北海道大学 研究シーズ集

Information and Communication

バイオメディカル光イメージングのための数理アルゴリズム開発

藤井 宏之 助教 Hiroyuki Hujii
博士(工学)

生体における光伝搬数理モデルの構築

バイオメディカル光イメージングの発展には、高精度かつ計算効率に優れた光伝播モデルが必要です。本研究では、光伝播を高精度に記述する輻射輸送方程式の高速解法を構築することに成功しました。提案手法による光診断・治療の高度化に取り組んでいます。

研究の内容

本研究では、輻射輸送方程式に基づいたバイオメディカル光イメージングの数理アルゴリズム構築を行っています。従来の数理モデルに基づいたイメージングでは適用できなかった生体組織や生体部位にも適用でき、また画像解像度の優れたイメージング技術を目指しています。これまで、輻射輸送方程式の数値計算負荷は膨大であることから、小さいサイズの生体に適用が制限されていました。本研究では、輻射輸送方程式と光拡散方程式を連結することによって、高精度かつ計算効率に優れた光伝播モデルを開発することに成功しました。開発した光伝播モデルに基づいた光イメージングは、様々な生体組織・部位に適用可能です。現在は、ヒト頸部における甲状腺腫瘍の光診断や、生体組織における光学特性値のin-vivo評価への適用に向けて取り組んでいます。

  • 近赤外光
    近赤外光(700nm-900nmの波長領域の光)は生体深部まで伝播することが可能で、図のように成人男性の手の厚み程度であれば透過することができます。

  • 伝播モデルの構築:輻射輸送方程式の高速解法
    光拡散方程式(DE)が成立しない検出点位置において、輻射輸送方程式(RTE)と本研究提案の連結モデル(Hybrid)による積分光強度Φは良く一致しています。

  • ヒト頸部内における光伝播
    頸部前方(紙面上部)から光を照射した場合における積分光強度分布シミュレーションです。甲状腺の情報を有した光は検出可能であると考えられます。

社会実装への可能性

  • ・甲状腺腫瘍の光診断;従来の手法では判別の難しい種類の腫瘍に対して、光診断が有効であると考えています。
  • ・脳機能イメージング;脳活動のダイナミクスを従来よりも高精度に捉えられると考えています。

産業界や自治体等へのアピールポイント

本研究者たちが提案している、光イメージング技術は、皮膚などの小さい組織から、ヒト頸部などの大きい部位に対しても適用可能であり、有用性は高いと考えています。また、光と熱、音などの融合も期待でき、熱工学、音響工学の研究者、あるいは企業との共同研究も考えております。

関連情報

2018/4/3公開