Life Sciences
免疫細胞へsiRNAを高効率で導入する試薬の開発と
がん免疫療法への応用
中村 孝司
助教
Takashi Nakamura
博士(生命科学)
次世代ドラッグデリバリーシステムの開発
免疫細胞にsiRNAを高効率で導入するための試薬(YSK12-MEND)を開発しました。この試薬を用いてsiRNAを免疫細胞に導入すれば免疫抑制遺伝子の発現を高効率で減らせるため免疫機能を利用したがん免疫療法への応用が期待できます。
研究の内容
マウスやヒトの免疫細胞に、遺伝子発現抑制剤であるsiRNAを高効率で導入(トランスフェクション)できる試薬「YSK12-MEND」を開発しました。独自開発した新規脂質分子を用いることで、マウス樹状細胞へのsiRNA導入効率が市販品(Lipofectamine RNAiMAX)と比較して10倍以上向上しました。人間は元々がん細胞に対抗する免疫機能を持っていますが、がん患者では免疫細胞の機能ががん細胞によって抑制されていることが知られています。YSK12-MENDを用いてsiRNAを導入し、免疫細胞内の免疫抑制遺伝子の発現を高効率で抑えることができれば、人間が自らの免疫機能でがん細胞と戦うための環境を整えることができます。YSK12-MENDはその切り札の一つとして期待されます。
社会実装への可能性
- ・免疫増強剤
- ・樹状細胞ワクチン
- ・免疫細胞の機能解析ツール
産業界や自治体等へのアピールポイント
YSK12-MENDを用いたsiRNAによる抑制性因子のノックダウン戦略が樹状細胞ワクチンを開発していく上で有用であるかを共同研究等の形で共に検証したい。また免疫細胞の機能解析のためのsiRNA導入試薬としての可能性も検討していきたい。
本研究に関連する知的財産
PCT/JP2015/064196 「siRNA細胞内送達のための脂質膜構造体」(日本:特許6570188号 米国:15/311644 欧州:15796352.1)
2018/4/3公開
◎ 本研究に関連するライセンス可能な知財情報
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siRNA細胞内送達のための脂質膜構造体特願 2016-521092