インタビュー
Information and Communication
高付加価値メディア情報通信技術
青木 直史
助教
Naofumi Aoki
博士(工学)
情報ハイディング技術によるサブチャネルデータ通信
を利用したメディア情報通信技術の高付加価値化
本来は情報セキュリティの手法として利用されることが一般的な情報ハイディング技術を転用することで、標準フォーマットとの互換性を維持しながらも新たな機能をつけ加えることができる高付加価値メディア情報通信技術について研究している。
研究の内容
本研究は、情報ハイディング技術によるサブチャネルデータ通信を利用したメディア情報通信技術の高付加価値化を目指している。
応用例として、本研究は、電話音声のハイファイ化について検討している。従来の電話音声は帯域制限によりこもった品質になっているが、提案法は、あらかじめ送信側で広帯域化のための情報を音声データに埋め込んでおくことで、受信側で電話音声をハイファイ化する手法になっている。
そのほか、本研究は、原本性保証のための情報を画像データに埋め込んでおくことで、改ざんを検出する手法についても検討している。図1~3に、提案法による自動車のナンバープレートの改ざん検出例を示す。提案法は、画像が改ざんされると該当部分があぶり出され、改ざんの有無だけでなく、改ざんされた箇所も検出できる手法になっている。
社会実装への可能性
- ・IP電話やIPテレビなどで原理的に生じる通信エラーにより劣化したメディアデータの修復
- ・帯域制限により劣化したメディアデータのハイファイ化
- ・メディアデータの改ざん検出
産業界や自治体等へのアピールポイント
災害などのトラブルが発生してもロバストに情報をやり取りするには、多くの機器に実装されている標準フォーマットをサポートすることが重要である。新しい機能をつけ加えながらも標準フォーマットは変更せず、従来の機器との互換性の維持を第一義とした本研究のコンセプトは、万一のトラブルを想定した情報通信を考えるうえで重要な視点である。
関連情報
研究キーワード
2018/4/3公開