北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

水産脂質の健康機能性評価と有効利用

水産資源を有効活用して人々の健康を守る

水産物をはじめとした水圏生物中には、陸上生物とは異なる機能性物質が数多く含まれている。脂質やカロテノイドなどの脂溶性成分に着目し、生活習慣病予防効果の解明や食品への応用技術など、生活に役立つ健康機能食品の開発にむけた研究を行っている。

研究の内容

1.ワカメから分離したフコキサンチンを非アルコール性脂肪肝炎誘導マウスに経口投与した結果、肝臓で誘導される脂質蓄積や脂質酸化を抑制し、炎症性サイトカインのmRNA発現を低下させることを見出した。
これまでの研究において、フコキサンチンの肥満予防や血糖値改善効果を明らかにしており、慢性炎症性疾患に対する予防効果が期待される。

2.北海道で生産量の多い水産物であるホタテガイの生殖巣は、未利用の加工残滓である。
卵巣には、EPAやDHAが高い機能性を示すリン脂質形態として含まれており、またホタテガイ特有のカロテノイドであるペクテノロンも含まれる。このような未利用物から、ホタテガイ卵巣脂質素材を調製した。
ホタテガイ卵巣脂質素材は、潰瘍性大腸炎モデルマウスに対して予防効果を示すことを明らかにした。

社会実装への可能性

  • 1.水産食品の健康機能評価および機能性脂質の開発
  • 2.生活習慣病予防への水産食品の活用
  • 3.水産資源の有効利用

産業界や自治体等へのアピールポイント

農水産物に含まれる脂質および脂溶性成分の健康機能評価に加え、水産養殖における機能性脂質の強化を含めた幅広い研究課題に取り組んでいます。

関連情報

機能性分子化学研究室 https://fish-hokudai-bfmc.labby.jp/
2024/10/2公開