎖状PEGを用いた場合、僅か45 mMのNaClで3時間内に凝集・沈殿しました。この環状PEGを用いた新奇手法は、造影剤や磁性ナノ粒子を含む種々のナノ粒子系医薬品に応用可能です。
山本 拓矢 准教授 Takuya YamamotoPh.D. -
センサレスで実装可能な非線形補償器
PID制御系に容易に追加可能な非線形補償器
現在、産業界ではPID制御が主力の制御手法として用いられていますが、PID制御則には摩擦や重力項といった非線形項の影響により制御精度が劣化するという問題があります。我々は、PID制御器に対し容易に追加できる非線形補償器を提案しています。
研究の内容
ディジタル加速度制御(DAC)はモデル化困難な非線形項やモデリング誤差が存在する系に対してロバストな制御則です。DACは非常に効果的な制御器ですが、加速度目標値に対して制御を行うため単体では位置制御ができません。そこで、一般的なPID制御系と組み合わせたPID-DAC併合制御系によりロバストな位置・加速度制御が実現できます。さらにPID制御器などに「センサレス」で「容易」に追加することができる新しい非線形補償器として、制御対象の加速度目標値を0とした「PID-DA0制御系」、加加速度目標値を0とした「PID-DJ0制御系」という2つの制御器を提案しています。双方とも既存のPID制御器に簡単に追加でき、さらには追加のセンサも必要ないことからセンサレスでシステムの性能を向上できるという大きなメリットを持ちます。
江丸 貴紀 准教授 Takanori Emaru博士(工学) -
非接触レーザー加振システムによる振動計測技術
高周波振動計測/高感度異常検知技術の開発
高出力パルスレーザーの照射により構造表面で生じるレーザーアブレーションを利用し、理想的なインパルス加振入力を作用させる技術を開発した。本技術により、今まで不可能であった非接触かつ高周波数帯域まで高精度な振動測定を可能にした。
研究の内容
図1にレーザーによる加振力の生成原理を示す。レーザーによる加振力は、レーザーアブレーションによって引き起こされる。本技術を応用した例として、膜構造の真空環境振動計測システムを図2に示すが、本システムはYAGパルスレーザー、誘多膜ミラー、集光レンズ、膜構造、LDVおよび真空チャンバから成る。膜構造が固定されているのは真空チャンバの内部であり、大気環境から真空環境まで真空チャンバ内の空気圧を調整しながら実験を行うことができる。計測された膜の周波数応答を図3に示す。真空度を上げることにより、膜の共振周波数が高くなり、同時に共振の応答レベルも向上していることがわかる。このように、膜表面の空気による質量効果および減衰効果の影響を抽出することができ、宇宙環境を想定した真空チャンバ内での実験における本技術の有効性を検証した。
梶原 逸朗 教授 Itsuro Kajiwara博士(工学) -
中性子とX線を複合利用した超階層構造イメージング
量子ビームを複合利用し、幅広いスケールに渡って不可知情報を非破壊的に可視化するイメージング
パルス中性子透過分光イメージングは、他の顕微法では視えない情報を非破壊に可視化できる手法として注目を受けています。X線のような他の量子ビームと複合解析すれば画像だけではわからない情報も可視化することが可能になります。
研究の内容
小型加速器を利用する実験施設として半世紀近い歴史がある北大施設は、先導的な施設として世界的に注目されています。北大では主にパルス中性子ビームを作っており、それで得られる透過スペクトルから、結晶構造やミクロ組織、内部応力、温度等の情報を、試料全体にわたる分布として2次元の実像上にマッピングすることが可能です。一方、X線CTでは物体内部の3次元構造を測定できるので、両者の結果を複合的に解析し、相乗的に物体内部情報を理解する研究を行っています。図は中性子とX線による相乗イメージングとして、単独では得られない元素情報をX線CTによる内部構造にマッピングしたイメージを示しています。X線CTではAl円筒中のワイヤの存在がわかりますが、中性子の情報を加えるとそれぞれが異なる素材とわかります。
加美山 隆 教授 Takashi Kamiyama博士(工学) -
鉄より丈夫なゲル
柔靱な複合材料
ガラス繊維と自己修復ゲルを複合化することによって、カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)よりも丈夫なゲルを実現した。ゲルを母材とするため、曲げに対してはゴムのようにしなやかであるが、引裂きに対してはCFRPよりも靱性が高く、壊れにくい。
研究の内容
我々が開発したガラス繊維複合ゲルは割れない、引裂けない、ちぎれにくいといった性質を示す。一般に、複合材料と言えばCFRPやガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などが広く用いられている。これらの繊維強化プラスチック同様、繊維強化ゲルは繊維の特性により、引張に対しては硬く・強い性質を示す、一方で曲げに対してはゲルの特性を生かして柔らかく・しなやかにふるまう。また、母材に用いる自己修復性ポリアンフォライト(PA)ゲルは、変形に対して大きくエネルギーを散逸する機能を有しているため、単体でも丈夫である。さらにゲルが柔軟であるため、繊維と複合することによって、局部的な歪を繊維を介して遠くの母材まで伝えることができるため、結果として材料全体で大きくエネルギーを散逸する。つまり、著しく丈夫である。
黒川 孝幸 教授 Takayuki Kurokawa博士(理学) -
超音波と微細気泡を用いた液体微粒化技術
液体微粒化量のアクティブ制御を目指して
超音波を液体中から液面に向かい照射することで、液面で液体の微粒化が起こります。近年、この現象に液面近傍に存在する微細気泡が関係していることが明らかとなってきました。我々は超音波による液体微粒化量を制御することを目指しています。
研究の内容
超音波を液体中から液面に向かい照射することで、液体の微粒化が起こります。微粒化された液体は、直径が数マイクロメートル程度の小さな液滴となります。この液体微粒化技術は、省エネルギーで均一な微細液滴を生成することができ,現在も私たちの身の回りで広く利用されています。液体微粒化のメカニズムは未だ完全には解明されていませんが,我々のこれまでの研究から、液面近傍に存在する微細気泡(マイクロバブル)が微粒化を促進することが明らかとなってきました。本研究では液体中の微細気泡数に注目し、超音波による液体微粒化量を制御することを目指しています。気泡数を適切に調節することで、これまで超音波で微細化することができなかった液体の微粒化や、液体微粒化量のさらなる促進を目指しています。
小林 一道 准教授 Kazumichi Kobayashi博士(工学) -
半導体精密加工技術
電気化学反応を利用した
低損傷かつ制御性のよい半導体エッチング技術電気化学反応を利用した半導体エッチング技術により、従来法と比べて加工ダメージの抑制と深さ方向に対する精密な加工制御を達成した。AlGaN/GaNへテロ構造トランジスタのゲートリセス加工へ適用し、トランジスタのノーマリーオフ化を実現した。
研究の内容
半導体表面のエッチング加工は、トランジスタなど半導体素子の作製に欠かせない工程の1つです。本研究室では、半導体表面の電気化学的酸化・溶解反応を利用し、従来のドライエッチング法と比べて、深さ制御およびダメージ抑制の両面において優れたエッチング手法を開発しました。パワートランジスタ材料として有望視されているAlGaN/GaNヘテロ構造に適用した結果、電気化学条件の最適化により、所望の加工深さでエッチングが自己停止することを明らかにしました。これにより、先行技術で必須となるエッチングストップ層が不要で、より簡便な方法でトランジスタのしきい値を精密に制御することが可能となりました。また、本手法によるエッチング表面は、ドライエッチング表面と比べて加工損傷が少なく、トランジスタの性能向上に有望な手法として期待されます。
佐藤 威友 准教授 Taketomo Sato博士(工学) -
非破壊CT-XRD連成法の開発とその応用
セメント硬化体微細組織の可視化
コンクリート内部の微細組織に対して、数ミクロンの精度でその幾何学的空間情報を取得できるCT法、および関心領域の水和物や変質を調べる回折法を連成させる新しい測定手法「非破壊CT-XRD連成法」を開発して、革新的セメント系硬化体材料を開発する。
研究の内容
コンクリートは、セメントと水との水和反応によって岩(骨材)を結合することで、構造用硬化体になります。一方、構造材料としての宿命である荷重や気象/環境作用によって、ひび割れが発生、進展したり、強酸作用、大気や海水、地下水などの浸食や物質侵入に伴う化学反応で劣化することがあります。社会インフラを長期間安定して利用するために、「虫の目」でコンクリート内部組織を観察して、そこで生じる異変を見つけることが大切です。
先駆的「非破壊CT-XRD連成法」は、放射光が提供する高輝度な白色X線を試料に照射して、選択的に25keVの透過単色X線から3次元構造体を可視化します。また、複数のスリット操作から特定の関心領域のエネルギー分散型X線回折を実行して、ポルトランダイトやカルサイトなどの水和物やその変質、骨材鉱物を特定します。杉山 隆文 教授 Takafumi SugiyamaPh.D. -
燃焼反応流体シミュレーションの新たな展開
詳細反応機構の適用を可能にする高効率解析手法の提案
数百化学種、数千化学反応オーダーから成る炭化水素系燃料のような大規模詳細反応機構を効率的に熱流体シミュレーションに組込む数値解析技術を提案しています。
研究の内容
これまでの熱流体(CFD)解析における化学反応現象は、計算負荷や解析技術の欠如から、数個の化学種や反応式から成る総括反応モデルや無限に速い反応を仮定することにより、簡素にモデル化されてきました。一方で、化学反応と流体現象の相互作用が重要となる場合、例えば、自動車エンジンにおける着火タイミングをはじめとした非定常現象予測や超希薄燃焼など極限的な条件では、簡素モデルの適用は困難となります。我々の研究グループでは、CFD解析における詳細反応機構適用の問題点を解決してきました。提案手法は、化学反応方程式の計算時間を大幅に短縮可能な時間積分法(ERENA)と類似化学種をまとめる化学種バンドル法から構成されます。条件に依りますが、従来から使用されてきた手法に対して、精度を維持しつつ、2桁から3桁の高速化を可能にしています。
寺島 洋史 准教授 Hiroshi Terashima博士(工学) -
先端複合材料の最適設計
自由繊維形状による新機能複合材料
先端複合材料(炭素繊維強化複合材)は広く構造材料として使用され始めているが、その異方性を効率的に利用できているとは言えない。当研究室では複合材の繊維配向(直線状・曲線状)を最適に設計する手法の開発を行っている。
研究の内容
比強度・比剛性の高さから構造材料として広く利用されている先端複合材料(炭素繊維複合材料、CFRP)は、その繊維配向技術の発展により繊維を直線状のみではなく、曲線状に配置することが可能となっている。直線状の繊維と比較して設計の自由度は大きく向上するため、部品形状や使用目的に特化したCFRP部材の作製が可能である。当研究室では刺繍機の技術を援用したファイバー縫付機(図1)を用いて曲線状繊維を有する複合材供試体を作製し、その力学特性評価を実施するとともに、独自の繊維形状最適化手法を開発している。例えば図2は複数の円孔を持つ翼モデルの孔周りのひずみ集中を軽減することを目的とした最適繊維形状であり、ひずみ分布は図3のようになる。これは直線繊維よりもひずみ集中を軽減できていることがわかっている。
本田 真也 准教授 Shinya Honda博士(工学) -
水蒸気・水混合噴霧による超低環境負荷洗浄法
『水蒸気+水』の物理作用を利用した、
薬液を使用しない超精密安心洗浄法水と水蒸気を混合しノズルから高速噴霧する全く新しい水蒸気・水混相噴霧を用いた革新的洗浄法を開発しました。薬品を使用しない超低環境負荷であることに最大の特徴があり,半導体製造プロセス等の超精密洗浄で所定の性能を発揮することを確認しました。
研究の内容
私達は、これまでの研究成果により、凝縮性気体中を液滴が固体表面に衝突する場合には、空気の場合とは異なり、「飛沫(スプラッシュ)が抑制され薄い液膜(ラメラ)が高速で固体表面を伸展する」現象を発見しており、高速ラメラにより強力な流体せん断力が発生すると考え「水蒸気と水の混合噴流を用いた低環境負荷洗浄」が可能であると考えました。
これまでの研究成果により、水と水蒸気だけを用いる事により、半導体、LED、 太陽電池などの製造プロセスで要求される超精密洗浄に対する所定の洗浄性能を、本洗浄法は発揮することを確認しました。また、本洗浄法は水と水蒸気のみを用いるために、人体に有害となる洗剤等の化学薬品を全く用いないため、人体および環境にとって安全である超低環境負荷特性を有しています。渡部 正夫 教授 Masao WatanabePhD -
GISと地理空間情報の活用法開発
高度情報化社会に向けての人文地理学的アプローチ
GIS(地理情報システム)とは、地理空間情報(位置情報付きのデータ)を分析・検索・表示するためのシステムです。本研究室では、地域計画や防災計画の支援などを目的として、地理空間情報に関するGISの分析方法や可視化方法の開発を行っています。
研究の内容
本研究室ではGISを用いて、地理院地図や国土数値情報など国が整備している地理空間情報の他に、自治体などが整備しているオープンデータや、GPSで取得した移動履歴などのビッグデータの活用について研究を進めています。例えば、この成果は「積雪寒冷地の津波避難に関する計画策定支援」などで活かされています。積雪寒冷地の冬季環境(路面凍結、雪による道路幅減少など)は、臨海地域における津波避難を著しく困難にしています。本研究室は、この状況における避難困難地域の画定、避難困難人口の推定、避難場所の収容能力評価など計画策定に必要な多くの情報を生成し、その技術や成果を公表しています。この様に、地理学的な視点をもって社会的有用性の高い情報を容易で迅速に創造する技術を開発し、高度情報化社会の基盤形成に資する研究を続けています。
橋本 雄一 教授 Yuichi Hashimoto博士(理学) -
コミュニティ型ワークスペースにおける協同と価値創出
コワーキングの展開過程
近年、組織や地域社会において、職種や所属等が必ずしも同一でない個人が交流し状況に応じて協同する働き方、およびその際に共有する仕事場が注目を集めています。本研究は、このような場における協同と価値創出の過程を明らかにしようとしています。
研究の内容
本研究の目的は、コミュニティ型ワークスペースにおける協同とそれにもとづく価値創出の過程を解明することです。コミュニティ型ワークスペースとは、「個人がコミュニケーションを通じて他者と情報や知恵を共有し、状況に応じて協同しながら価値を創出していくための開放的なワークスペース」を意味します。このような場の代表例として「コワーキングスペース(coworking space)」が挙げられ、近年、欧米をはじめ世界中で浸透しつつあります。背景には、組織や地域社会で依然として支配的な「閉鎖的な場における画一性の高いメンバー間の交流・協同」を問い直し、個の自律と連帯の両立を図る動きがあります。本研究により、未だほとんど明らかにされていない当該ワークスペースの設計や運営、組織的・社会的活用に資する知見の提示を期待できます。
宇田 忠司 准教授 Tadashi Uda博士(経営学)大学院経済学研究院 現代経済経営部門 経営分析分野 -
高効率半導体太陽電池
導波路と結合した、フォトン-とフォトキャリアが直交するマルチストライプ半導体よりなる新型太陽電池
光吸収とフォトキャリア収集の最適化を同時実現し、複数半導体ストライプにより全太陽スペクトルに亘って光電変換することで、温度上昇・素子劣化が抑制され、拡散光に強い高効率集光型太陽光発電システムをリディレクション光導波路との結合により実現する。
研究の内容
従来型太陽電池では、フォトキャリアの移動方向と光の進行方向が平行の為、キャリア収集と吸収光子数はトレードオフの関係にある。本研究では、キャリア移動方向と光進行方向の直交性により、光吸収最適化とキャリア収集効率最適化を両立できる。太陽光を順次高エネルギー成分から低エネルギー成分へとスペクトル全体に亘って光電変換するので、熱としての散逸を最小限に留め、高効率を得うる。光波進行方向変換膜付き導波路タイプの集光系により、拡散光に強い太陽光発電システムを実現できる。高エネルギーフォトンを、中間ギャップ、ナローギャップ半導体へ進入させないことでボンドの変性を未然に防ぎ、素子の長寿命化が期待できる。曇天時にも強く、熱力学的限界に迫る高変換効率と高信頼性をもつ、3拍子揃った究極の集光型太陽電池システムを実現できる。
石橋 晃 教授 Akira Ishibashi理学博士 -
Gd₂Si₂O₇系高性能シンチレータの開発とその応用
放射線検出器用大発光量シンチレータの開発
シンチレータは放射線により発光する物質で医療診断装置、石油探査などで使用されます。Gd2Si2O7 (GPS)シンチレータは、高発光量、高エネルギー分解能、非潮解性等の優れた特長をもち、単結晶とセラミクスプレート・粉体が作れます。
研究の内容
Gd2Si2O7:Ce(GPS)単結晶シンチレータは、NaI:Tlの1.4倍程度の大発光量、高エネルギー分解能、非潮解性、自己放射能無しといった優れた特長を持ち、250℃以上の高温環境でも使用可能な事から、石油探査の大深度化への貢献が期待されます。(株)オキサイドへの技術移転が完了し、SPECT等に応用していただける状態になりました。また5cm角GPS焼結体プレートの安定製造技術を確立しました。位置検出型光電子増倍管組み合わせることにより、福島第一原子力発電所事故で放出されたα線を放出する核燃料物質を高感度で検出可能になりました。試作装置では従来装置では考えられなかった核燃料起因α線放出核種:自然放射能(ラドン子孫核種) = 1: 200の環境下で核燃料起因α線放出核種の検出に成功しました。
金子 純一 准教授 産学・地域協働推進機構副機構長 Junichi H. Kaneko博士(工学)・経営管理修士(専門職)