Manufacturing Technology
食用乾燥コンブのヨウ素低減
関 秀司
特任教授
Hideshi Seki
水産学博士
競争吸着法による乾燥コンブのヨウ素低減技術
単糖とカルシウムを含む抽出溶媒を、乾燥コンブと吸着剤を充填したカラムに循環流通するだけで、コンブのヨウ素を約90%除去できる技術を開発しました。
研究の内容
ヨウ素はヒトの必須元素ですが摂取過剰によっても甲状腺機能に障害をもたらします。厚生労働省が定めたヨウ素の耐容上限量は2.2 mg/日ですが、ヨウ素含有量が高いコンブの場合、わずか1 g(図1)で耐容上限量に達します。海藻からヨウ素を回収する技術は古くからありますが、海藻を食べるためにヨウ素を除去する技術の開発研究は、まったく行われていません。図2は、乾燥コンブ(5 kg)と吸着剤(1.5 kg)を充填したカラムに、単糖とカルシウムを含む抽出溶媒(100 L)を20分間循環流通した後の、コンブのヨウ素除去率(○)と質量損失率(●)です。コスト削減のために抽出溶媒を4回繰り返し使用しましたが、90%以上のヨウ素除去率を維持できました。
社会実装への可能性
- ・他の食用海藻やコンブエキスを添加した食品・サプリメントのヨウ素低減にも応用できると考えています。
産業界や自治体等へのアピールポイント
競争吸着法は、材料と吸着剤を混合撹拌するだけの非常にシンプルな技術で、ヨウ素だけでなく有害金属なども除去することが可能です。温和なpHと温度条件で処理できるので、酸や温度によって変性しやすい生物素材の処理に適しています。
2018/4/3公開