北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

ライフサイクルアセスメントによる陸上養殖施設の環境影響評価

高橋 勇樹 准教授 Takahashi Yuki
水産科学研究院 海洋生物資源科学部門 水産工学分野

環境負荷(CO2等)排出量を評価して環境に配慮した持続可能な養殖業を目指す

世界的に養殖生産量が急速に増加に伴い、養殖によって排出される環境負荷が懸念されている。環境負荷の排出量を評価する手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)を用いて、陸上養殖施設のシステム全体で排出される環境負荷を評価した。

研究の内容

ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment; LCA):ある製品、サービスにおいて、製造から消費に排出される環境負荷要因(CO2やNOxなど)を評価する手法
初めて国内で陸上養殖施設を対象としてLCA分析を行い、排出される環境負荷を定量的に明らかにした。

まとめ
・陸上養殖施設では、CO2排出は70%近くが電力由来
・一般的な給餌型の養殖よりも給餌量が少ないため、餌による環境負荷排出は非常に少ない給餌、給水等、各要素が環境に与える影響を明らかにした。各要素の改善によって、環境に配慮した持続可能な養殖業に寄与できる

社会実装への可能性

  • 1.環境に配慮した持続可能な養殖業に貢献
  • 2.エコラベル(ASC認証等)の取得につながり、養殖水産物の国際競争力の強化に寄与
  • 3.他の陸上養殖施設へと拡張することで、日本の養殖業をスマート水産業へと発展させることにつながる

産業界や自治体等へのアピールポイント

養殖業をはじめとした水産業によって発生する環境負荷排出量とその排出構造(どのプロセスで最もCO2等を排出しているか)を評価でき、環境に配慮した水産業のための基礎的な知見を提供できます。

関連情報

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201801019366064070
2024/10/2公開