インタビュー
◇従来の10分の1の電力で動作する次世代スイッチの研究開発 物理限界を突破する画期的な技術を世界に先駆けて実現
情報科学研究科 NET JOURNAL 59
情報科学研究科 NET JOURNAL 59
本研究では、髪の毛の数千分の1の大きさの非常に小さなナノワイヤで形成される、新しい半導体固相界面をスイッチ素子に応用することで、これまでにない低消費電力型FET・トンネルFETを提案・実現しました。
スマートフォンやパソコンの頭脳となるマイクロプロセッサ・半導体集積回路は、基本素子となる電界効果トランジスタ(FET)を小さくし、現在では、およそ20-30億個のFETを敷き詰めることで、高性能化を実現しています。高性能化の一方で、このFETの消費電力の急増が深刻な問題となっています。これは、FETのスイッチング性能(サブスレッショルド係数)に物理的な限界(60 mV/桁)があるためです。今後、抜本的な省エネルギー化を実現するためには、FETの物理限界を突破できる新しいスイッチ素子とその実用化が必要です。本研究では、これまでにない低消費電力型トンネルFETを提案・実現しました。
本研究室では、MOVPE選択成長法による半導体ナノワイヤの集積技術を確立し、広い分野で、新しい素子応用を展開しています。本研究の低電圧トランジスタ応用だけでなく、半導体ナノワイヤの作製技術など、ものづくりの基礎から共同研究を展開することができます。