Manufacturing Technology
非破壊CT-XRD連成法の開発とその応用
杉山 隆文
教授
Takafumi Sugiyama
Ph.D.
セメント硬化体微細組織の可視化
コンクリート内部の微細組織に対して、数ミクロンの精度でその幾何学的空間情報を取得できるCT法、および関心領域の水和物や変質を調べる回折法を連成させる新しい測定手法「非破壊CT-XRD連成法」を開発して、革新的セメント系硬化体材料を開発する。
研究の内容
コンクリートは、セメントと水との水和反応によって岩(骨材)を結合することで、構造用硬化体になります。一方、構造材料としての宿命である荷重や気象/環境作用によって、ひび割れが発生、進展したり、強酸作用、大気や海水、地下水などの浸食や物質侵入に伴う化学反応で劣化することがあります。社会インフラを長期間安定して利用するために、「虫の目」でコンクリート内部組織を観察して、そこで生じる異変を見つけることが大切です。
先駆的「非破壊CT-XRD連成法」は、放射光が提供する高輝度な白色X線を試料に照射して、選択的に25keVの透過単色X線から3次元構造体を可視化します。また、複数のスリット操作から特定の関心領域のエネルギー分散型X線回折を実行して、ポルトランダイトやカルサイトなどの水和物やその変質、骨材鉱物を特定します。
社会実装への可能性
- ・機器開発として透視技術を核とする微細組織構造の新しい評価手法
- ・セメント硬化体の劣化、損傷現象の解明やひび割れない、劣化しない、自己修復する革新的セメント系材料の開発
産業界や自治体等へのアピールポイント
コンクリートは、地下深く、海底、海中、強酸、高温、低温環境まで広範に利用され、数百から数万年の耐久性が求められます。材料には、フライアッシュや高炉スラグなどの産業副産物を含み、材料設計の自由度が格段に向上しています。高性能で高機能なコンクリートを目指して、適材適所で地域に応した材料設計法の研究開発に取り組んでいます。
研究キーワード
2018/4/3公開