北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

糖質代謝関連酵素の機能・構造・応用

酵素を使った効率的糖質合成技術を開発し、健康的で豊かな食生活を支えたい

糖質には機能性食品素材としての利用が期待されています。酵素を利用し、自然界や農産物から入手しやすい糖質を希少糖質へと効率的に変換する技術基盤を整備することで新しい機能性糖質の発見につなげたい。

研究の内容

セロビオース2-エピメラーゼは、β1-4二糖の還元末端グルコース残基をマンノース残基にエピメリ化する酵素です。
私たちは、本酵素が乳糖に作用することで生成する希少オリゴ糖のエピラクトースに注目して研究してきました。本酵素を固定化したバイオリアクターの開発や、工業的なスケールでも実施可能なエピラクトースの高純度化技術をこれまでに開発しました。
セロビオース2-エピメラーゼを利用することにより合成したエピラクトースを用いて動物実験により生理機能性を明らかにしました。
エピラクトースは高い消化酵素耐性を持つ難消化性オリゴ糖であり、ラットを用いた実験では腸内でのビフィズス菌や乳酸菌を増やすプレバイオティクス効果が確認されました。

社会実装への可能性

  • 1.エピラクトースの機能性糖質としての各種飲食品への利用
  • 2.牛乳や乳製品に含まれる乳糖のエピラクトースへの変換 (乳製品の高機能化)
  • 3.その他酵素を活用した機能性オリゴ糖の効率合成法の開発

産業界や自治体等へのアピールポイント

私たちは糖質関連酵素について長年知見を培ってきました。多様な糖質代謝酵素を活用し、効率的な酵素反応プロセスを構築することで糖質を効率生産する技術基盤を構築することを目指しています。こちらで紹介した乳糖に限らず、澱粉、砂糖、その他植物多糖に関する酵素についても研究の対象として取り扱っています。

関連情報

農学研究院 生物化学研究室 http://lab.agr.hokudai.ac.jp/biochem/
2024/9/25公開