技術紹介
Manufacturing Technology
中性子とX線を複合利用した超階層構造イメージング
加美山 隆
教授
Takashi Kamiyama
博士(工学)
量子ビームを複合利用し、幅広いスケールに渡って不可知情報を非破壊的に可視化するイメージング
パルス中性子透過分光イメージングは、他の顕微法では視えない情報を非破壊に可視化できる手法として注目を受けています。X線のような他の量子ビームと複合解析すれば画像だけではわからない情報も可視化することが可能になります。
研究の内容
小型加速器を利用する実験施設として半世紀近い歴史がある北大施設は、先導的な施設として世界的に注目されています。北大では主にパルス中性子ビームを作っており、それで得られる透過スペクトルから、結晶構造やミクロ組織、内部応力、温度等の情報を、試料全体にわたる分布として2次元の実像上にマッピングすることが可能です。一方、X線CTでは物体内部の3次元構造を測定できるので、両者の結果を複合的に解析し、相乗的に物体内部情報を理解する研究を行っています。図は中性子とX線による相乗イメージングとして、単独では得られない元素情報をX線CTによる内部構造にマッピングしたイメージを示しています。X線CTではAl円筒中のワイヤの存在がわかりますが、中性子の情報を加えるとそれぞれが異なる素材とわかります。
社会実装への可能性
- ・鉄鋼中のマルテンサイト相分布測定
- ・残留ひずみの非破壊イメージング
- ・古文化財の非破壊イメージング
- ・核種の同定とその分布測定
- ・磁場イメージング
- ・物体内部温度分布のイメージング
産業界や自治体等へのアピールポイント
本研究室では加速器中性子源を利用した新しい計測手法の開発およびその応用研究を進めています。ビーム線源の設置や利用、さらには大型中性子源施設プロジェクトへの積極的な参画を通じて、量子ビームの生成から応用まで一貫した研究・教育を行うとともに、共同研究を通じて量子ビームの産業利用への協力も進めています。
関連情報
2018/4/3公開