Life Sciences
動物の難治性疾病に対する新規制御法の開発
今内 覚
教授
Satoru Konnai
獣医学博士
家畜・伴侶動物の慢性感染症や腫瘍に対する
抗体医薬・タンパク質製剤による免疫療法の開発
難治性疾病では、生体内で病原体や腫瘍の排除機序が妨げられています。これは種々の免疫抑制因子が、免疫細胞を疲弊化させるためだと考えられています。本研究は免疫回避機構を標的とした製剤を開発し、動物の疾病の新規治療法として応用するものです。
研究の内容
研究目的: PD-1をはじめとする免疫抑制因子を標的とする動物用抗体医薬やタンパク質製剤の作製と治療法への応用。従来技術との比較・優位性:本アプローチは特定の疾病を対象とするものではなく、免疫抑制機序によって抗病原体・抗腫瘍効果が失われている疾患を広く対象とします。リンパ球を標的とした免疫療法ですので多機能的な免疫増強効果が期待されます。研究の独自性:獣医畜産領域において本アプローチに関する論文や臨床応用例の報告は未だありません。特徴:各抗体を樹立し、キメラ抗体として改変することで大量生成を行います。効果:有効なワクチンや治療法がない家畜(ウシ・ブタなど)や伴侶動物(イヌ・ネコなど)の疾病に対する新規治療法の提供を目指します。
社会実装への可能性
- ・動物の免疫学的研究 (各種抗体)
- ・腫瘍マーカーの検出 (PD-L1など)
- ・抗体医薬 (キメラ抗体)
- ・免疫増強剤 (タンパク質製剤)
産業界や自治体等へのアピールポイント
まだ予防法や治療法がない動物の病気は多くあります。それらの制御法の樹立は容易ではありませんが、病気の脅威から守るワクチンや治療薬の開発を目指しています。家畜への応用研究において良い研究成果が得られれば、食資源確保にもつながるはずです。また、近年重要性が高まっている伴侶動物医療の向上にも貢献できると考えております。
本研究に関連する知的財産
PCT/JP2015/065600「ワクモの防除方法及び該方法で利用されるワクモタンパク質」(日本:特許第6765088号 欧州:15800403.6)
2018/4/3公開