北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

食品ナノ構造の非破壊スローオペランド解析

大型施設でしかできないと思われていたこと。実は北大でできます

食品はいくつもの相が混合した「混ざりもの」です。その「混ざり方」は食感を左右する重要な要素です。製造プロセスや保存プロセスで起きる「混ざり方」の変化を非破壊・連続的に観測します。

研究の内容

ほとんどの食品は水を含む複数の相(同一の結晶構造・分子構造を持つ領域)が混合した「混ざりもの(複相組織)」です。「混ざりもの」の食感はそれぞれの相の性質だけではなく、構成する相がどのような大きさ(スケール)でどのくらいの個数が存在しているかという「混ざり方」も大きな影響を及ぼしています。構成している相は原料を決めるとある程度決まってきます。例えばモッツアレラチーズといえば、どの製品にも共通する味や食感があります。一方で、味や食感は製造者によって明確な違いがあります。中でも食感については、その違いを決定する最重要な要素が「混ざり方」であり、製造プロセスにより大きな影響を受けます。

社会実装への可能性

  • 1.複相系である食品の「混ざり方(ナノ構造)」の理解に基づく、新プロセス制御法の開発
  • 2.液体からゲル、固体まで全てを同じ条件下で評価可能。凍結状態からメルト過程も連続追跡が可能
  • 3.食品製造・加工のマイスター達が現場で経験する「なぜ?」という疑問にナノスケールの「混ざり方」解析で答えます。

産業界や自治体等へのアピールポイント

水分を含む食品のナノ構造を非破壊でそのまま観測可能です。研究室占有装置のため、数日間連続した定点観測も可能です。この技術により、「混ざり方」の変化を解明することで、伝統的な加工食品においても「科学的な理解に基づく、製造プロセス制御」に繋がると考えています。

関連情報

工学研究院応用量子科学部門・量子ビーム材料研究室A https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/qbmat/

研究キーワード

2024/9/20公開