インタビュー
Nanotechnology / Materials
プラズモンを用いた最先端ナノ光リソグラフィー
上野 貢生
教授
Kosei Ueno
博士(理学)
シングルナノメートルの加工分解能を有する
光リソグラフィー技術
プラズモン共鳴による光電場の局在を用いれば、微小な領域に光電場を自在に局在化できます。本技術では、プラズモンの高次の共鳴モードの散乱光を利用して数nmの分解能の光リソグラフィー技術を発明しました。
研究の内容
従来の光リソグラフィーの分解能は波長で決まりますが、本技術はフォトマスクの金属ナノ構造の加工分解能によって決定されます。フォマスクである金属ナノ構造に赤外光を照射することによりシングルナノメートルの分解能でパターンを転写できる技術です。本技術の特徴として、赤外光を照射するだけでマスクパターンの形状をそのまま転写可能であること、近接場光ではなく伝播光を使用しているため高アスペクト比の加工が期待されること、そしてライン&スペースだけではなく、三角形、ナノギャップ、チェインなどあらゆる形状のパターンの作製が可能であることなどが挙げられます。比較的大面積にナノパターンの転写が必要なフォトニック結晶、プラズモン太陽電池、光学素子表面のモスアイ構造形成技術などへも応用が期待されます。
社会実装への可能性
- ・レーザーナノ加工
- ・光記録・読み出し
- ・高分解能光学顕微鏡技術
- ・フォトニック結晶・プラズモン太陽電池
- ・モスアイ構造形成技術
- ・10 nm-nodeリソグラフィー技術
産業界や自治体等へのアピールポイント
ガラスや半導体基板上に形成したフォトマスクを近接させて、レーザー光を照射するだけで、合目的のナノパターンを転写することが可能で、レジストだけでなく、ポリマーやガラスなどへの転写もでき、幅広い応用が期待されます。マスクは何回でも使用でき、システムも簡便であることから産業応用が期待されます。
関連情報
本研究に関連する知的財産
PCT/JP2011/001192 「フォトレジストパターンの作製方法」(日本:特許第5652887号 米国:特許第8,895,235号 蘭:特許第2544218号)
特許第4887502号 「金属構造体およびその製造方法」
2018/4/3公開