インタビュー
Life Sciences
超偏極13C MRI遺伝子変異イメージング
松元 慎吾
准教授
Shingo Matsumoto
薬学博士
代謝MRIにより腫瘍内の遺伝子変異を非侵襲的に可視化
癌治療の成果は、癌細胞の持つ遺伝子変異の種類に大きく左右される。遺伝子変異がもたらす特徴的な代謝変化を指標に、最新の代謝MRIを用いて非侵襲的に変異遺伝子を特定する分子イメージング技術を開発している。
研究の内容
・超偏極13C核磁気共鳴画像(MRI)は13C標識した任意の化合物のMRI信号を一時的に数万倍に増幅することで、その生体内における代謝反応をリアルタイムに可視化するMRIの最先端技術である。PET/CTのような放射線被曝を伴わず、光学イメージングでは困難な体深部からの信号の取得が可能な“夢の分子イメージング技術”として期待されている。
・細胞は遺伝子変異の蓄積により癌化し、変異の種類は癌治療への応答性を大きく左右する。癌化をもたらす遺伝子変異には特徴的な代謝変化を伴うものが多く、︎超偏極13C MRIにより特定の代謝変化を見ることで、非侵襲的に腫瘍内の変異遺伝子を推定することが可能となる。
社会実装への可能性
- ・癌の瞬時診断
- ・腫瘍内の遺伝子変異の特定
- ・薬物動態・代謝の可視化
産業界や自治体等へのアピールポイント
超偏極13C MRIによる代謝イメージングは米国で既に前立腺癌診断の臨床試験が2ヶ所で実施され、その有用性が示されている。現行の動的核偏極法による13C励起装置は非常に高価で採算性が課題となっているが、当研究室ではパラ水素付加反応に基づく全自動13C励起装置により、臨床コストを10分の1に抑制する技術開発も進めている。
関連情報
2018/4/3公開