Nanotechnology / Materials
電気化学応答性有機色素
鈴木 孝紀
教授
Takanori Suzuki
理学博士
エレクトロクロミズムから多重応答へ(蛍光、旋光性)
色調の制御が容易なカチオン性有機色素を基本として、蛍光、旋光性(円二色性)などの多重応答が可能な物質群を提供します。本技術では還元種の分解過程が抑制される工夫が施され、また酸化種と還元種を混合しても交換が起こらないという双安定性を持ちます。
研究の内容
エレクトロクロミズム系は、外部からの電位の変化に対応して色調が変化する化合物の総称です。発色・消色の可逆的な表示が可能な材料として、スマートウインドウなどの調光材料や電子ペーパーなどでの表示機能という観点からも注目されています。色調以外に、蛍光、旋光性(円二色性)なども変化する物質では、用途に応じたテーラーメードな応答が可能となります。
本技術では、色調の制御が容易なカチオン性有機色素を基本とした、多重応答が可能な物質群を提供します。カチオン性色素の還元種は一般に反応活性で、応答の繰返性は低くなりますが、本技術ではカチオン部位を2つ組み込むことで、還元種の分解過程が抑制されています。また、酸化種と還元種を混合しても交換が起こらないという双安定性は、高密度記録材料への応用を可能とするものです。
社会実装への可能性
- ・スマートウインドウ
- ・防眩ミラー
- ・電子ペーパー
- ・E-インク
- ・高密度記録素子
産業界や自治体等へのアピールポイント
本技術の最終目標は、個々の分子を1ビットとして利用する、究極までに高密度なランダムアクセスメモリーの創製です。その途上で、多くのエレクトロクロミズム応答系分子の開発を行い、色調や動作電位、多重応答機能に関する成果を積み上げています。
研究キーワード
2018/4/3公開