北海道大学 研究シーズ集

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Environment

北海道雑草種のDNAバーコーディングと群集評価技術への応用

・次世代シークエンサーにより集草サンプルから雑草群集を簡易的に評価
・雑草分布状況の大規模調査に最適

雑草管理を効率的に行うためには、その発生や分布パターンを把握する必要がある。本チームでは、北海道の主要雑草種についてDNAデータベースを構築し、次世代シークエンサーを用いた新しい雑草群集の評価法の確立を目指しています。

研究の内容

札幌・帯広から収集した主要雑草種(約50種)から全DNAを抽出し、葉緑体DNAにある可変性領域の塩基配列データベースを構築し、北海道の主要雑草種の識別に有効なPCRプライマーセットを設計した。圃場より収集した雑草の混合サンプルから抽出したDNAを識別プライマーによりPCRで増幅した後、MiSeq(イルミナ社)により塩基配列を読み取り、データベースと照合することにより、サンプル内の雑草種を同定する手法を確立した。また、各DNA断片のカウントデータから、集草内の各種雑草のバイオマス比の推定も可能である。

社会実装への可能性

  • 1.訓練を受けた評価者の現地調査が必要であった雑草群集の評価が、汎用性の高い機器オペレーターにより研究室内で可能
  • 2.各圃場からの集草システムを構築すれば、これまで以上に調査範囲を拡大することが可能
  • 3.病虫害や有害外来植物の発生・拡散の迅速な評価などにも応用可能

産業界や自治体等へのアピールポイント

圃場の栽培環境について、従来の土壌環境や養分サイクルの評価に加えて、DNA配列による雑草群集の解析などを用いた総合的な評価を行っています。これらの評価をもとに、より安定した持続的農法についての研究を行っています。

関連情報

北方生物圏フィールド科学センター・生物生産研究農場  http://www.fsc.hokudai.ac.jp/farm/agroecosystem/blog/staff/hirata-toshiyuk/
 
共同研究者:Maria Stefanie Dwiyanti(農学研究院・連携推進分野・情報ゲノム科学)
2024/10/2公開