北海道大学 研究シーズ集

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Nanotechnology / Materials

EUVプラズマの診断や制御のための計測技術

富田 健太郎 准教授 Kentaro Tomita
博士(工学)

EUVプラズマの電子密度や電子温度をレーザーを用いて詳細に計測および制御する技術。

研究の内容

EUVプラズマ及び軟X線プラズマは、容易に大光量を達成でき、半導体露光や材料診断に用いられている。一方でその最適化(波長選択性や高効率化)のためには、プラズマの電子状態(電子密度や電子温度)の制御が必要であるが、その計測は従来技術では達成されておらず、電子状態はなかばブラックボックスであった。本技術の特徴は、独自の分光システムを用いたレーザー散乱計測(トムソン散乱法)により、EUVプラズマの詳細な電子密度・温度の計測を可能とした点である。これにより、プラズマが光を発するメカニズムの根源である電子状態を把握した光源開発を可能としている。

  • EUV光源のプラズマ構造を計測可能なシステム
    開発。EUV光出力を、プラズマの電子状態から初めて説明可能とした。密度の中空様構造の発見。

  • EUV光源のプラズマ構造を計測するためのシステム
    原理。光(レーザー)を用いた散乱計測である。

  • EUV光源からの光出力を、発光の根源である電子状態まで遡って説明可能とした。

  • 電子状態はプラズマ応用の基礎であるが、測定が困難であり、電子状態まで立ち返った現象理解や改良はなかなか行われない。EUV光源以外にも、電子計測に基づいた様々なプラズマ応用の研究を展開している。

社会実装への可能性

  • EUV光源プラズマの開発の指針として、現場でのリアルタイムでの電子状態観測が可能である。EUV露光光源やEUV検査光源の開発において、EUV光量と電子状態は直接的に結びつくことから、本計測により光源最適化までの開発過程が短期間となることが期待できる。

産業界や自治体等へのアピールポイント

EUV光源プラズマからのEUV光量は、プラズマの電子状態で決まることがわかっている。しかし現状では電子状態は計測対象となっていない。本技術により電子状態を開発における計測パラメータに加えることで、独自の光源開発が可能となる。

2020/12/22公開