北海道大学 研究シーズ集

English
Life Sciences

育種技術研究と遺伝資源保存技術の開発

交雑や染色体操作技術による倍数体やクローン作出技術、凍結保存技術の研究開発

養殖において遺伝的に同一なクローン集団を用いることで、均一な魚の生産が期待されます。天然に分布するクローン魚類における配偶子形成の仕組みを解明することで、養殖対象魚への応用を目指しています。

研究の内容

①遺伝的に同じクローン誕生のメカニズム
 自然に分布するドジョウやギンブナではクローンの存在が知られており、これらのクローンも交雑によって誕生したと考えられています。自然で生じるクローン誕生メカニズムの応用や人為的な染色体操作技術を利用することで、遺伝的に均一な養殖集団の作出が可能となるため生産性の向上が期待されます。
②遺伝資源保存技術の開発
 個体の再生が可能な生殖細胞や配偶子を用いた遺伝資源保存はリスク分散に必須の技術です。精子は凍結保存から人工授精における利用が最も容易であるため、魚類でも広く用いられてきましたが、個体再生には卵が必要です。これらの細胞から配偶子を誘導するためには、宿主個体に移植する必要がありますが、移植個体からは保存(移植)された細胞に由来する精子や卵の生産が可能です。

社会実装への可能性

  • 1. クローン集団の誘起による歩留まりの向上
  • 2. 魚類雑種や倍数体の新規養殖品種としての利用
  • 3. 開発した魚類の系統維持に資する凍結保存技術の利用

産業界や自治体等へのアピールポイント

クローン作出以外にも染色体操作技術は三倍体などの倍数体誘起が可能です。また、性統御にも有効で、全雌集団や全雄集団の作出も可能です。日本国内には、交雑と三倍体化により作出された複数のご当地サーモンが養殖利用されていますが、まだまだ新規開拓には余地があると考えています。

関連情報

https://kaken.nii.ac.jp/ja/search/?qm=10400003
2024/9/27公開