北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

オプトジェティクスによる新規医療技術の開発

光の特性を利用した深部癌治療法、創傷治癒・組織再生促進療法の開発

様々な波長の光を利用して、生体内表面から深部にいたる病変(癌、損傷)を治療する技術を開発する。光による遺伝子発現の制御技術(オプトジェティクス)を基本技術として、さらに波長の異なる光を組み合わせることで体表から深部病変の治療法を開発する。

研究の内容

光照射においてはオン・オフをコントロールすることは容易であり、優れた時間分解能で操作することが可能である。また、狙った細胞に限定して光を照射することも可能であることから、空間分解能という意味でも優位性がある。一方、光の送達深度には限界がある。例えば、多くの光遺伝学的手法で頻用される青色光(400-500nm)は、生体透過性が低く深部組織への光照射は困難である。しかしながら、生体透過性が優れている近赤外光を利用することで、深部組織も治療ターゲットになり得ると期待される。
我々は、生体透過性が高く組織深部へ到達可能なX線領域あるいは近赤外領域の光による直接的あるいは間接的な遺伝子発現制御システムを研究しており、それにより癌細胞死を誘導あるいは傷害組織を再生する遺伝子・蛋白質を細胞内に発現させることを試みている。

  • 様々な波長の光を利用した生体深部癌の治療法

  • 様々な波長の光を利用した生体組織の修復・再生促進療法

社会実装への可能性

  • 光による遺伝子制御に関しては一定の成果が得られており、技術的には一定程度の目処が立っている。現在小動物実験にて検証を進めている。社会実装(臨床応用)に関しては、人を対象とした場合はある程度の時間がかかるものの、動物(ペットなど)の治療への応用の可能性は高いと考えている。

産業界や自治体等へのアピールポイント

小動物あるいは中動物での検証実験が必須であるが、この技術は癌治療、創傷治癒、再生促進など広い領域に応用可能な基盤技術の開発である。光により活性化する分子を利用してターゲットとなる遺伝子・タンパク質機能を制御するため様々な細胞機能をコントロール出来るというメリットがある(様々な病態・疾患に応用可能である)。

2022/2/7公開