Life Sciences
非線形ラマン散乱内視鏡
橋本 守
教授
Mamoru Hashimoto
博士(学術)
非線形ラマン散乱を用いた神経の無染色可視化による新しい内視鏡下手術支援ロボットの眼の開発
ラマン散乱は、無染色に分子種・分子構造に関する知見が得られるが、非常に微弱なためにその利用は限られてきた。超短パルスレーザーを駆使した非線形ラマン散乱現象を利用して、リアルタイムにラマンイメージを観測可能な顕微鏡や内視鏡を開発している。
研究の内容
ラマン散乱は、無染色に分子種・分子構造に関する知見が得られるために、化学分析、物理化学研究、半導体物性研究等に用いられ、 近年になって生体観測への応用が盛んに行われるようになってきた。しかしながら、ラマン散乱は非常に微弱であるために、そのイメ ージをリアルタイム観測することは困難であった。波長可変同期ピコ秒レーザーを開発し、これを光源とした多焦点非線形ラマン散乱顕微鏡によって100 frame/sという、ビデオレートよりも高速なイメージングを実現した。また、直径12mm、全長550 mmの硬性鏡下で、神経を無染色、高速に可視化できることを示した。神経温存内視鏡下外科手術の新しい眼として期待できる。
社会実装への可能性
- ・無染色生体イメージング
- ・神経温存内視鏡下外科手術
- ・生検試料の迅速診断
産業界や自治体等へのアピールポイント
生体分子を無染色に、高速に分別可視化することができれば、従来になかった検査方法・診断方法へとつながります。超短パルスレーザー技術、光学技術、分光学を駆使して、新しい可視化法にチャレンジしたいと思っています。
本研究に関連する知的財産
特許 第5831901号 「誘導ラマン散乱顕微鏡」特許 第5926055号 「波長走査パルス光同期システムおよびその制御方法」
特願2014-254326 「変調光検出のSN比を向上する方法」
2018/4/3公開