Life Sciences
ミトコンドリア標的型ナノカプセル (MITO-Porter)
山田 勇磨
教授
Yuma Yamada
博士(薬学)
ミトコンドリアに薬物・タンパク質・核酸を導入する技術
ミトコンドリアは疾患治療、美容・健康維持、ライフサイエンスの発展に貢献するオルガネラとして注目されています。私たちはミトコンドリア標的型ナノカプセル(MITO-Porter)の開発に成功しており、本ナノカプセルの実用化を目指しています。
研究の内容
本研究のミトコンドリア標的型ナノカプセル(MITO-Porter)は、細胞膜およびミトコンドリア膜を通過し目的分子をミトコンドリア内部に届ける事が可能です。機能素子を用いた従来技術では送達分子の大きさや種類を著しく制限しましたが、目的分子を封入するMITO-Porterを用いた戦略では分子種によらないミトコンドリア送達を実現します。
GFP(緑色)を内封したMITO-Porterを調製し、細胞内を蛍光顕微鏡観察したところ、ミトコンドリア(赤色)と重なり合った黄色のシグナルが多数観察される、ミトコンドリアへの効率的な分子送達を確認できました。また、既存の核酸導入試薬(核・細胞質を標的)では不可能であったミトコンドリアへの遺伝子・核酸導入にも成功しています。さらに、生体に適応可能なナノカプセルの開発も行っています。
社会実装への可能性
- ・ミトコンドリア治療用ナノカプセル
- (例:神経変性疾患、がん、糖尿病)
- ・ミトコンドリア用核酸・遺伝子導入薬
- ・(疾患モデル細胞・動物構築に利用)
- ・アンチエイジング・メタボリックシンドローム予防・治療の薬・サプリメント剤
産業界や自治体等へのアピールポイント
MITO-Porterは目的分子をミトコンドリアに送達する事が可能なため、疾患の治療・診断(治療分子送達)、美容・健康の維持(老化・肥満抑制因子送達)に応用可能です。また、核酸・遺伝子の送達にも適応しているので、遺伝子治療・ライフサイエンスの発展への貢献が期待されます。産学連携により、本ナノカプセルを実用化したいです。
研究キーワード
2018/4/3公開