北海道大学 研究シーズ集

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Life Sciences

ソノポレーション:超音波と微小気泡を用いた新しい薬物送達手法の開発

細胞レベルでの組織標的能を実現

我々は,直径数ミクロンの微小気泡を細胞に付着させた状態でパルス超音波を照射することにより細胞膜の膜透過性を一時的に向上できることを世界に先駆けて明らかにし、生体への薬物・遺伝子送達の実現を目指した研究を推進している.

研究の内容

○微小気泡とパルス超音波を用いた音響穿孔法(ソノポレーション): 微小気泡が細胞膜に接触した状態でパルス超音波を照射すると、付着部位にのみ一時的穿孔を生じる(図1)。微小気泡に薬剤や遺伝子を付加し、光ピンセットで付着位置を制御することにより、目的とする細胞の任意の位置に薬剤や遺伝子を導入する手法を実現。
○治療部位の特定と薬物送達を微小気泡と超音波診断装置で実現: 治療対象の細胞にのみ付着する標的機能を有する気泡を静脈から注射する。気泡が集積した組織を超音波造影法により検出することで治療対象部位を特定する。続いて気泡を壊すパルス超音波を発生し、細胞に一時的な細胞膜穿孔を生じさせ、薬物等の送達を実現する(図2)。気泡に薬剤や遺伝子などを付加することで、ターゲット細胞にのみ高効率な薬物送達が実現できる。

  • 超音波照射前                   照射後
        図1

  • 図2

社会実装への可能性

  • ・エレクトロポレーション代替
  • ・DDS(薬物送達)
  • ・癌の早期診断
  • ・抗癌剤治療効果増強
  • ・免疫治療
  • ・遺伝子導入

産業界や自治体等へのアピールポイント

・エレクトロポレーションの置き換え技術 気泡の大きさや細胞への付着位置、超音波の照射条件を制御することで、所望の細胞に選択的な薬剤・遺伝子等の導入を実現。
・超音波で診断と治療を同時に実現し、安全生の高いin vivo薬物・遺伝子導入を実現。免疫物質を樹状細胞に導入し免疫治療を促進する手法の実現を目指して研究中.

2018/4/3公開