農学研究院 基盤研究部門 農業土木学研究室
Environment
有機性排水浄化のためのハイブリッド伏流式人工湿地
井上 京
教授
Inoue Takashi
畜産排水などの有機性排水を、低コストで効率よく持続的に浄化するシステムです。
高濃度汚水を対象に、寒冷地での実用化を実現しました。世界でもトップクラスの能力です。
研究の内容
伏流式人工湿地はヨシ等を植えた砂利や砂の層で汚水をろ過して浄化する方法です。
伏流式には汚水を表面から散布して上から下へ流す好気的な鉛直流式と、浅い地下水としてゆっくり水平方向に流す嫌気的な水平流式があり、それらを組合せたハイブリッド式は特に窒素浄化能力に優れています。
ヨシなどの植生は、表面の目詰まりを軽減し、人工湿地内の生態系を支えて浄化能力を高めています。
社会実装への可能性
- ・様々な有機性排水の浄化に適用可能。パイロット・スケールでは、悪臭を放つデンプン工場廃液の浄化にも成功しています。
- ・家庭雑排水用の浄化槽や農村集落排水施設、小規模な下水処理場を置き換えることが可能。
- ・家畜ふん尿処理や余剰のバイオガス消化液の処理、下水汚泥の減量化にも使えます。
産業界や自治体等へのアピールポイント
・寒冷地でも通年で使えます。
・悪臭もなくなります。
・管理のための手間ひまがかかりません。
・ヨシの刈り取りも不要です。
・ランニングコストは一般的な機械的汚水浄化法の1/20程度です。
・すでに実用化段階にあり、普及が始まっています。
・農研機構東北農研や民間企業((株)たすく)等との共同研究の成果です。