Environment
台風強度及び豪雨の発達予測システム
佐藤 光輝
教授
Mitsuteru Sato
博士(理学)
雷放電計測から数時間先の豪雨と数日先の台風発達を予測
都市部でのゲリラ豪雨や大規模な台風は甚大な災害を引き起こす。災害を防ぐためには発達度をいち早く予測することが重要である。本研究は、局所発達する雷雲や台風勢力圏内で発生する雷放電活動から、数時間先の豪雨や1-2日先の台風強度を直前予測する。
研究の内容
本研究は、雷放電から放射される1-50 kHz VLF帯電磁波動を複数拠点で同時観測し、都市部で発達する雷雲や、台風を構成する積乱雲における雷活動を準リアルタイムで監視することで、数時間先の豪雨や1-2日先の台風強度がどのように発達するかを簡便に直前予測する手法を提供する。豪雨や台風の規模予測に従来用いられている複雑で専門的な数値気象モデルとは一線を画し、雷放電数や放電規模といった雷活動の指標を用いることで、数時間から数日先までの強度発達を正確かつ簡易に予測可能とする。
日本を含むアジア域の雷活動を監視するため、雷放電が放射する1-50 kHz VLF帯電磁波動の観測システム(V-POTEKA)を25拠点に設置している。そこで得たデータから雷発生時刻・位置・放電規模を準リアルタイムに推定している。
社会実装への可能性
- ・各種機関・自治体の台風や豪雨の防災対策
- ・各自治体と測定シミュレータを連動した災害マップ
- ・保険業など雷・台風被害による保険金支払いの利活用
産業界や自治体等へのアピールポイント
過去40年間にわたりゲリラ豪雨や線上降水帯、台風は徐々に凶暴化しており、近年ではたびたび甚大な災害を引き起こす。災害を防ぐためには、これらの現象がどの強度まで発達するかを直前予測することが重要である。本研究では、雷活動の指標を用いることで、数時間から数日先までの豪雨・台風強度発達を簡易かつ正確に予測可能としている。