北海道大学 研究シーズ集

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多線種対応型放射線検出器の開発

石川 正純 教授 Masayori Ishikawa
博士(エネルギー科学)

◎共同研究者

  • 阿保 憲史 ABO Norifumi
    アイソトープ総合センター

単一の受光素子で3種類の放射線を同時計測可能:多層シンチレータによる装置の小型・低コスト化と独自波形弁別技術による高精度化を実現

3層のシンチレータと単一の光電子増倍管を組み合わせ、独自波形弁別技術によりα・β-・γ線を高精度に識別する技術を開発した。従来複数台に分かれていた測定器を一台に統合することで、作業効率の向上、小型軽量化、および製造コスト低減が期待される。

研究の内容

環境放射能測定等の現場では、対象核種や線種に応じた測定器の選定が必要となるため専門的な知識が必要となる。本研究では、α・β-・γ線に感度を持つ3種のシンチレータを積層し、単一の光電子増倍管(PMT)で受光する「多線種対応型検出器」を開発した。信号波形のピーク値と積分電荷量の比を用いた独自の波形弁別技術(PQD法)を用いることで、従来は困難であった3線種の同時弁別において、99.7%以上の極めて高い識別精度を達成し、さらに放射線エネルギーの定量も実現した。本技術は、複数台の検出器機能を一台に集約することを可能にし、測定器維持の簡略化や装置の小型軽量化、さらには現場における測定作業の効率化と運用コストの低減に寄与する。

  • 多層型シンチレータ 概念図

  • ウラン(U-238)放射線の弁別結果 (N = 20,000)

  • ウラン(U-238)放射線 弁別結果

  • RI汚染探査ロボットへの実装 概念図

社会実装への可能性

  • ・環境放射能の測定(自治体職員等による網羅的な測定など)
  • ・原子力分野における作業環境測定
  • ・放射線施設における法定の環境測定
  • ・床面等の自動汚染探査ロボットへの実装

産業界や自治体等へのアピールポイント

1つの光電子増倍管でα線、β-線、γ線を弁別できるため、多機能化と大幅なコスト低減の両立が可能です。計測器の製造販売やソフトウェア開発、現場導入試験等で連携可能なパートナー企業を求めています。独自のPQD法は汎用性が高く、共同研究を通じた新製品開発や既存装置のアップグレードなども期待されます。

本研究に関連する知的財産

特願2025-149172「放射線検出器、放射線の線種弁別方法、放射能汚染検査方法、および放射能汚染探査装置」
2026/1/19更新, 2026/1/16公開