北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

未修飾シアリル化糖鎖および複合糖質の高感度・高分解能構造解析を実現するMALDIマトリックス

比能 洋 教授 次世代物質生命科学研究センター 副センター長 Hiroshi Hinou
博士(工学)

シアル酸のカルボン酸部位を修飾することなく、シアリル化糖鎖及び複合糖質をイオン化し、シアル酸残基が脱離することなく高感度かつ高分解能(リフレクターモード)で解析可能なマトリックスを開発した

研究の内容

糖鎖および複合糖質のシアリル化(シアル酸の付加)は発生、分化、疾患、感染、免疫等の様々な生命現象に関与する重要なバイオマーカーである。MALDI(マトリクス支援レーザー脱離イオン化)法は簡便かつ高感度なソフトイオン化法であるが、未修飾のシアル酸を有する糖鎖はイオン化効率が低く、さらにシアル酸の開裂等によりスペクトルが複雑化するという問題が存在する。本技術では、従来のマトリックスに対する添加系を改良することにより、一切の修飾工程を経ることなくシアリル化糖鎖及び複合糖質を、シアル酸の脱離を抑制した状態で高感度・高分解能測定に成功した。開裂パターン変化と高感度化に伴い、TOF/TOF解析や疑似MS3解析等も超微量サンプルで実施可能となった。本法は化学修飾と分離工程が不要であり、反応追跡や迅速検体解析が可能となる。

  • 従来のマトリックスを用いた解析結果
    (低感度かつピークが複雑化する)

  • 新規マトリックスを用いて同一サンプルを同一濃度で解析した結果(感度100倍以上を実現)

  • 本マトリックスを用いてTOF/TOF解析をするとシアル酸以外に還元末端側糖残基も優先的に開裂する

  • 疑似MS/MS/MS解析により糖ペプチド糖鎖の詳細な配列解析が可能となる

社会実装への可能性

  • 本技術の適用により、シアリル化糖鎖および複合糖質の品質管理および関連バイオマーカー探索研究の加速が期待される。

産業界や自治体等へのアピールポイント

2019年発表の新規技術である。今後、研究を加速させ、優先権出願による特許の強化を考えている。

本研究に関連する知的財産

特願2019-011457 「未修飾シアリル化複合糖質および糖ペプチドのリフレクトロンモードMALDI-TOFおよびTOF/TOF質量分析のためのアニリン誘導体/DHB/アルカリ金属 マトリックス」
2019/3/19公開

◎ 本研究に関連するライセンス可能な知財情報

  • 未修飾シアリル化複合糖質および糖ペプチドのリフレクトロンモードMALDI-TOFおよびTOF/TOF質量分析のためのアニリン誘導体/DHB/アルカリ金属マトリックス組成物
    特願 2019-011457

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