北海道大学 研究シーズ集

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Social Infrastructure

人口3割減時代における公共施設の再編

「まちの整体」と生活圏のグランドデザイン

北海道では近い将来消滅すると予想される集落は百数十にのぼるといわれる。「まちの整体」は、地方で未利用・低利用なまま抱えられている公共建築群の再編を軸にしながら、人口3割減時代を見据え、地方都市の広義の適正規模化を図るものである。

研究の内容

北海道河東郡の上士幌町は、他の北海道の自治体と同じく急速な人口減少に直面している。1965年には10,309人であったのが、2010年にはその約半分にまで減った。2040年には3,222人へと減少すると推計されている。そのような中、平成24年度に「5,000人のまちづくり」を目指す10のテーマを定め、その第1番目として「公共施設の配置等グランドデザイン作成」を掲げた。
公共施設の再編については、都市部の自治体では一般に、施設数のコントロールによって財政的な圧迫を改善することが目指される。上士幌町の課題と目的はそれが第一義ではない。人口が1万を割るような小さなまちでどのような豊かな暮らしが実現できるのか、そのために公共施設が果たす役割は何かからはじまる再編の意義を探求している。

  • 上士幌町セントラルベルト構想

社会実装への可能性

  • ・「まちの整体」はグランドデザインである。上士幌町の公共施設の空間的な影響力を積極的に活かし、まち全体の空間計画を描いた上での公共施設の再編アプローチは、小さな自治体だからこその可能性を示しつつある。

産業界や自治体等へのアピールポイント

人口減少時代における居住環境のアフォーダビリティとコミュニティ賦活に資するPPPのあり方について、地方都市における公共施設再編を機とした生活環境の再構築と自治体救済のシナリオとして「まちの整体」という計画理論を提唱し、人々が地方で定着して自立的・持続的に生活するための具体的方策を提言・実践している。

2018/4/3公開