Nanotechnology / Materials
氷結晶表面の分子レベル光学直接観察
佐﨑 元
教授
Gen Sazaki
博士(工学)
高さ方向には原子分解能を有する光学顕微鏡の開発とそれを用いた氷結晶表面のその場観察
株式会社オリンパスエンジニアリングと共同で、高さ方向には原子分解能を有する光学顕微鏡を開発した。現在それを用いて、氷結晶が成長・昇華・融解する機構を、分子レベルで明らかにしようとしている。
研究の内容
平らな面で囲まれた結晶は、材料の種類によらず層状に成長する。そのため、結晶が成長するメカニズムやカイネティクスを明らかにするためには、その成長端(一般に「単位ステップ」と呼ばれる) がどのような挙動を示すのかを直接観察する必要がある。しかし、氷結晶の場合には、原子間力顕微鏡や電子顕微鏡等、通常固体表面を分子レベルで観察する際に用いられる顕微鏡を適用することができない。この困難を克服するべく、平らな結晶表面上の原子・分子高さのステップを、非接触・非破壊で直接観察できる光学顕微鏡を開発した。現在これを用いて、氷結晶の成長機構や、ゼロ度以下で氷結晶表面が融ける現象(表面融解と呼ばれる)を、分子レベルで明らかにする研究に取り組んでいる。氷結晶以外にも、結晶表面上を原子・分子高さレベルで調べる研究を広く展開している。
社会実装への可能性
- ・様々な結晶が成長/融解する挙動の直接観察
- ・様々な結晶表面上での化学反応の直接観察等
産業界や自治体等へのアピールポイント
・結晶表面の原子・分子の高さの段差を調べることができます。このような技術は、本研究室と株式会社オリンパスエンジニアリングが開発した独創的な技術である。
・段差以外にも、固体表面上での化学反応を可視化する等、幅広く応用が可能であると期待される。
2018/4/3公開