北海道大学 研究シーズ集

English
Life Sciences

ペプチド・糖ペプチド環化技術

比能 洋 教授 次世代物質生命科学研究センター 副センター長 Hiroshi Hinou
博士(工学)

水素結合制御によりペプチド環化効率を飛躍的に向上

溶媒の水素結合ネットワーク形成に着目した反応系を活用することによりペプチド環化反応の効率化と難溶性ペプチドの溶解度向上を高次元で両立することに成功した。創薬や分子ツール設計に応用可能である。

研究の内容

創薬等の生理活性化合物探索やライフサイエンスにおける分子ツール設計ににおいて環状ペプチドは、その配座安定性や配向性、対称性の制御などが容易であるため、理想的な基本分子となりうる。しかし、ペプチド環化は希薄条件や複雑な保護基戦略などを要していた。本研究では水素結合制御型溶媒システムと無塩基縮合剤システムを組み合わせることにより、難溶性のペプチド等でも高濃度条件下で効率的に環化できることを見出した。特殊な保護基戦略を必要としないことから応用範囲が広く、これまで様々な生理活性ペプチドや糖ペプチドの効率的環化に成功している。本技術を活用することにより、環状ペプチドの設計自由度と量産が容易となり、創薬やライフサイエンス用ツール開発が加速されることが期待される。

  • 環状糖ペプチドの合成例、C2対称型に糖鎖を配向制御した(左)
    D-アミノ酸導入等により配座の自由度が制御可能である(右)

社会実装への可能性

  • ・医薬・農薬
  • ・バイオプローブ開発
  • ・有機材料開発
  • ・ナノマシン開発

産業界や自治体等へのアピールポイント

ペプチドの環化に伴う配座安定化は標的作用の最大化と副作用や代謝速度の抑制が可能となります。また、対称性、配向性、配座の安定度などを調節可能であるため、自由度の高いナノマシン設計も可能となります。創薬、バイオツール、ナノマシンなど、分子設計と化合物入手の間の壁を低くすることができます。

研究キーワード

2018/4/3公開