技術紹介
えんじにあRing No.412[平成29年10月号]植物⇔工学
インタビュー
いいね!Hokudai クローズアップ
我々は、新奇なセルロース合成酢酸菌を取得し、糖蜜を原料としたナノフィブリル化バクテリアセルロース(NFBC: Fibnano®)の大量生産に成功しました。NFBCは流動性、混和性、成型性に優れており、幅広い分野での利用が可能です。
バクテリアによって合成されるセルロースはバクテリアセルロース(BC)と呼ばれており、高い保水性、高強度、生分解性、生体適合性などのユニークな性質を有しています。また近年、ナノサイズのセルロース素材(ナノフィブリル化セルロース(NFC))が注目を浴びています。一般に、NFCはパルプを原料として、物理的・化学的処理によってトップダウン的に調製され、得られたNFCは水中に高分散しています。対照的に、セルロース合成菌の培養条件を最適化することにより、低分子バイオマスからボトムアップ的にナノフィブリル化BC(NFBC: Fibnano®)を調製することが可能です。我々は、道内企業との共同研究により、砂糖製造時の副生成物である糖蜜を原料としたNFBC(Fibnano®)の大量生産に成功しました。
NFBC(Fibnano®)はボトムアップ的に生産されるために均一性が高く、流動性、混和性、成型性に優れていることから幅広い分野での利用が可能です。最近、メタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、THF、DMFなどの極性有機溶媒に分散可能な両親媒性NFBCの開発に成功しました。