北海道大学 研究シーズ集

Life Sciences

非翻訳領域配列の導入によるタンパク質翻訳効率改変

安田 元昭 准教授 Motoaki Yasuda
歯学博士

ウイルスを模倣することによって、組み換えタンパク質の
発現効率を3ケタ増減させる

細胞1個当たりのタンパク質発現効率を現在の100倍に上げることにより、CHO細胞などを用いた組み換えタンパク質作製効率飛躍的に上昇させ、遺伝子工学技術にパラダイムシフトをもたらすことを目的としています。

研究の内容

ヒトアデノウイルスは古くから遺伝子導入に利用され、安全性が確認されたウイルスベクター系の代表例ですが、野生型アデノウイルスは感染時に宿主のタンパク質発現をシャットダウンし、自己の後期タンパク質を優先的かつ爆発的に発現するというすぐれた性質についてはあまり注目を集めていません。しかし、アデノウイルス自体には病原性があり組み換えタンパク質精製系にウイルス粒子を使用するのは安全性の面で大きな問題が残ります。そこで、ウイルス遺伝子中のリーダー配列を最適化し組み換えタンパク質の上流に非翻訳領域配列として組み込むことにより、ウイルスの翻訳系を模倣して、既存の発現ベクターからの翻訳効率を100倍以上にすることを目指しています。逆に終止コドン下流非翻訳領域を改変し発現量を数十分の一にすることも可能です。

社会実装への可能性

  • ・大腸菌や昆虫細胞では発現が困難な組み換えタンパク質の大量発現
  • ・組み換えタンパク質発現量の適正化により、安定かつ高率なiPS細胞樹立
  • ・mRNA注入実験への応用(mRNAの非翻訳領域に特異的配列を導入)

産業界や自治体等へのアピールポイント

プロモーターの改良ではなく、転写されたmRNAの非翻訳領域に特異的な配列を導入することによりタンパク質の発現効率を三桁上げる(あるいは下げる)ことを目的としている点が本研究の独創的な点です。細胞内発現に強弱をつけることによりこれまで樹立効率が低かった哺乳動物の組み換え細胞も容易に作成することも可能となります。

2018/4/3公開