Life Sciences
腸内環境をパラダイムシフトするαディフェンシン
綾部 時芳
名誉教授
Tokiyoshi Ayabe
医学博士
産学・地域協働推進機構
医食同源の科学的理解から予防医療まで
Paneth細胞が分泌するαディフェンシンは腸内細菌叢を制御し、排除と共生に深く関与する。食品、αディフェンシン、腸内細菌の三者が規定する腸内環境という視点から腸内環境を評価し、パラダイムシフトを興して疾病の機序解明や予防医療開発に繋げる。
研究の内容
単離小腸陰窩や三次元小腸上皮培養系であるエンテロイドを用いて、腸上皮細胞であるPaneth細胞の自然免疫 (αディフェンシン分泌)、腸内細菌との共生、再生・分化など多彩な機能に関わる分子機序を、共焦点レーザー顕微鏡やフローサイトメトリーなどの最先端分析手法を駆使して解明する。腸は生体において様々な臓器間ネットワークを形成しており、Paneth細胞の機能を中心に据えて腸内環境の仕組みを解析することで、腸内環境を制御することを可能とし、様々な疾病の予防策や治療法を創生する。腸からみれば「食」も「医薬」も同じであり、創生した知から産学・地域連携を通じて健康長寿社会の実現に貢献したい。
社会実装への可能性
- ・健康ものさしの創生と社会実装
- ・食品・素材・成分の新規機能性評価
- ・疾病の病因病態解析
- ・予防医療・新規治療法開発
- ・臨床検査・テーラーメイド医療
- ・再生医療
産業界や自治体等へのアピールポイント
腸上皮細胞は、自然免疫はじめ栄養吸収、再生・分化、代謝、内分泌、脳腸相関など多くの重要な機能を果たしている。我々が確立した生体における腸を模した最先端の腸内環境評価系を用いて、機能性食品・素材・成分、医薬品候補や微生物等を評価することによって、腸内環境のパラダイムシフトを興し、科学的理解に基づく医食同源を実現できる。
2018/4/3公開