北海道大学 研究シーズ集

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Manufacturing Technology

非接触レーザー加振システムによる振動計測技術

高周波振動計測/高感度異常検知技術の開発

高出力パルスレーザーの照射により構造表面で生じるレーザーアブレーションを利用し、理想的なインパルス加振入力を作用させる技術を開発した。本技術により、今まで不可能であった非接触かつ高周波数帯域まで高精度な振動測定を可能にした。

研究の内容

図1にレーザーによる加振力の生成原理を示す。レーザーによる加振力は、レーザーアブレーションによって引き起こされる。本技術を応用した例として、膜構造の真空環境振動計測システムを図2に示すが、本システムはYAGパルスレーザー、誘多膜ミラー、集光レンズ、膜構造、LDVおよび真空チャンバから成る。膜構造が固定されているのは真空チャンバの内部であり、大気環境から真空環境まで真空チャンバ内の空気圧を調整しながら実験を行うことができる。計測された膜の周波数応答を図3に示す。真空度を上げることにより、膜の共振周波数が高くなり、同時に共振の応答レベルも向上していることがわかる。このように、膜表面の空気による質量効果および減衰効果の影響を抽出することができ、宇宙環境を想定した真空チャンバ内での実験における本技術の有効性を検証した。

  • 図1 レーザー加振の原理

  • 図2 真空環境の振動試験システム

  • 図3 空気圧の違いによる周波数応答の変化

社会実装への可能性

  • ・原子力施設等のモニタリング
  • ・自動車/回転機器等の実稼働時振動計測/異常診断
  • ・MEMS分野における高精度振動計測および特性評価
  • ・生体分野における診断への応用

産業界や自治体等へのアピールポイント

MEMSや超精密位置決め機器など、高周波数帯域における振動の計測および評価が望まれる対象に適用可能である。
原子力施設など、安全性の観点から人による作業が困難な領域において、システムの振動計測および健全性評価に極めて有効である。
自動車・車両などの実稼働時(走行時)における振動特性の計測・モニタリングを実現できる。

関連情報

本研究に関連する知的財産

PCT/JP2011/003412 「Method for Measurement of Vibration Property of Structure, and Vibration Property Measurement Device」
 (日本:特許第5750788号 米国:特許第9,291,604号  欧州:11795411.5)
2018/4/3公開