北海道大学 研究シーズ集

Nanotechnology / Materials

環状ポリエチレングリコールを用いたナノ粒子安定化

高分子の「かたち」に依存した新奇安定化法

本研究は環状ポリエチレングリコールを用いた金属ナノ粒子の新奇分散安定化手法の開発です。これまでに当研究グループは、環状高分子から成る分子集合体が優れた安定性を有することを見出しました。この現象を応用してナノ粒子の高分散安定化を行うものです。

研究の内容

現在、多数のナノ粒子系医薬品の研究が行われていますが、ドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアも含めそれらの多くは、生体適合性を有するポリエチレングリコール(PEG)で表面を覆われたナノ粒子になります。これに関して、私たちは環状PEGで修飾した金ナノ粒子(AuNPs)が高塩濃度に対して高い分散安定性を示すことを見出しました。すなわち、分子量4000の環状PEGで修飾されたAuNPは、生理条件よりも高濃度である180 mMのNaCl溶液で1週間以上分散安定性を保持したのに対し、同分子量の直鎖状PEGを用いた場合、僅か45 mMのNaClで3時間内に凝集・沈殿しました。この環状PEGを用いた新奇手法は、造影剤や磁性ナノ粒子を含む種々のナノ粒子系医薬品に応用可能です。

  • 金ナノ粒子(AuNPs)の安定性評価。環状PEGを用いた場合、分散安定性が良く表面プラズモンの波長が保持されるが(522 nm)、一般の直鎖状PEGの場合、AuNPsの凝集により長波長へ変化する(547 nm)。また、透過型電子顕微鏡像からも環状PEGを用いた場合のAuNPsの分散および直鎖状PEGを用いた場合の凝集が確認できる。

社会実装への可能性

  • ・バイオセンサー
  • ・細胞内プローブ
  • ・薬物送達物質
  • ・光学造影物質
  • ・フォトサーマル効果を利用した治療剤

産業界や自治体等へのアピールポイント

本研究は、高分子そのものの化学構造や分子量を変えることなく、高分子鎖1本につきたった1か所の化学反応で効率良く直鎖・環構造を切り替えることで激変する特性に着目しました。高分子の繰り返し単位に対する化学修飾ではないため、既存の高分子材料の高機能化にも広く適用可能です。同様に、毒性や環境汚染の懸念がほとんどありません。

2018/4/3公開