技術紹介
Energy
核融合炉・高エネルギー炉用構造材料の開発
橋本 直幸
教授
Naoyuki Hashimoto
博士(工学)
高熱伝導性を有する鉄系複合材料
鉄系構造材料中に高熱伝導性物質を適切に配置し、構造材料全体の熱伝導性を飛躍的に向上させる。エネルギー生産の高効率化及び放射性廃棄物の低減が見込まれ、これまで解がなかった核融合炉・高エネルギー炉ダイバータ用鉄系構造材料の開発に目途がつく。
研究の内容
核融合実証炉(DEMO炉)稼働中のプラズマに直面する熱交換機器の開発を念頭に、実際に使用が見込まれる鉄系材料の低熱伝導性に焦点を当て、成功の鍵を握ると考えられる熱伝導性の大幅な改善を目的とする。DEMO炉用ダイバータの冷却管付近で生ずる500℃の温度勾配はこれまでの工学機器において未経験の巨大熱負荷を与えるが、当該機器構造体全体の熱負荷を軽減できれば、これまで解がなかったDEMO炉用構造材料開発の最重要課題をクリアするだけでなく、高熱伝導性を有する鉄鋼複合材料として工学的にも大きな付加価値を持たせることになる。各種鉄系材料(純鉄,低放射化フェライト・マルテンサイト鋼,酸化物分散強化フェライト鋼)に高熱伝導性材料のCuおよびW細線を適切に配置し、ヒートシンクとしての役割をもたせながら構造材料としての強度も担保する
社会実装への可能性
- ・現在、国際熱核融合実験炉の建設、並行して高熱中性子負荷の核融合実証炉の設計が行われている。提案の新規高機能材料が開発され、この実証炉の安定稼働が立証されれば、エネルギー問題は半永久的に解決する。
産業界や自治体等へのアピールポイント
本研究により開発される高熱伝導性を有する鉄鋼複合材料の製造には、粉末冶金、プラズマ焼結、高圧焼結、押し出し成型、熱処理など複雑な工程を経るため、各段階において精密かつ高度な技術が要求される。したがって、これらに精通した技術者の協力および関係機関との共同研究が不可欠である。
関連情報
2018/4/3公開